記憶49 フラッシュバック
頼斗達が乗る車は遠州森町パーキングエリアに来ていたが、パーキングエリアの入口では何台も絡む事故が発生しており、パーキングエリアには入れそうになかった。
「いい加減にパーキングエリアかサービスエリアで何か飲み物を買いましょうよ」
「そうね・・・お腹も減ってきたしね」
「次のサービスエリアで飲み物を貰いに行くわよ」
「貰う?」
「・・・盗むのよ」
「警察も物を盗むなんて地に落ちましたね」
「もうこんな世の中じゃ警察なんて関係ないわよ」
遠州森町パーキングエリアを過ぎて少し田園風景が広がるが、やはり所々の民家から火の手が上がっていた。
「どこも景色は変わりませんね」
「私達はこれからどうすればいいんでしょうか・・・?」
「さぁね。とにかく中国地方に行くのが今のところの目標ね」
浜松浜北料金所の付近まで車は進んできた。
突然一台のマイクロバスが本線に合流してきた。
パーーー
優衣は車のクラクションを鳴らす。
「危ないじゃない!」
「・・・何か様子がおかしくないですか?」
頼斗の言う通り、マイクロバスはフラフラと小さく蛇行をしていた。
優衣はアクセルを少し踏み込みマイクロバスに近づいていくと、マイクロバスの窓に血が飛び散るのが見えた。
「あのバスの中はゾンビだらけだわ!」
優衣がそう言った瞬間にバスは中央分離帯にぶつかり、道を塞ぐようにして横転する。
「ふざけんじゃないわよ!」
優衣は急ブレーキをかける。
ギャギャギャ
タイヤが道路上に黒い跡を二本つける。
しかし、車はマイクロバス激突する。
ガシャァン
亜理砂は頭をシートにぶつけて意識を失った。
亜理砂が気絶したとき優衣はエアーバックで守られ、頼斗は衝撃に備えることができて気を失うことはなかった。
「斎藤くん大丈夫?」
「俺は大丈夫ですけど・・・佐々木が・・・」
「大丈夫。気絶してるだけ」
優衣と頼斗は車から降りる。
「バスの様子を見るわよ」
優衣はM2013を取りだし、セーフティーを解除する。
頼斗も車からレミントンM870を取りだし、弾をこめる。
二人は中央分離帯を越えて反対斜線に行くと、バスの様子を見る。
バスの中ではゾンビが死体を必死に喰らっていた。
「生存者なし・・・」
すると、ゾンビが二人に気がつき迫ってくる。
パンパンパンパンパン
優衣は冷静にM2013を撃つ。
銃弾はすべてゾンビの頭部をとらえていた。
頼斗は中央分離帯を越えてバスの正面にまわる。
バスの正面ではゾンビが彷徨いていた。
ドン
頼斗が散弾を放つとゾンビが吹っ飛ぶ。
そんなことを繰り返しているとゾンビは片付いた。
「もう大丈夫ですかね?」
「後方も確認しとくわよ」
二人はバスの後方にまわると、ゾンビが一体バスに下半身を潰されてもがいていた。
「・・・哀れよね・・・動けなくても欲望のままに動くのね」
ブチブチ
ゾンビの上半身だけが千切れて手の力だけで二人に向かってくる。
その断面からは腸などが出ていた。
「私が片付けるわ」
パン
優衣は上半身だけのゾンビの眉間を撃った。
「車に戻りましょうよ。佐々木が起きてるかもしれませんよ」
優衣はその場から一歩も動かない。
「何してるんですか?行きますよ?」
それでも優衣はその場から一歩も動かない。
動かずにずっと死体となった上半身だけのゾンビを見ている。
(この状況どこかで・・・)
そう思いながらも頼斗は中央分離帯を越えていた。
その時、頼斗の頭の中で核が落とされた後の和花の事が思い出された。
(マズイ!)
急いで頼斗は優衣の所に戻ろうと中央分離帯をまた越えて優衣のところへとダッシュをして戻る。
パン
ビシャッ
頼斗の顔に熱い液体がかかり、その熱い液体が少し口の中に入る。
「なんだこれ?」
頼斗が液体を触ると手が真っ赤に染まり、口の中では血の味が広がっていた。
ドサッ
優衣が倒れる。
そして、頭からは大量の血が流れ出る。
優衣の手にはM2013が握られており、そのM2013の銃口には血が少量だがついていた。
「うわああああああああ!」
頼斗は横転しているバスの屋根に頭を何回もぶつける。
「嘘だ!こんなの嘘だ!」
頼斗は今の出来事を忘れようと何度も頭をぶつける。
すると、奥から一台のバスが走ってきた。
バスからは何人も人が降りてきて頼斗や亜利砂の元に駆け寄ってくる。
ガァン
思いっきりバスの屋根に頭をぶつけると頼斗の視界がグニャリと歪み、意識がと途絶えた。
残念なことですがここまでで死ぬ人は初期から決まっていました。
感想待ってます。




