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リアル キール~デッド アイランド~  作者: タコ中
うみほたる中央管理棟
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記憶28 うみほたる中央管理棟

車は中央管理棟に向かう通りをゾンビを時々轢きながら進んでいく。


ドン


ゾンビを轢く度に車のボンネットやバンパーがへこんでいく。


「中央管理棟まで持ちますかね?」

「日本車だから大丈夫でしょうね」

「それは関係無いだろ・・・」


中央管理棟に近づくと徐々にゾンビが増えてきた。


「中央管理棟はゾンビで囲まれてるんじゃない?」

「そうかもしれませんね」

「まぁ、中にいる人が何とかしてくれるだろ」


利之は助手席のダッシュボードをあさっていた。

すると、ガムを発見する。


「ラッキー」


利之はガムを食べる。


「俺にも下さい」

「私も」


利之は頼斗、和花にガムを渡す。


「佐々木は?」


利之はガムを見せる。


「ガム嫌いなんで・・・」

「珍しいな」


利之はガムをポケットにしまう。

次第に中央管理棟が近づいてくる。


キキッ


突然優衣が車を止める。


「何で止めたんだよ」

「いや・・・車では無理ですよ」


優衣は前を指差す。

前には10式戦車が二台と運送会社のトラックが並んでバリーケードを作りそのバリーケードにゾンビが群がっていた。


「他の裏道で行って」

「はい」


優衣は少しバックさせて裏道に入る。

しかし、少し進むと乗用車が多重事故を起こして通れなくなっていた。


「完全にダメね・・・」

「どうするんですか?」

「仕方ない・・・その乗用車の上でも通っていきましょ」


優衣はエンジンを止める。

5人全員は車か降りて多重事故を起こしている車の上を進み始めた。

車の中で死んでしまっている人もいたが、ゾンビには、なってなかった。


「交通規制を引いたはずなのに・・・」

「どうせ指示に従わなかった人が慌てて逃げたんだろ」

「そうなのかしら?」


多重事故の車の上を通ると向こう側にはゾンビは一体もいなかった。


「凄いわね・・・」

「そうですね・・・」


和花はM2013をしまう。


チャリン


頼斗が金属の小さな筒を蹴ってしまう。


「・・・空薬莢?」

「多分自衛隊やアメリカ軍が掃射したんでしょ。ほら、すぐそこに弾痕があるじゃない」


和花が指差す先には路肩に止められた乗用車に銃弾のあとがついていた。


「死体はどこにいったのかな?」

「さぁ?何処かに収容してるんじゃない?」

「まぁ、こんな短時間で死体が自然に消えたら驚きだけどな」


5人は人っ子一人も居ない通りを進んでいく。

町中は所々から店内BGMが聞こえてくるぐらいでその他は何も音が聞こえなかった。


「流石に誰も居なさすぎじゃないですか・・・?」

「それもそうね・・・」


ビル群を抜けると、中央管理棟の正面広場に出た。

正面広場の噴水は止まっており、天気などを伝える電光掲示板も電気が止まっていた。

噴水の水は微妙に赤色に染まっていた。


「ここも誰も居ない・・・」

「もしかしたら全員救助されたんじゃないか?」

「まさかそんなこと無いでしょ」


5人は立ち止まっていたが中央管理棟の正面入り口に向かう。

正面入り口は頑丈なシャッターが閉まっており入れない状態だった。


「誰か居ませんか?」


ガシャンガシャン


和花がシャッターを何回も叩く。


ガラララ


シャッターが突然開き、中には人が何十人もいた。


「助かった!」

「ふぅ~」


ガラララ


5人が中央管理棟の中に入るとシャッターが閉められる。


ガシャッ


「!?」


突然十人以上いる自衛隊員や警察官が銃を一斉に向けてくる。


「な、何なんだよ!」

「私達は噛まれてないわ!」


頼斗と和花が弁解するが信じてはいないようだった。


「ほら!」


亜理砂が突然白い腹を見せる。


「これで確認できたでしょ!」


自衛隊員や警察官がヒソヒソと話はじめてしばらくすると銃を下ろす。


「すまなかった・・・しかし、発症した時はすぐに射殺させてもらうぞ」


頼斗達は顔を見合わせると頷いた。


「それで構いません」


優衣が言った。

久しぶりの更新です。

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