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2ー38【アーゼルの都・散策】



◇アーゼルの都・散策◇ミオ視点


 休息を終え、俺は【アーゼルの都】を見て回る。

 門から入る時は別人に扮装していた事を考えて、極力、門には近寄らない方向で。


「……流石、帝国の中心部。市場の(にぎ)わいに人の多さ、冒険者たちも多いし、さぞ(もう)かってるんだろうなぁ」


 この都から【アルテア】へ渡る商品も沢山あるが、やはりその場その場で物が違う。特に食品は目立つほどに、見た事が無い物が多かった。


 【アルテア】に届いていたあの民族衣装も、ここでは更に豊富だ。

 色合いも充実し、仕入れた女性用とは別に、男性用にカスタマイズされている小洒落た物まである。


 そして現在俺が見ているのは、今日の夕飯だ。


「食いもんも、他とは結構違うんだな。あ、これ下さい。三人前で」


「はいよ!三人前ね……あんちゃん冒険者かい?ここら辺は魔物が少ないから、冒険者の中継地点になるんよな。あんちゃんのような冒険者は、結構買ってくれるんだぜ?」


 屋台のおっちゃんが気前よく、大盛りにしてくれている。

 頼んだのは、つくねのような、団子状の肉料理。

 甘ダレの匂いが鼻をくすぐり、つい買ってしまった。

 砂糖はこっちでも高価だから、果実とかの香りなんだろうか。


「ん、まぁそんなとこっす。今日着いたんですけど、治安もいいみたいっすね」


「あ〜、ここはな。(はず)れに行けば、まぁまぁ物騒な場所もあるんだよ。それだけ人が多いって事だが、悪さをする(やから)も結構いてな。ま、外れには良い医者もいるから、それでチャラだな!わはははっ」


 俺はおっちゃんの言葉に「へぇ」と感心を装いつつも、周辺の景色をインプットしておく。確かにこの市場通りは治安が良い、それに町並みも綺麗だ。

 しかしこの綺麗な町並みに惑わされそうになる、一部の景色。


 おっちゃんの言う(はず)れは、あそこか。

 同じ都内のはずなのに、明らかに空気が違う。


 そんな場所に、医者……か。


「あいよ!お待たせっ!!」


「ども」


 袋詰された三人前の肉団子を持ち、料金を払い、一度人気(ひとけ)のない場所へ進み、【転移(てんい)】で宿へ。

 夕食としてセリスに渡し、再度【転移(てんい)】で外へ。


 気になったのは、(はず)れの雰囲気だ。

 道も整備されていない、ガタガタの道。

 木々の伐採にも手を入れてる感じはしなく、まるで雑木林だ。

 統一感のないまばらな景色に、帝国中心部の都と名高い場所とは思えない景色。

 それを放置している貧富の差に、嫌気が差したんだ。


 視界に映る建物はボロボロ、道はガタガタ。

 ゴミは落ち草木は伸び放題、本当に都の一部なのかと、それでいいのかと思わせる。


「貧困はどこにでもあるとはいえ、一歩進んだ先がこんな状態だってのに、都の住民は我関せずどこ吹く風……だもんな」


 【アルテア】では極力なくしたい問題。

 現在は問題になる範囲ではないが、今後は分からないからな……出来れば、他の場所でも同じように出来ないものか。


 そんな考えの俺と、この先にいる誰かさん。

 数日前には思いもしない。そんな再会が待っているとは知らないままに……俺は貧困街へ歩き始めた。


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