3ー28【新しい試み3】
◇新しい試み3◇ミオ視点
俺が次に向かう先は、王国領【エッシアース】。
ここには【ステラダ】から逃れてきた人たちも多く住んでいて、特に【冒険者学校・クルセイダー】、その関係者が多いんだ。
「おーーーー、もうすぐ新校舎が出来るんだなぁっ」
何かと穴だらけだった冒険者学校のルール。
この【アルテア】では、それを払拭する新たな冒険者学校を建設する事が決まっている。
なにせ理事長のニイフ陛下がいるし、その関連の話も結構な回数を重ねている。
俺が目を見開いて視察する新校舎は、二階建ての小さな建造だが広さは充分。
以前【ステラダ】で学生をしていた人たちは、そのまま通うことを許可し、そして最大の変更点……誰でも入学でき、不要な退学や試験はなし。
そして、全ての学生に【AROSSA】を支給する事を決めた。
「……大変だったもんなぁ」
思い出しても涙が出そうだ、出せないけど。
命がけで試験をし、駄目なら退学。
能力に見合わなければ進級できず、退学。
期間内にポイントを貯めないと、退学。
もう冒険者を増やすつもりないじゃねぇかと、当時から思ってた。
だけど今は違う。この【アルテア】には【AROSSA】もあるし、精霊もいる。
環境が変わればルールも変わる。無用な死は要らないし、出来ることなら冒険者は多いほうがいい。新しい【ギルド】も建設予定だし、今後は金回りもよくなると思う。
「えっと、避難してきた冒険者たちの宿泊宿……どこだっけな」
今回の目的である、新しい試み。
それを試せるかは、【ステラダ】から来た冒険者が担っているからな。
「――あの〜……ミオ様?」
「え?……あ!」
俺に躊躇なく声を掛けてくれた女性。
今や知り合いしか気軽に声を掛けてくれない俺に、優しく声を掛けてくれる中年の女性……それは。
「ど、どうも、セシリーさん」
へこへこしちゃう。
どうも苦手というか、何故か苦手意識が。
「いえいえ、私のような者に、その様な態度ではいけませんよ」
笑いながらそう言う。
なんというか、凄い母親っぽいんだよなこの人。
それもそのはず……この女性は、アレックス・ライグザールの乳母だ。
「あれからどうですか?準備が出来たのなら、俺が彼のもとへ連れていきますけど」
「あら?ではお話はいいのですか?」
「そ、それは困りますけど」
上品に口元に手を当てて笑う。
この人、もう四十超えてるんだよな……?普通に若々しいが。
「それでどうなされたのですか?管理者様がこの様な場所に……」
「あーっと、それはですね――」
俺はセシリーさんに事情を説明し、冒険者たちが集まる宿泊施設まで案内して貰う事にした。すいませんね、助かりますよ。




