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迷子の捜索


「そっちはどうでした?」

「……ダメだ。どこにも見当たらない」

「俺も色々と聞き込みしてみたが、収穫はないな」


 突如始まった迷子の魔王大捜索は、一時間経った今でも目ぼしい収穫はありませんでした。

 目を離してから長い時間は経っていないため、そんなに遠くへは行っていないはずなのですが……そう思って近場を探してみても、ミリアさんらしき人物はどこにも見えず。


 集合時間になったので情報交換をしてみても、皆んな同じような結果でした。


 こういう時の彼女の行動力は恐ろしいですね。

 元気な子供を自由にすることが、こんなにも厄介なのだと改めて理解しました。


『リーフィア……!』

「っと、ウンディーネ。そちらは何か手掛かりを見つけられましたか?」

『……ううん。空から探してみたけれど、建物が多くてよくわからなかったの。水気がある場所にも、いないみたいだし……ごめんなさい……』


 申し訳なさそうに謝るウンディーネですが、彼女はなにも悪くありません。

 むしろ、こちらの都合に巻き込んでしまったことに謝罪するべきなのは私たちのほうですから。


「水気のない場所にいると予想できるだけでも、十分な手掛かりです。ありがとうございます。……念のため、もう少しだけ上空から様子を見ておいていただけますか?」

『っ、うん! わかった!』

「お願いします。……さて、上空はウンディーネとシルフィードが監視してくれているので、私たちは陸上での捜索に専念しましょう」

「リーフィア。ミリア様の魔力は追跡できそうかい?」

「先程からやっているのですが、こうも人が多いと難しいですね……」


 今は夕方に差し掛かっている時間帯。

 昼間ほどではありませんが、お酒を飲んだり屋台のご飯を食べたりと大人達が楽しむ時間になってきているため、大通りには結構な人が集まっています。


 その中からミリアさんだけの魔力を探し当てるのは、まだ私には難しいです。


「皆! 遅くなってすまぬ!」


 少し遅れてアカネさんが集合場所に到着しました。


「おかえりなさいアカネさん。まずはお水をどうぞ。疲れているでしょう?」

「あ、ああ、すまぬリフィ……ヴィエラとディアスもすまぬ。妾が不甲斐ないせいで……」

「気にすんなって。むしろ、どんなに注意していても、どうせこうなるだろうなって全員が予想してただろ?」


 ここは素直に頷いておきます。

 あの人を本気で監視するには、最も硬い金属を用いた首輪を付ける必要があります。それを省いた時点で、こうなることは容易に想像できました。


 なので、アカネさんのせいではありません。

 もし彼女が責められるのならば、同じ場所にいた私も同罪です。


「ひとまず、反省会は後にしましょう。……私たちはこれといった収穫はありませんでしたが、アカネさんはどうでしたか?」

「ミリアのことは見つけられなかった……が、共に遊んでいた子供を見つけられたのじゃ」


 アカネさんは記憶力がいいので、ミリアさんと一緒にいた子供の顔を覚えていたのでしょう。

 そのおかげで、捜索している時に子供の一人を見つけることができたと。


「たしかに、ミリアとは少し前まで一緒にいたと言っておったのじゃが、広場を出てしばらくした後、いつの間にか輪の中から消えていたらしい。その子供は、親の迎えが来て帰ってしまったのかと思っていたようじゃな」

「……ふむ。広場を出たことは間違いないようですね」

「だが、捜索の難易度はかなり跳ね上がったな」

「対象が広場周辺から、王都全体になったからのだから当然。今日中に見つかるといいんだけど……」


 ウンディーネからの情報を頼りにすれば、場所を限定することはできます。

 ですが、それでも王都全体を探すのは難しい。まだ対象が同じ位置に留まり続けているなら話は別ですが、こうしている間にもミリアさんは間違いなく動き続けているはずですからね。


「ひとまず、私はウンディーネと協力し、範囲を広げて探してみます」

「俺も聞き込みを続けてみるぜ」

「私は広場周りを探してみるよ。もしかしたら広場に戻ってくるかもしれない」

「なら妾は一度、宿屋に行く。あっちに戻る可能性もあり得るからな」

「では、二時間後に宿屋集合としましょう。それでいいですか?」


 全員が頷いたのを確認して、私たちは行動を開始しました。


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