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2ー49【自分を顧みて3】



◇自分を(かえり)みて3◇ミオ視点


 部下に諭されて、アレックスは渋い顔をしながらも黙った。

 いやガキかよお前。


「続けるぞ。精霊はな、自分の意志を最優先にしない種族だ。契約者の意思が最優先……場所によっては、道具にされる事が危惧されている」


 例えば、今のこいつのような自暴自棄野郎とかに契約されたら、酷い目に合いそうだ。


「お、おい……なんで僕を見るん――」


「俺は、【アルテア】で精霊たちを保護している。積極的に契約を求める精霊もいるしな」


 アレックスは「僕を無視するだと!?」と言っているが、無視だ無視。


「女王国が壊滅したあと、大臣二人が行方不明。精霊の解放を先導し、大勢の精霊を引き連れて姿をくらませたのが、あんたの父親だよ……でもって、あそこでぶっ倒れてる【死葬兵(ゲーデ)】に、精霊と契約させたのも、な」


「な!!」


 クレーターで倒れている【死葬兵(ゲーデ)】を指さして教えてやる。

 十中八九、間違いじゃない。【死葬兵(ゲーデ)】をこの場所に送り込んだのは、アリベルディ・ライグザールだ。


「なぁ馬鹿、父親に狙われる理由、知らねぇか?」


 俺はもうこいつを馬鹿と呼ぶ事にした。

 ガキの頃のイメージはもう無い。全部壊れたっての。


「き、貴様ぁ……」


 わなわなと拳を握るアレックス。

 両脇から押さえられる隊長さん……哀れだ。


「で、知ってるの知らねぇの?どっち?」


「知らない!僕が知りたいくらいだ!!知っているなら、君が教えれば良いだろう!いつもいつも……僕の周りをチョロチョロと、気に食わないんだよ、昔から!」


「こっちのセリフだ馬鹿。はぁ〜〜〜〜、疲れるマジで」


 多分、本当に知らないんだろうな。

 知っていたら、あの【死葬兵(ゲーデ)】についても詳しいはずだし。


「団長、落ち着いて下さい……あの、貴方もあまり団長をからかわないで下さい」


「あら。それは失礼」


 しっかりした子じゃないか。

 きっと誠実で、忠誠心の高い騎士だったんだろうな。


「まぁでも、現在大臣二人がどこにいるかは俺も知らない。探してはいるんだけど……ミーティアと一緒にな」


「!!……き、貴様っ……」


 そう、リアクション通り。

 俺はこれ見よがしに(あお)って言ってやったんだ。


「なぁ、俺がここに来たのは偶然。それはもう理解したよな?医者を探しているのも本当、近くの宿に怪我をした仲間がいるんだよ。それで、屋台通りでこっちに医者がいるって聞いて来たんだ」


「それは……ああ、分かっているつもりだ」


 つもり、かよ。どんだけ周りが見えないんだよお前は。


「数年前、聖女の騎士団が俺の村を攻め込んだ時……あの時の戦いで、俺は一種の決別が出来てる。村を焼かれた恨みが……無いと言えば嘘になるけど、それでも俺はもう前に進んでいる。お前がウダウダと地団駄踏んでいるうちに、皆で前に進んだんだよ」


 だからお前も、誰かに固執するのはやめろよ。

 しかし俺の思いとは裏腹に、アレックスの抱えているものはそうとう厄介だったらしく、拳を握り俺を睨む瞳には、怨念のようなものが宿っていた気がした。


「お前に……お前に何が分かる!!僕が、僕がどれだけ父の機嫌を伺ってきたか、全部が全部、あの人がいたから上手くいった!僕が何をしようが、全部塗り替えられる!覆される!だから必死だったさ……でも、でも!!」


 その結果、こいつは全て失った……と。

 聖女に力を貸したのも、こいつにとっては藁をも掴む思いだったって事か。


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