記憶66 AH-1S コブラ
頼斗が眠りについてから2時間後名古屋市上空にはオスプレイ、チーヌクが1機ずつ、その近くには護衛としてAH-1S コブラが飛んでいた。
コブラの中では自衛隊員が会話をしていた。
「もう名古屋のここだけか」
「あぁ。ここを回収すれば中部、北陸、近畿、関東は緊急無線がない限りもう避難民はいないはずだ」
「それで名古屋駅はもうすぐつくのか?」
「もうすぐで・・・見えたぞ。あの発煙筒を焚いている建物だ」
「何で護衛なんているんだすかね?」
「さぁな。俺達が出る幕では無いだろ」
ヘリの編隊はJRセントラルタワーズに近づくと屋上のヘリポートで銃のマズルフラッシュが見える。
「おい。何かと戦ってないか?」
「あれは・・・突然変異したやつだ!」
「いや・・・あれは特殊変異ですよね?」
「・・・おい。突然変異と特殊変異って何が違うんだよ」
「どっちも化け物ですが突然変異は人間だった頃を完全に忘れてしまっている事で、特殊変異は人間だった頃を少しでも覚えていれば特殊変異になります」
「そうなのか・・・あいつ左腕が触手になってやがる」
その頃JRセントラルタワーズ屋上のヘリポートでは自衛隊員が64式小銃を特殊変異した男性に向けて発砲するが、特殊変異した男性は触手を盾代わりにして銃弾を防ぐ。
屋上には頼斗や亜理砂、他の避難民がいた。
オフィス側のビルの屋上には亮介や優香里、自衛隊員のほとんどがいた。
オフィス側のビルから数人の自衛隊員が89式小銃を発砲するが特殊変異した男性には当たらない。
「小賢しい!」
特殊変異した男性は64式小銃を撃っている自衛隊員は触手を伸ばして弾き飛ばす。
「うわぁぁぁあ!」
自衛隊員はビルから名古屋駅に落ちていく。
「これで邪魔者は完全に消えたな」
特殊変異した男性はゆっくりと避難民がいるところに寄ると触手を伸ばして避難民の中に混じっていた頼斗の首に触手を絡ませて持ち上げる。
「俺はこの瞬間を待ってたんだよぉぉぉ!」
「あが・・・」
頼斗は必死に足の痛みを堪えながらもがくが触手はびくともしない。
「ただで殺すのもつまらねぇな・・・」
特殊変異した男性は頼斗を触手を解いてその場に落とす。
「いてっ!」
特殊変異した男性は触手を振り上げると頼斗の撃たれている左脛に触手を振り落とす。
バキャ
「うがぎゃあああああ!」
頼斗の左足の脛周辺の骨が砕ける。
その光景を避難民はただ見ていた。
オフィス側のビルでは自衛隊員が上空で待機しているコブラに攻撃を要請していた。
「向こうのビルの特殊変異したやつに攻撃を求む!」
『しかし、目標の近くには民間人がいて攻撃したら当たる可能性が・・・』
「それでも撃つんだ!放っておけば何をするか分からない!」
『了解しました』
コブラの射撃手はM137 ミニガンを操作して特殊変異した男性に向ける。
「撃つぞ」
射撃手がボタンを押したとき、機体全体が揺れる。
「何があった!?」
「あいつが触手を伸ばして攻撃してきた!」
操縦室に警告音が響き渡る。
「今度はどうした!?」
「分かりません!操縦不能です!」
コブラは徐々に高度を下げていくと名古屋駅のホームに墜落する。
墜落後すぐにコブラから炎が上がる。
オフィス側のビルの屋上の自衛隊員達はその光景をただ見ていた。
頼斗は痛みで気が遠くなっていた。
「まだ気絶するんじゃねぇぞ」
特殊変異した男性は頼斗の右手首を折る。
バキャ
「いづああああくぁあ!」
頼斗は悲鳴をただあげていた。
その頃、避難民の中で隠れて亜理砂は落ちていた無線で上空の自衛隊員と連絡を取っていた。




