記憶30 待ち望まない再会
チン
エレベーターが最上階に着いた。
最上階で救助ヘリを待っていてもいいはずなのに人は一人もいなかった。
「・・・トイレ行っていいですか?」
頼斗が近くのトイレを指す。
「あ、私もいきたいかな?」
「私も」
「私も行きたいです」
「ほとんど全員じゃねーか」
結局、最上階のエレベーターホールには利之一人だけが待つことになった。
利之はエレベーターホールに儲けられているベンチに座る。
しばらくするとトイレからゾロゾロと女性が出てくる。
「斎藤おせぇな・・・」
利之がそう呟くと丁度頼斗がトイレから出てくる。
「待たせてすいません」
「そんなこといちいち謝らなくていいから行くわよ」
頼斗達はエレベーターホールを出て外に出る。
外は風が強く吹いておりタオル程度なら飛んでいきそうな風だった。
「風が強いですね」
「そりゃこの島で一番高い建物の屋上だもの」
頼斗達は屋上のHが書いてあるヘリポートに向かう。
ヘリポートは少し高いところにあり、階段を少し登っていかなければ行けなく、仕方がなく頼斗達は階段を登る。
「これでゾンビがいたらどうします?」
「そんなわけないってここは最上階だぜ?」
冗談を言いつつも何気に亜理砂は上下二連式散弾銃を構えながら登っていた。
「もう少しだな・・・」
「自衛隊員はどこ行ったのかな?」
「これを上がれば分かりますよ」
優衣の言う通りヘリポートに登ると自衛隊員がうつ伏せで倒れていた。
そして、その横では長い髪や、白衣が風でなびいている女性がいた。
「誰!?」
和花と優衣がM2013を白衣を着た女性に向ける。
「誰って・・・お?」
白衣を着た女性は頼斗達のうちの一人を見る。
「亜理砂ちゃんじゃん」
白衣を着た女性は手を降っている。
「知り合いか?」
頼斗が亜理砂に聞こうと振り向くと亜理砂は信じられないと言う表情をしていた。
「・・・おい?」
頼斗が亜理砂の肩をさわると何かが吹っ切れたようにヘリポートを出ていった。
「待てよ!」
「俺が行く!」
頼斗が追いかけようとすると利之が頼斗を引き止め利之が亜理砂を追いかけていった。
「あーあ、行っちゃった・・・」
白衣を着た女性は残念そうな顔をしている。
「両手を挙げて跪きなさい!」
頼斗もドラグノフを女性に向ける。
しかし、ゆっくりと女性は歩いてくる。
「それ以上近づいてくるなら治安法にのっとって撃ちますよ」
「良いけど?」
和花は引き金を引いた。
パン
乾いた銃声がヘリポートに響き渡った。
少し前エレベーターまで来ていた亜理砂はエレベーターのボタンを連打していた。
「早く!早く!」
ガシッ
利之が追い付き、亜理砂の手を掴む。
「何なんだよ。あいつと知り合いか?」
亜理砂は利之が掴んでいる手を振りほどく。
「そうですよ・・・2年前に助けてもらいました」
「それなら命の恩人じゃねぇか、何で逃げるんだよ?」
「それは・・・あの人がこのウィルスを作った張本人だからです・・・」
「は・・・!?」
「それと先沢(さきざわ)村って知ってますか?」
「いや・・・知らねぇけど・・・」
「そうですよね・・・」
「ちょっと待て!何が何だかさっぱりわかんねぇ!ちゃんと説明してくれよ!」
「あの人は4年前の石川県隔離・封鎖からしばらくしたときに村に表れました。そして村に馴染んだ2年後・・・村でバイオハザードを起こしたんです」
「はぁ?そんなことニュースになってないぞ!」
「でしょうね・・・政府が隠蔽したんですから」
パン
亜理砂と利之に銃声が聞こえる。
「話は後だ。ヘリポートに行くぞ!」
「嫌です・・・」
「目の前の事から逃げんな」
利之は無理矢理亜理砂を引っ張ってつれていった。
ゾンビが出てこなくなってきた・・・




