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リアル キール~デッド アイランド~  作者: タコ中
新・旧東名高速道路
46/68

記憶46 お調子者

優衣が運転する乗用車は海老名サービスエリア付近まで来ていた。

海老名市も生存者はおらず、代わりにゾンビがうろついている状態だった。


「高速大丈夫じゃないですか?」

「一回高速乗ってみるわね」


車は海老名インター前交差点から東名高速道路に入った。

東名高速道路は全くといって良いほど放置車両や、事故車両はなかった。


「静岡まで飛ばすわよ」


優衣はアクセルを踏み込む。








車は何の問題もなく新東名高速道路と東名高速道路の別れ道がある御殿場ジャンクション付近まで来ていた。

ここら辺までくると路肩に止まっている車が増えてきた。


「皆はどこに逃げる気なんでしょうね?」

「私たちと同じ四国じゃない?」

「そう言えば、優衣さんのお母さんって・・・静岡じゃ・・・」

「・・・もうこんな状態じゃ無理でしょうね」


車内が静かになってしまう。

すると、ノイズしか聞こえなかったカーラジオから緊急ニュースが流れてくる。


『―――現在、政府により本州完全閉鎖が行われました。』


「は!?」


車内の三人は耳を疑った。

それでも、カーラジオでは淡々とニュースを読み上げていく。


『本州完全閉鎖により、四国や九州、北海道、などへ続く連絡橋や、海底トンネルは自衛隊に破壊された模様です。なお、本州への救助は一切行わず、本州の避難民も受け入れを拒否する方向で―――』


「なによそれ!」


優衣がハンドルをギュッと握る。


「は・・・はは・・・俺達は見捨てられたのか」

「嘘でしょ・・・私達にどうしろって言うのよ!」


頼斗達が混乱する中でカーラジオではニュースが流れてくる。


『―――この混乱により、世界経済は復旧不可能なほどのダメージを受け、世界の株価は大暴落しており、これからも株価は下がり続けると見られております。さらに、アメリカでは17の州が完全閉鎖されており、他の各国でも同じような体制が取られています。中国では、上海、北京、が軍により完全閉鎖、ヨーロッパでは――』


「・・・閉鎖された場所の人間は見捨てる気ね」

「でも、感染はこれで収まるんでしょうか?」

「知るわけ無いでしょ。未来なんてわかるわけ無いんだし」


車は新東名高速道路の方の車線に入る。


「新しい方でいくんですね」

「こっちの方が山沿いを進むからね」


しばらく進むと富士市に入る。

富士市の至るところでは火災が発生していた。


「静岡市はどうなってんだよ・・・」

「ここより地獄でしょうね」


優衣はさらっと言う。


新東名高速道路のトンネルを数本抜けると静岡市の方向に大量の黒煙が青空に上がっているのが高速道路からわかった。


「マジかよ・・・」


車は新東名高速道路、静岡サービスエリアに入る。

サービスエリアの駐車場には数台の車が止まっていたが、どれも乗り捨てられているようだった。


「誰かいませんかー?」


亜理砂はレミントンM870を持って車を降りる。

そのあとに続いて頼斗と、優衣も降りる。

三人はサービスエリアの建物の入り口まで来たが、入り口の鍵は閉められていた。


「サービスエリアの意味無いじゃん!」


三人は車に戻ろうとしたとき、サービスエリア内から悲鳴が聞こえてきた。


「きゃぁぁぁぁぁぁ!」


「中に人がいる!」


ドゥン


亜理砂は迷わずに鍵のかかっているガラス扉の下の方を撃つ。


バリィン


ガラスが下半分が割れる。

ガラスの割れたところから亜理砂は手を突っ込み、鍵を開けた。


「早く助けにいきますよ!」

「お、おう・・・」


頼斗と、優衣は亜理砂の勢いに負けてついていく。

サービスエリア内は照明がすべて消えており、明かりの頼りとなるのは非常灯ぐらいだった。


「暗いわね・・・」


タッタッタッ


奥から何かが走ってくる音が聞こえる。

三人はその方向に銃を向ける。

すると、暗闇の中から一人の20歳ぐらいの女性が走ってくる。


「た、助けてください!」


ガシッ


暗闇の中から突然手が伸びてくると女性の肩を掴んで強引に引き寄せる。


ブシャッ


女性の首をゾンビが噛んで血が吹き出す。


「あ・・・がっ・・・う・・・ひっ・・・」


女性は言葉にできない悲鳴をあげている。

ゾンビは女性を押し倒すと服を剥ぎ、女性のお腹を出すと、喰らい始める。


「うぎっ―――――」


女性は完全に意識を失ってしまう。

しかし、ゾンビはお構いなしに腹の肉を食いちぎると手で腸を引きちぎり食べ始める。

三人はその様子を呆気にとられた様子で見ていた。


「うげぇぇぇぇ」


頼斗はその場に胃液を吐いてしまう。

頼斗が胃液を吐いたのを聞いてゾンビがゆっくりと立ち上がり、三人の方へと向かってくる。


パン


優衣がゾンビの頭をM2013で撃つ。

ゾンビは頭に銃弾を喰らい倒れる。


「この奥に行くの俺・・・嫌です」

「私も同じです」

「・・・さっさと車に乗って行くわよ」


三人はサービスエリアを後にすべく、入ってきた入り口に向かう。


ガシャン


「なに!?」


後ろで何かが倒れる音がして優衣はすぐに振り向くと、そこにはゾンビが数十体いた。

その中には先程食われていた女性も混じっていた。


「は・・・?」

「え・・・?」


優衣と亜理砂は唖然としていた。


「佐々木!小笠原さん!逃げるぞ!」


頼斗の声でハッとした優衣と亜理砂は車に向かって走り出した。

サービスエリアを出ると亜理砂がドアを閉めた。


「そんなことしたって無駄よ!早く車に!」

「わかってますよ!」


ゾンビの大群は亜理砂が閉めたドアを破って追いかけてくる。


「何で車を遠いところに止めたんですか!?」

「良いから走りなさい!あいつら意外と歩くスピードが早いわよ!」


三人は車になんとかたどり着く。


「早く乗って!」


優衣は運転席に座る。

後部座席にも亜理砂と頼斗は乗り込む。


「早くエンジンをかけてください!」

「わかってるわよ!」


優衣はポケットを探っている。


「まさか・・・」

「・・・鍵、落としちゃった」

「はぁ!?何で刺したままにしなかったんですか!?」

「盗まれると不味いと思って・・・」

「それなら何で車に鍵をかけなかったんですか!」

「あ!あそこに!」


亜理砂が指を指す先には鍵が落ちていた。

しかし、その先にはゾンビが迫っていた。


「俺が取ってきます!」


頼斗はレミントンM870を持って車から降りた 。

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