3ー31【だからこそ欲する1】
◇だからこそ欲する1◇三人称視点
人間である以上、転生者と言えど寿命がある。誰でもだ。
特定の強力な種族以外、抗えない摂理だった。
とある転生者は、それが嫌だった。それを拒否した。
彼は最初の死を迎える寸前、女神の囁きを聞いた。
それは、死の延命を述べる救いの言葉。
彼の意識はその導きのままに、再度転生をした。
王国にて、二度目の人生を始めた彼は……死を超える方法を模索した。
しかし当然、そう簡単に巡り合う事柄ではない。
最初に女神と約束をした……正直、男は忘れていたが、偶然にもその約束を果たし、二度目の転生を成したのだ。始まりは、偶然だったのだ。
王国の村民として二度目の人生を始めた彼の人生は、短いものだった。
村が魔物に襲われ、滅びたのだ。まだ十歳、そんな年齢だった。
しかし、彼は再度転生をした……女神の力で。
女神の目的の為に命を利用されたと知っても、彼は怒りを覚えなかった。
逆に、彼はその女神の思惑を利用し、何度も転生を繰り返し……何度も転生の特典を獲得し、その力を繰り返し強化して生きていた。
もう何度目の転生だっただろう。実に四百年の繰り返し。
歴史を見続け、この世界には精霊という種族がいた事を知った……それこそ、原初の精霊にして、精霊の女王――【フェニックス】。
彼も日本人だ。
【フェニックス】がどのような存在か、どのような力を持っているかを知っていた。さすれば、求めるのは精霊の女王だった。
永遠の命、死してなお繰り返す、輪廻転生の力……不死、不滅。
何度も何度も転生をして、ようやく求めるべき物が見つかった。
そして、最適な転生の特典も……手に入れた。
【操魂】。
彼は、自らの魂を操る術を手に入れたのだ。
それにより、女神の転生が必要なくなった。
そうなれば、後は彼の思うがままだった。
そのうち、女神の寿命も尽きる……【操魂】を使えば、無視しても構わないと判断した。
最後の転生先は、王国の貴族……しかも武家だった。
否が応でも婚姻が結べる。それは、簡単に子を生せるという事。
【操魂】は、血族にしか作用しない。
この点は、ミオ・スクルーズの能力……【美貌】などと同様の効果だ。
更には、【操魂】の特性でもある、潜在能力や転生の特典すらも継承する力が、彼を更に強力にした。
血族……その代の息子の身体を奪う事で、彼は転生要らずの命を得た。
そうして【操魂】を繰り返し、彼は武を極め、名を売り、やがて王国の大臣となる。
精霊女王の居場所すら突き止めた彼は、残す所【フェニックス】の解放を待つのみとなっていた。しかし……そんな時だった。
ミオ・スクルーズが現れたのは。




