大集合でした
………………苦しい。
夜、私は息苦しさに目を覚ましました。
寝ぼけ眼をこすりながら意識を覚醒させ、その原因を辿って「ああ……」と溜め息混じりに呟きます。
案の定、私の知り合いが大集合していました。
ウンディーネやアカネさんは勿論のこと、いつの間にか侵入してきたミリアさんや、シルフィードまで私のベッドで眠っていました。
ところどころ青色や緑色に光っているのは、眷属の微精霊でしょうか?
クリスマスの飾りかってくらいに眩しく輝いていますが、睡眠妨害にもほどがありますよね。
逆にどうしてみんなは気にせず眠っていられるのか……ああ、細かな微精霊まで肉眼で見えるのは、同じ精霊を除いて私だけでしたね。
そういえば、昼間にシルフィードは『精霊は睡眠が不要だ』と言っていませんでしたっけ? ……あれはどうしたのでしょう。試しに寝てみたら、普通にハマったってところでしょうか?
まぁ、いいです。
……いや、良くないんですけどね。
現にベッドの主が息苦しさに目覚めるって最悪ですからね。
「よっ、こいしょ……っと」
皆を起こさないようにベッドから抜け出します。
「……ん……んぅ…………リフィ?」
と、部屋を去ろうとしていた私の背中に声が掛かります。
「あれま、起こしちゃいましたか? アカネ」
「気に、するな……妾が勝手に、起きただけ、じゃ……ん」
アカネさんは目を瞑り、唇をもじもじと動かします。
これはキスをお願いする時の合図です。言葉にして言えない恥ずかしがり屋のアカネさんらしい、可愛い仕草ですよね。
「はいはい。大好きですよ」
当然、私はそれに応えてあげます。
とは言え、今は深夜で周りは皆が寝ている時間。キスは控えめにしました。
ああ、そんな物足りないって顔をしないでください。
仕方ないじゃないですか。今は無断使用者が多数いるせいで、ベッドが使えないんですもん。
「リフィ……何処かに行くのか?」
「目が覚めてしまったので、散歩ついでにお茶でも飲もうかなと。アカネはどうします?」
「……ん、行く。旦那様を独り占めに出来るならば、喜んで」
「そうですか。では、一緒に行きましょう」
手を繋いで、二人で部屋を出ます。
当たり前のことですが、夜の廊下はとても静かです。
隣にいる相手の心臓の音さえ鮮明に聞こえて、無意識にそちらを意識してしまいますね。
昼間とは全く違う雰囲気ですが、私はこちらの静かな方が好みです。
アカネさんも同じ気持ちなのでしょう。チラッと隣を歩く彼女の横顔は、上機嫌に口元がつり上がっていました。
「……祭り、楽しみですね」
「いつも寝てばかりのリフィが珍しいな。祭りなんて面倒臭いと言いそうなものを」
「幼少期以来のお祭りですから、久しぶりに行きたいと思っただけですよ」
それに、折角のお誘いですからね。
どうせ行くなら、楽しまなきゃ損でしょう。
……まぁその分、帰ってきたら思う存分引きこもる予定ですけど。
「この世界とは異なる世界の祭りか……惜しいな。妾もリフィの幼少期の姿を見たかった」
「……面白いものではありませんよ。こことは違って姿も違いますし。まぁまぁ容姿は良かったと自負していますが、今ほどではありません。きっと、見てもつまらないものでしょう」
「関係ない。妾が好いているのはリフィの全てじゃよ。たとえ姿が異なっていても、妾は変わらずリフィのことを好きであり続ける」
──妾はリフィの嫁じゃからな。
そう言ってはにかむアカネさんを見て、私は素直に嬉しく思いました。
前世で、私は誰からも必要とされなかった、
あの世界でもアカネさんやウンディーネのような、私を好きだと言ってくれる人が居てくれたら、私は異なる人生を歩めていたのでしょうか……。
「アカネ。ずっと、私と一緒に居てくださいね」
「何を今更。妾はあの式場で誓った時、生涯を共にすると心に決めた。それはウンディーネも同じ。どのような困難があろうと、妾達は一緒じゃ」
「…………はい。ありがとうございます」
本当に、私はこの世界で幸運に恵まれましたね。
もう望むことはない……とは言いません。私がこの世界で叶えたい願いは、まだ沢山あります。
でも今は、二人の嫁が居てくれるだけで……満足しています。
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