記憶34 バトル開始
頼斗と亜理砂は3階の薬局に入る。
「お、戻ってきたね」
頼斗は和花達のもとに駆け寄る。
亜理砂は戻ってきてすぐに机の上の上下二連式散弾銃を持つと、千秋に向ける。
「気が早いね」
「私はあなたを殺します」
「そう・・・亜理砂ちゃんが本気なら私も手加減なしでいくけど良い?」
「・・・もちろんです」
ゴシャァァァン
亜理砂が返事をした瞬間に薬局の自動ドアが吹き飛ぶ。
その音に避難民や自衛隊員達も気がつく。
亜理砂は薬局の中にあった机を盾にして身を守っていた。
頼斗達は千秋の後ろにいたので被害はなかった。
「あれぇ~?今ので殺ったはずなんだけどな」
亜理砂は薬局から出ると階段を降りて中央管理棟の中央ホールに出る。
千秋は3階から飛び降りて中央ホールに出る。
「ここが決闘場所?」
「そうです。ここがあなたの墓場です」
ドン
亜理砂が上下二連式を放つ。
千秋は素早く触れずにベンチを立てて散弾を防いだ。
「ふー。危ない危ないもうちょっと近かったら貫通してたよ」
千秋はポケットからボールペンを取り出す。
「あ、私の能力は大体わかってると思うけど運動エネルギーを吸収して自由自在に放出できるから」
シュン
カッ
ボールペンはものすごい早さで亜理砂の脇を通りすぎて壁に刺さる。
「へぇ~、それはどうもご親切に!」
ドン
亜理砂は上下二連式を撃つ。
しかし、散弾は千秋の手前で止まると落ちる。
「はぁ~、疲れるから銃弾とか止めたくないんだよね」
亜理砂は上下二連式の真ん中を折ると空になった空薬莢が出て、亜理砂は新しい弾を込める。
「動くな!」
すると、自衛隊員や警察官が千秋と亜理砂を囲むようにして銃を向ける。
「お前ら銃を置いて両手あげろ!」
「嫌だ!」
千秋は中央ホールにあるベンチを数個浮き上げると自衛隊員や警察官に向かって飛ばす。
「グハッ!」
「ぎゃぁぁ!」
自衛隊員達は吹っ飛び、倒れたまま動かなくなった。
「貧弱だね~」
しかし、自衛隊員の一人は薄れていく意識のなか9㎜拳銃を構えて撃つ。
パン
銃弾は千秋にはと届かない。
「ば・・・化け物・・・」
自衛隊員は気絶してしまう。
千秋にはしっかりと「化け物」という言葉は聞こえていた。
「化け物ね・・・」
ドン
亜理砂が上下二連式を撃っていた。
「あー!ここじゃ邪魔が入る!」
千秋は散弾を止めると、転がっているベンチを浮き上げると亜理砂に向かって飛ばす。
ビュン
亜理砂はそれをギリギリ避ける。
「危ないな!」
すると、亜理砂の目の前にベンチがまた飛んでくる。
ドゴッ
「ぐぁっ・・・!!」
ガシャァン
亜理砂はベンチに吹っ飛ばされ、正面入り口のガラスを割り外に出る。
「痛った~」
亜理砂の頭から少し血が出る。
千秋も外に割れたガラスの場所から出る。
「ここなら邪魔者は入らないよね」
ヒュン
ボールペンが亜理砂の横を通りすぎる。
頼斗達は一階に来ていた。
「援護しないと!」
優衣がM2013を構える。
しかし、銃に和花が手を添えて銃を下ろさせる。
「これはあの二人で解決しないといけない問題なの。私達が手を出して良いものじゃないわ」
「でも・・・」
「亜理砂ちゃんを信じて」
優衣はM2013をしまう。
頼斗達の後ろの気絶していたはずの自衛隊員のうちの一人が起きていた。
自衛隊員はこっそり無線機を取り出すと通信を始めた。
「こちら南エリア中央管理棟ですが最上 千秋を発見しました・・・排除をお願いします・・・」
『了解した。Fー35戦闘機をそちらに二機送る』
千葉県の陸上自衛隊木更津駐屯地の滑走路から二機のFー35戦闘機が飛び立った。
本当にゾンビが出てこなくなってきた・・・




