3ー1【果てなき心痛1】
◇果てなき心痛1◇クラウ視点
私はしゃがんで、とある大量の紙を丸めていた。
クッシャクシャにして、回収した全ての紙を一纏めにし、そこにボソリと。
「……【貫線光】」
【クラウソラス】も顕現させず、指先からビームを出すような仕草で。
ジュッ――と火が着き、灰になる。
「まったく面倒くさい事をしたわね、セリスの奴……なにが婚約よ、結婚よ!」
パンパンと手を払い、私はこの場所……【アセンシオンタワー】の地下二階を見渡す。ここは倉庫なのだけど、結構な範囲が空いている。
最近はまた移住者が増え、備蓄は充分なはずだけど、それでも減ってきているのは事実ね。
「特に帝国領……帝国の人が、噂を聞きつけてやって来てる。良い事……なんだけど、ねぇ」
セリスが唐突に発表した、ミオとの婚約。
誰もが度肝を抜かれたわ……でも、一番驚いていたのがミオだったから、私たちは冷静になれた。特にミーティア……一番ショックを受けてもおかしくないのに、彼女は気丈、いえ……動じてなかった。
「――クラウ、ここにいたんだね」
「あらルー、どうしたの?」
私を探していたらしい、ルーファウス・オル・コルセスカ。
低身長な彼は、出会ってから数年経っても少年のような容姿だ。変わらない。
赤い髪を掻き、頬をほんの少しだけ染めて。
「どうした……って、クラウを探していたんだよ」
「私を?なんでまた、今日は【ルーガーディアン】の子たちと会食だったんでしょ?」
少し意地悪かしら。
分かってはいるのよ。このルーファウス・オル・コルセスカは公爵貴族であり、【テスラアルモニア公国】の代表である。
忙しさを理由に約束を破るような人じゃない……でも。
「ご、ごめんよ……」
「どうして謝るの?」
「それは、その……ご飯の約束、破っちゃったし」
理由は、あの号外だ。
だから怒りの矛先は、セリス……いや、ミオに向けるべきだ。
私との食事は、いつでも出来るもの。
【ルーガーディアン】との話は、国の話だ。だから最優先されるべき……理解している。
気まずそうにするルーファウス。
私だって別に怒っている訳じゃないわ。ただ、この状況で二人でご飯だなんてリア充のような行動、出来ないと思っていたから。
「あの、クラウ」
「なに!?」
「い、いや……その、ごめんね?」
可愛いのよね、この子。
子犬みたいな仕草に態度、怒る事すら馬鹿らしくなる。
怒ってない、怒ってないのよ。本当よ?
「もういいわよ、じゃあ……外で屋台でも回りましょうか」
私の言葉に、ルーファウスはパァッと明るく。
「あ、うん!!そうしようよ!!」
本当に、この子は可愛い。




