1ー9【成長を見せて2】
◇成長を見せて2◇
睨み合う程ではないのだが、これはアレだ。
男が割って入れないやつ。女の戦い?そこまでは言わない気もするけど。
それでも、きっと俺が介入すれば双方が納得しないんだ。
少なくとも、二年続けてきた恒例ではあるし、俺が出来る事と言えば、この訓練場が壊れないように【無限永劫】で強固にするだけだ。それだけしか出来ませんって。
「それじゃあ……行くわよミーティア!風よっ、その刃で斬り伏せる!」
「こっちこそ望む所よセリス!……氷よっ、凍てつき動きを封じて!!」
ゴォォォォォォ――
風と氷の……【固有領域】。
ミーティアは以前から使えて、そしてセリスも昨年習得した。意地で。
ミーティアの【固有領域】は、床や壁、天井までを凍らせる範囲フィールド。
一方でセリスは、自身の周囲に纏う無数の風刃。それは近寄る物体を自動迎撃する。
ミーティアは両足にスケートブレードを展開して滑り出す。
さながらフィギュアスケーターのようなドレスで、綺麗なんだよなぁ。
その際に既に【アヴァランチ・クロスボウ】で数回狙撃。先制攻撃だ。
ドシュッ!ドシュッ!と撃ち出される氷の矢。
青い魔力光を纏って、的確にセリスをターゲットとしている。いや殺意よ。
しかし、セリスはニッと笑うだけで動かない。
直撃となる直前、セリスの周囲に散布された風の魔力が形を成し、風の刃となって迎撃したのだ。これキッツいんだよ、俺の【石の槍】とかも落とすし。
パン!パパン!!と短い破裂音を数回鳴らして、緑色の魔力刃は氷の矢を完全に斬り払う。そしてそれと同時にセリスも跳躍し、走り出したミーティアへ向けて突出した。
「――はぁぁぁぁぁぁっ!!」
【ケツァルコアトル】は風の魔力を帯び、その風はセリスを宙に浮かせる。
【オリジン・オーブ】でも似たようなことが出来たらしいが、こちらは制御まで完璧にこなせる……なぜなら能力レベルが99だから。
「――【氷河の大壁】!」
ミーティアは地面(凍ってる)に手をかざし、魔力をほんの少しだけ注ぐ。
そこから石筍のように生えでた氷の壁は、弾丸のように飛んできたセリスを防いだ。
ドンッ――!!
「やるわねミーティア!」
「そっちこそ!じゃあ……これは!!」
「っ!?」
【氷河の大壁】は完全防御技じゃない。
氷はミーティアが操作できるんだから、こういう事も考えられる。
壁に槍ごと突き刺さったセリスは顔色を変えた。
自分の足裏を着ける氷の壁が変形し、セリス目掛けて伸び出したからだ。
「んぉ!!」
すんげぇ声出たぞセリス。
でも回避した。槍を持ったまま仰け反って、柄の部分を起点にして回転、そのまま氷の壁を蹴って槍を抜き離れる。その際に壁に向けて風の刃を数回飛翔。
ガガガッ――!
「割れる!」
ミーティアは直ぐに【氷河の大壁】から離れる。
その直後に氷の壁は粉々に砕け散り、ミーティアが寸までいた場所を風の刃が通り過ぎた。当たったら普通に死ぬぞ。
「そこぉ!」
「氷よ!」
ミーティア目掛けて飛び出すセリスは、風の刃を身にまとって突撃。
走りながら【アヴァランチ・クロスボウ】を構えていたミーティアは、それに向けて何度も氷弩射撃を行う。
「無駄!」
パン!と先程のように弾ける氷の矢。
しかしミーティアは続けて撃つ。砕かれようとも何度も。
「無駄だって言って……!?」
パキン――と、風の刃に砕かれた氷の矢が、空気中に漂っている事にセリスは気付いたようだ。
「そういう事よ!私の新しい技……【流れる青い星】」
【青い星】。
ミーティアが昔から使う弓術の魔法。
その派生系か……シューティングスターという事は、流星と言うこと。
ミーティアにピッタリの名だな。
風の刃は前方に展開されていて、砕けた小さな氷の欠片は周囲に散らばっている。
後ろにも左右にも、セリスは囲まれていた。
その一欠片一欠片が、クククッ……と動いて魔力を帯びる。
全方位から、細かくなった矢じりが星のように……流星群のようにセリスを狙う。
「ちっ!!――ご」
何かを発しようとしたセリスが言い終える前に、無数の氷の矢は射出された。




