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予想外すぎます

 話し合いの場所は、謁見の間でした。


 ただ私だけの用件だというのに、随分と大掛かりですね。

 ただ単に目立ちたいだけな気がしますが……まぁ、今は深く考えないようにしましょう。


「よく来てくれた、リフィ殿」

「はい、お久しぶりです。陛下」

「……うむ、今日も美しいな」


 ──チッ。


「ありがとうございます。陛下にそう言っていただけて、嬉しいです」


 ここの王様が女好きというのは、すでに調査済みです。


 なんせ、出会って初めに求婚して来たような人ですからね。

 そう言われることも予想してあったので、事前にポーカーフェイスを作っていて良かったです。


「我の妻になる気にはなったか?」

「ご冗談を。前にも断った通り、私はただのエルフ。陛下とは釣り合いません」


 こんなアホと結婚?

 冗談ではありません。


 そんなことになるくらいなら、この国を滅ぼします。


「それで、用件とはなんでしょうか?」

「実はな、リフィ殿に頼みがあるのだ」

「頼みですか」


 国王からの頼み事。

 軽い用事ではないのは確かです。

 まさか、古谷さんのように、私も小間使いにしようと思っているのではないでしょうね?


「三日後、この国に魔王が来るのだ」


 ……ああ、その話ですか。


「それは驚きです」


 私は初めて聞いたかのような反応を返しました。

 古谷さんに聞いていましたが、本人は私に教えたことを隠しているようですし、何かを聞き出せるいい機会だと思ったので、わざと何も知らない風を装います。


「どうしてそんなことに?」


 そお質問をすると、王は神妙な顔つきになり、重々しく口を開きました。


「……勿論、平和のためだ」

「平和ですか?」

「ああ、我々人と魔族は、長年争っている。これ以上無益な戦いをしても、双方が不幸になるだけだ。そうは思わないか?」

「…………はぁ、確かに、そうですね」

「だから、だ。我は魔族と友好を結びたいと思い、魔王を我が国へ招待したのだ」

「本気なのですか?」

「無論だ。本気でなければ、敵の総大将を招待などせぬ」


 友好を結びたいと言っておきながら、自然とミリアさんのことを敵って言っていますが……まぁ、それは別にいいです。

 問題なのは、本当に国王が魔王と友好を結ぼうと考えているのか、です。


 嘘かどうかなんて、私には見破れません。

 なので、専門家に聞きましょう。


『ウンディーネ』

『多分……嘘だよ』


 ウンディーネには国王の監視をお願いしていました。

 そういう裏の思惑を探るにはちょうどいいでしょう。


 そして、その彼女が『嘘』と言った。


『その理由は?』

『……ただ招待しようって、感じじゃない。むしろ、何というか……戦場に迎え入れようとしているような、変な感じ』

『まだ詳しくはわかりませんが、歓迎しようという雰囲気ではない。……そういうことですか?』

『……うん、そんな感じ。…………ごめんなさい、まだ詳しくわからなくて』

『いえ、それだけでもわかれば十分です。ありがとうございます』


 とにかく、国王がミリアさん達を心から歓迎しようとしていない、ということがわかりました。


「それで、その魔王を招待することと、私の用件と、何が関係しているのでしょうか?」

「うむ、リフィ殿には、魔王の監視をお願いしたい」

「…………は?」


 ちょっと何を言っているのかわかりません。


 私が魔王の監視? はぁ?

 どうしてそうなりました?


「……理由を、教えてください」


 頭痛を覚えながら、私は国王に真意を問います。


「勇者から聞いた。お前の里は、魔王軍幹部によって滅ぼされたのだろう?」

「……そうですね」


 本当は魔王幹部ではなく、ミリアさんですけどね。

 訂正したら面倒なことになるので、しませんけど。


「お前は魔王軍に恨みを持っている。違うか?」


 ──違います。


 とは言いません。

 何度も言いますが、話をややこしくするのは嫌なので。


「まぁ、そうですね。それが何か?」

「恨みを持っている者が監視をした方が、魔王が怪しい行動をとった時、より敏感に反応出来る。そうだろう?」


 なんか、良いことを言ったみたいなドヤ顔をされましたけど、何を言っているんですかこの人は?


 恨みを持っているから、その憎い相手の行動を敏感に察知出来る。

 それを否定はしません。


 ですが、憎しみを持っている者を、友好を結びたい人の監視に付かせますか?

 逆に、本当に友好を結びたいのであれば、魔王の安全を確保するために私を遠ざけるでしょう。


 ……これで、国王が魔王を本当に歓迎していないことが確定しましたね。


「リフィ殿は辛いと思うが……どうか引き受けてはくれないだろうか? 勿論、報酬はたんまりと用意しよう」

「……わかりました。引き受けましょう」

「助かる。では三日後、よろしく頼む」


 元よりミリアさん達と接触するため、色々と手回しをしようと思っていました。

 とても面倒だったので、どうしたら最短ルートで手回し出来るかを考えていたのですが、国王のおかげでその手間が省けました。


 今回はそれで良しとしましょう。


「では、私はこれで失礼します」


 軽くお辞儀をして、私は謁見の間を出ます。


 その後ろに、古谷さんが付いてきました。

 ずっと黙っていたので忘れていましたが、居たんですね。


「なんか、大変なことになったね」

「そうですね」

「魔王の監視なんて、リフィさんには厳しいんじゃないか?」


 古谷さんは純粋に私を心配してくれます。


 それはそうですよね。

 ただの協力者である私に、敵の総大将の監視をさせるのは、普通に考えて危険すぎます。

 普通は勇者か、それに並ぶ実力者の仕事でしょう。


「やっぱり、俺が国王に考え直すよう言ってくる……!」

「待ってください」


 そう言って走り出そうとする古谷さんの腕を、掴みます。


「私は大丈夫です」

「でも……」

「大丈夫ですって。私を信じてください」

「…………わかった。無理はしないで」

「はい、心配してくれてありがとうございます。では、私は一度部屋に戻ります」

「あ、うん……お疲れ様」

「お疲れ様でした」


 私は足早に部屋へと戻ります。


『ウンディーネ、ミリアさん達に報告を。無事、接触することが出来そうです、と。……ああ、それと、アカネさんに────』

『……うん、うん。……わかった。すぐに、報告してくるね!』


 さて、少々予想外の事態が起こりましたが、これでミリアさんを迎える全ての準備が整いました。


 後、三日。

 この国で集められそうな情報は、もうほとんど集め終わりました。

 後は適当に、古谷さんや国王と友好を築きながら過ごすだけ。


 それまで我慢したら────


「うふふ……待っていてくださいね…………愛しのベッドちゃん」

順調に順位の伸びを見せている転生エルフさん。

とても嬉しいです!ありがとうございます!


まだまだ頑張ります。よろしくお願いします!

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