記憶37 首都圏壊滅の始まり
明けましておめでとうございます!
オスプレイは川崎浮島ジャンクションの自衛隊のキャンプに着陸した。
ハッチが開くと続々と避難民が降りていく。
頼斗達も降りるが亜理砂が止められる。
「君はこっちに来なさい」
亜理砂は自衛隊員につれられて一つのテントにはいる。
テントの中では数人のスーツ姿の人が待っていた。
「何で呼び出されたかはわかるかな?」
「はい・・・2年前ですね」
「そうだ。その事だが国家機密だから他の人に話さないでほしい。誰にも話してないよね」
「・・・はい」
「それならここにサインをしてほしい」
部下らしき人物が紙を一枚机に出す。
「この契約書にサインをしてほしいんだ。なに、難しいことじゃない。2年前の事を話さなければいいだけなんだ」
亜理砂が紙を見ると確かに言われたようなことしか書いてなかった。
『2年前の先沢村のことに関して誰にも言わないこと。もし、話した場合は法的処置に出る』としか書いてなかった。
亜理砂は紙に名前を書いた。
「用件はこれだけだ。どこでもいっていいぞ」
亜理砂はさっさとテントから出る。
テントを出ると頼斗達が待っていた。
「さっさと行くぞ」
「え?行くってどこに?」
「俺のじいちゃんがいる世田谷区に」
「他の皆さんの両親は?」
「俺(利之)の両親は先月でいなくなった」
「私(和花)のお父さんお母さんは福岡だし」
「私(優衣)は静岡」
「ほら、行くぞ」
頼斗達は川崎浮島ジャンクション付近の自衛隊のキャンプを出ていく。
東京都千代田区東京駅付近でトラックが一台パトカーに囲まれていた。
「大人しく出てこい!」
警察官が拡声器で呼び掛けるが何の反応もない。
「クソッ!大人しく止まってくれたのによ・・・」
周りには野次馬が集まって写メを撮っていた。
「本庁の生物災害対策課はまだか!?」
「今来ました!」
テレビなどでよく見る青いバスみたいな機動隊輸送車が到着する。
機動隊輸送車からはMP5やライオットシールド(盾)を持った機動隊員達が降りてくる。
「ようやく来てくれたか」
「状況は?」
「トラックはエンジンをかけたまま停車しており運転手は沈黙を続けています」
「とにかくトラックは我々生物災害対策課に任せてくれ。他は野次馬や近くの建物にいる民間人を避難させてくれ。半径500mは近づけるなよ。何があるか分からんからな」
「わかりました」
警察官達は野次馬を必死にトラックから遠ざけている。
「一応皇居の方にも避難を」
「わかりました」
機動隊員は無線で話始める。
「もう避難をした後みたいです」
「そうか。それなら良いんだが・・・」
機動隊員達はトラックの後ろにライオットシールドを持った隊員を前に、MP5を持った隊員をその後ろに配置させた。
「先ずは運転手だ」
二人の隊員が運転席に向かい、運転席のドアを開ける。
運転席のドアを開けると、運転手は感染しており隊員に襲いかかってきた。
「うわぁぁぁぁ!」
一人の隊員がゾンビに押し倒される。
しかし、もう一人の隊員が素早くゾンビを引き離すと道路の中央に投げ飛ばした。
ゾンビはヨロヨロと立ち上がると隊員の方に向かってくる。
ゾンビを引き剥がした隊員がMP5を構えると引き金を引いた。
タタタタタタタタタ
ゾンビは全身に銃弾を喰らい倒れたあと動かなくなった。
「目標沈黙しました」
「次はこっちだ」
今度はトラックの後ろのドアを開ける。
しかし、トラックの中にはなにも入っておらず空っぽだった。
「空・・・」
すぐに隊長らしき人物はあることに気がつく。
「これは囮だ!」
すると、すぐに無線が入る。
『六本木ヒルズ内にてスプレーのような物を撒き散らしている男性がいるとの通報があった。付近の警官は速やかに六本木ヒルズに来るように』
「その死体はこれから来るやつらに任せて六本木ヒルズに向かうぞ!」
機動隊員達は機動隊輸送車に乗り込む。
「お前は残って死体を見張ってろ」
「了解しました」
機動隊員一人がその場に残って死体を見張ることになった。
機動隊輸送車は六本木ヒルズに向かった。
六本木ヒルズ周辺は野次馬が集まっていた。
「こいつら怖くねぇのかよ・・・」
六本木ヒルズの入り口に向かうと警官が車両を誘導していた。
車両はそれにしたがって停車した。
そして、隊員が降りる。
「状況は?」
「はい。六本木ヒルズの内部はすべて感染者で埋め尽くされています。そして、六本木ヒルズの正面以外の入り口はシャッターが閉じており完全に封鎖されています」
「交番があっただろ。そこの警官はどうした?」
「男性を取り押さえるときにスプレーを浴びたらしく・・・そのまま・・・」
「そうか・・・」
隊員達はトラックの時と同じ陣形を取っていた。
六本木ヒルズの正面ドアを早くもゾンビが叩いていた。
「早くしないとまずいな・・・」
「隊長どうします?」
「全員突入だ。無理はするなよ」
六本木ヒルズの正面ドアを開けるとゾンビが出てくる。
タタタタタタタタタ
MP5の銃声が響き渡る。
すると、銃声につられて大量のゾンビが集まってくる。
「くっ・・・!数が多すぎる!」
「ひとまず退却だ!」
機動隊員達はドアを閉める。
ドンドンドン
ゾンビがガラスドアを必死に叩く。
ビシッ
ガラスにヒビが入る。
「まずい!全員射撃準備!」
機動隊員達はドアに向かってMP5を構える。
バリィン
ガラスが割れてゾンビが雪崩れ出で来る。
タタタタタタタタタ
ゾンビが銃弾を食らって倒れるが後ろからドンドンゾンビが出てくる。
カチン
「クソッ!」
機動隊員達が次々と弾切れになりマガジンを変える。
しかし、マガジンを変えている間にゾンビの大群が押し寄せてくる。
ライオットシールドを持った隊員が必死にゾンビを押さえるが数に負けて噛まれていく。
「ぎゃぁぁぁ!」
「うわぁぁぁぁ!」
次々と隊員が噛まれていく。
すると、周りに集まっていた野次馬が一斉に逃げていく。
「警察官にも発砲許可を与える!」
警官も発砲を始めるがゾンビに数で負けて押されていく。
一人の警官が無線で本町に連絡を取る。
「非常事態宣言を発令してください!もう限界です!」
『もう少し粘れないのか!?』
「もう無理です!数が多すぎです!早く非常事態宣言を・・・」
警官が話していた無線機がついていたパトカーに血が飛び散る。
その数分後に東京都23区に非常事態宣言が発令された。




