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第11-1話:僕の小説には表紙がない!

僕は先日の自費出版が諦めきれないでいた。ただ、250万円なんて大金は到底準備できない。


 幻想とはいえ、一度は出版できると思った後の僕は抜け殻だった。その後にやっぱり駄目だと思ったら本当に力が抜けた。


 恥ずかしい話、公募に応募する元気も日々のWEB小説への投稿の元気もなくなっていた。


 僕は部活の時間もぼんやりkindleで適当にラノベを読んでいた。


「先輩、抜け殻のようですね」


 そんな助手の言葉の刃も僕の心がここにないので空を切っていた。


 そして、僕はあるものを発見して一気に生気を取り戻す。



「WEB小説作家のための8時間でkindle作家」



 本のタイトルだ。kindleで発見した。


 この本を見て自分の中に革命が起きたのだ。kindleはこれまでも知っていた。いわゆる電子書籍だ。中でもAmazonが扱う電子書籍をKindleって呼ぶ。そして、個人でkindleに本が出せるということを初めて知ったのだ。


 特別な知識や経験がないとamazonに自分の本を並べることなんて出来ないと思っていたのに……。


 この本によると、WEB小説を書いているということは既に原稿はあるのだから、8時間後にはkindle作家になれているというものだった。


 そして、費用はかからない。0円、と。


 僕はすぐに飛びついた。


 原稿はWordで編集したらいいらしい。Officeは持っていたから出費はなかった。amazonに登録できるのは、kindleという電子書籍とペーパーバックという紙の書籍の2種類だった。


 ペーパーバック用の原稿を作るのはサイズを決めたり、文字数を決めたり、表紙の大きさを調整したりと、ちょっと大変だったけど、マニュアル本の通りにすれば誰でもできると思ったのだ。それくらいしっかり内容が図解入りで書かれていた。


 僕は、一般的なラノベのサイズを指定して、本にすることにした。よくラノベとして売られている本のサイズは「文庫本サイズ」と言うサイズらしい。この事自体僕は初めて知った。


 しかも、出版社によって「新書」とか「A6判」とか多少呼び方が変わったり、数ミリの大きさが変わったり、と色々知らないことが次々出てきた。


 それでも、自分のラノベが実際の本になる。この事実は僕のテンションを爆上げした。それこそ寝る間も惜しんで原稿を準備したほどだ。


授業中も授業には全然身が入らない。流石に授業中にパソコン操作をするわけにはいかないから、原稿を紙にプリントアウトして誤字脱字を探した。誤字脱字を見つけたり、文章の矛盾を見つけることは「校正」と言うらしい。


 いざkindleに出すと思うと、直したい部分が無数に出てきた。描写の言葉を増やしてもっと分かりやすくしたり、漢字を間違えていないか調べたり、言い回しなど間違えていないか考えたり……もっといい文章にするこの作業を「推敲」と言うらしい。


 僕はそんなことも知らなかった。


 放課後の部活では当然、誤字脱字を見つける「校正」と文章を良くする「推敲」に集中した。


「先輩?」


「ん? ごめん、助手。いまちょっと集中してるから」


 この時の僕は、助手の言葉も耳に入ってなかったと思う。後になって思えば、何度も声をかけられていたような気がするんだ。


 扉、目次、本文、あとがき、奥付……これまで知らなかった言葉も含めて覚えて、原稿を準備した。


 そして、原稿ができた時に2つだけ今の僕には準備できないものがあることに気が付いたのだ。



 ―――それが表紙のイラストと挿絵だった。



 先のマニュアル本では、イラストを手に入れる方法や、イラストなしでも表紙を作る方法が書かれていたけど、僕は絶対自分の本に合ったイラストを入れたかった。イラストレーターさんに描いてもらう方法もある。


 でも、調べたら僕の好きな絵を描く様なイラストレーターさんは1枚3万円とか、かるということだった。


 高校生の僕にとって3万円は大金だ。バイトも学校で禁止されている。お小遣いを貯めるにも3万円なんて貯まる気がしない。


 そんな時だった。世の中にはAIと言うものがあり、言葉を入力しただけで、それに合ったイラストを自動で描いてくれるサービスの存在を知ったのだった。


 表紙がないと本を見てもらえない。それだと絶対に人気が出ない。僕は放課後の部活の時も悩んでいた。


「はーーーーーっ」


机に伏せて両手で頭を抱え込みつつため息をついた。


「先輩、最高に景気が悪いため息ですね」


「……うん」


 今日は後輩の毒舌も全然心に届かない。


 もう、表紙はそこらのイラストとか写真でいいかな……。


「表紙とか適当でいいか……」


 僕が無意識につぶやいていた。


「先輩、先輩は女の子に告白しても高確率でフラれるタイプですね」


 なにその嫌な見極め。


「もし仮に、万が一、まかり間違って、なにかの間違いで、なにかの拍子にラブレターをもらったとしますよね?」


 なにその大量の枕詞。僕は世界でラブレターをもらう確率が最も低い人みたいじゃないか……まあ、あまり否定はできないけど。


「そこに来たのが、全く知りもしない女の子だったら普通告白されてもOKしませんよね?」


「う……うん」


 いや、そんな貴重な機会だったらOKするかも。僕ならするかも!


「もし、OKするとしたら顔がメチャクチャ可愛い時くらいじゃないですか?」


 助手がいつもの無表情の半眼ジト目で抑揚のない声でこちらを見て言った。


「いや、胸が大きいとか身体的な場合も……」


(ギロリ)


「いや、なんでもありません」


 僕が言いかけたところで助手の鋭い目で睨まれた。まあ、いずれにしても表面的な話だ。


「顔がないと告白OKしないですよね?」


 なんだ、良い事を言おうとしている助手なのだが、無表情な上に半眼ジト目だし、「顔がない」とか言われるとホラーしか思い浮かばないんだが……。


「必要ですよね? 顔」


「は、はい……」


 ここで「要らない」と言ったら顔の皮を剥がされてしまうんじゃないだろうか……。


朝から読んでくださったあなたはとても良い人です!

ここで、もうちょっとしたの★評価も合わせて入れてみましょうか^^

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