記憶67 狙撃
亜理砂は先程ビルから落下していった自衛隊員が落とした無線機を使って上空で待機しているヘリにあることを話していた。
『誰か知らないがそんな危険な真似が出来るわけ無いだろ!』
「でもこれしか方法が思い付かないんです!このままだと頼斗さんが殺されるんです!」
『もうすぐで反対のビルから自衛隊員が数人そちらに向かうはずだ。それまで待ってろ』
「それまで待てるわけ無いじゃないですか!もうあなたたち自衛隊には頼りません!私一人でも頼斗さんを助けます!」
『ま、待て!よく考え───』
亜理砂は無線を投げ捨てる。
亜理砂は避難民の人混みを掻き分けながらヘリポートに進む。
人混みを出るとヘリポートの真ん中で頼斗が倒れていた。
「頼斗さん!」
「あ、お前生きてたのか・・・」
特殊変異した男性は触手を伸ばすと亜理砂の喉に絡ませる。
「さぁーて、どう殺してやろうかな」
「あんたは何が望みなのよ」
「さぁね。俺はこの力を思う存分に使いたいんだよぉぉぉ!」
特殊変異した男性の叫び声が名古屋市に響き渡る。
「ふふっ。安心しろ。お前はきれいな状態で殺してやるよ」
特殊変異した男性は亜理砂の口から体内に触手を侵入させる。
「おごっ!?」
「お前の内蔵をかき回してやる」
ピン
何かのピンが抜ける音がする。
特殊変異した男性が音のした亜理砂の右手を見ると手榴弾が握られていた。
「おま!何処で手に入れたんだ!?」
「ほがっ!ほが!」
亜理砂は口を触手で塞がれてうまく喋れない。
「ばーか」
特殊変異した男性は亜理砂の口から触手を抜くと亜理砂の手から手榴弾を奪い取ると遠くに投げる。
ドォン
手榴弾が上空で爆発する。
亜理砂はその場で咳き込んでいる。
「まさか、あれが作戦じゃないだろうな」
すると、上空で待機しているオスプレイがJRセントラルタワーズから離れていく。
「ははっ!救助を諦めて逃げていk・・・ぐひゃ」
特殊変異した男性の様子がおかしくなっていく。
「何だ・・・俺の意志が・・・ぎゃさああああああああああああ!」
その場にいた全員が耳を押さえるほどの叫び声が名古屋市に響き渡る。
ビシュッ
特殊変異した男性は触手を伸ばすと避難民の中の一人の男性を貫く。
「きゃあああああああ!」
「うわあああああああ」
避難民はJRセントラルタワーズの中へと逃げていく。
特殊変異した男性は触手で刺した男性を引き寄せると食べ始める。
「やっぱ・・・ぐへ・・・新鮮が・・・ぐひゃああ」
(この人完全に理性を失ってる!)
亜理砂はその場から一歩後ろに下がると特殊変異した男性が亜理砂を見る。
「ひっ!?」
ビシュッ
「うぐぁ・・・」
再び亜理砂の喉に触手が絡まる。
「お前・・・ウマソウ」
(やば・・・これは死んだかも・・・)
タァン
ビシュッ
突然、目の前で特殊変異した男性の頭部が吹き飛ぶ。
それと同時に亜理砂の喉を絞めている触手が緩む。
亜理砂はすぐに気絶している頼斗を引きずりながら特殊変異した男性から離れる。
亜理砂はオフィス側のビルを見ると警察官や自衛隊員に取り押さえられるドラグノフを持った優香里が見える。
「オスプレイが離れたってことは作戦を引き受けてくれたはず・・・!」
バババババババ
固定翼航空機モード(回転翼を地面と水平にしている状態)でJRセントラルタワーズに向かってきているオスプレイが見える。
その後ろからは朝日が登り始めていた。
「ヒドイヨォ」
亜理砂は声が聞こえた方を見ると特殊変異した男性の吹き飛ばされたはずの頭部がもとに戻っていた。
「モウユルサナイヨ」
特殊変異した男性は触手を亜理砂に向かって伸ばす。
「フタリトモ、クシザシニシテアゲル!」




