ようやく会えました
何もないところから、ミリアさんとアカネさんが現れた。
何を言っているのかわからないと思いますが、私も何が起こったのかわかりません。
────あ、長くなるので以下略です。
「ミリアさん、アカネ。一体、どうやって外に…………ん?」
どうやってあちら側の空間から戻ってきたのか。
そう質問しようとしたところで、二人の足元に『何か』が転がっていることに気がつきました。
「わぁ、おっきなワンちゃん」
全身が黒い毛皮に覆われた犬顔の……これは人ですかね?
その特徴から獣人だと思われます。日本では人狼と呼ばれる部類のものですが、毛が黒いせいで不気味さが増していますね。
それに、嫌な魔力も感じます。
反発する力が無理矢理合わさったような、そんな魔力です。
「リーフィア。これはバリツじゃよ」
バリツ……?
はて、どこかで聞いたような?
「ああっ。思い出しました」
ちょっと前に私と決闘 (笑) した獣人の名前が、バリツだったような気がします。
意味不明ないちゃもんをつけられ、なんか流れでああなりましたが……決闘自体がくそ面倒すぎて終始適当にやっていたので、今の今まで彼の存在を忘れていました。
「それにしても……彼、こんな見た目でしたっけ?」
私の記憶が正しければ、バリツさんの毛は白でした。
イメチェンと言うには真反対すぎる変わり様ですが、何があったのでしょうか。
それに、彼は魔力をほとんど持たない脳筋タイプだったはず。
この異常なまでに濃厚で不気味な魔力は、一体どういうことです?
「妾もわからぬ。魔物の襲撃があったからと父上から部屋へ安静にするよう言われ、リーフィアの帰りを待っていたら急に見知らぬ場所へ飛ばされていた。ミリアは巻き込まれた形じゃな」
「うむっ! 気がついたら変な場所に縛られていてびっくりしたぞ!」
急に見知らぬ場所へ飛ばされていた。
それは空間転移でしょう。
この場合、バリツさんがやったと考えるのが妥当ですが……やったのはおそらく、あの少年。
「でも、どうやって脱出を?」
「リーフィアが焦る姿を嘲笑い、妾が失望するようにと思っていたのじゃろう。魔法でお主の姿が常に映し出されていてな。それで、その……」
途端にアカネさんは口籠もり、顔を下に向けました。
どうしたのでしょう?
──はっ。まさか、口に出すことすら憚られるようなことが。
「リーフィアが風の精霊と親しく話しているところを見て、アカネが急に不機嫌になったのだ。それから力づくで枷を破壊し、そこに転がっている犬っころをぶん殴ったら、ここに出た。というわけだ」
「ミリア……!」
顔を上げたアカネさんは、耳まで真っ赤に染まっていました。
「まさか、嫉妬してくれたのですか?」
「……そ、れは…………うむ……」
はぁぁぁ、なんだこの嫁。
めっちゃ可愛いじゃないですか。
うっわぁ、今すぐ抱き締めて上げたいです。
……でも、実際にやったら怒られそうですよね。
「それは二人きりの時に!」と言われるに違いありません。
「アカネのことは二人っきりの時に可愛がるとして、お体に異常はありませんか? 変なこととか、されていませんか?」
「前半部分に文句を言いたいところだが、今は置いておこう。……大丈夫じゃよ。妾達は、リーフィアを呼び出すための餌だった。『あいつを諦めて俺の嫁になれ』とか、『俺のほうが強い』とか言われたが、全て断ってやった」
「そうですか……」
一先ず、最悪の事態になっていなくて……本当に良かった。
ホッと胸を撫で下ろし、次にバリツへと手を向けます。
「とりあえず、こいつを処刑しますね」
「まぁ待て。バリツには色々と聞きたいことがある」
魔力を手のひらに収束させたら、そっと視界を遮られました。
私の大切な婚約者を連れ去った野郎です。少しくらいの痛めつけが必要かと思いましたが、どうやらアカネさんに考えがある様子。……なら、ここは大人しく見守りましょう。
「十分に、気をつけてくださいね」
「安心してくれ、旦那様。無理はしない」
私は下がり、ウンディーネと並びます。
「ウンディーネ。何か起こった時のため、結界の準備を」
『そう言うと思って、もうやってるよ。念のために眷属の子達も呼んでおくね』
「ええ、お願いします」
『私は空を見張っておくわね。怪しいことがあったらすぐに言うわ』
「ありがとうございます。お願いします」
これ以上、大切な嫁を危ない目にあわせません。
もしもの場合があった時のために、全力でサポートさせていただきましょう。
「では、始めるとしよう」
アカネさんはバリツを片手で持ち上げ、もう片方で──
「いつまで寝ているのじゃ、起きろ」
容赦のないグーパンが彼を襲いました、って……えぇ?
ようやくアカネさんとミリアさんとの再会!
そして初っ端から容赦のない魔王軍参謀様です。
【お知らせ】
活動報告の方でもお知らせしましたが、一応こちらでも。
4月25日(土曜)のお昼12時より、新作を投稿予定です。
タイトル『JKです。女社長に拾われました』
(※タイトルは仮決定です。途中で変更するかもしれません)
・女子高生×女社長
いつかやってみたいなと思っていた年の差の百合恋愛ものです。
面白く出来上がったと自負しています。同時並行で更新を続けている作品も合わせて、読者の皆さまにお楽しみいただければと思います。お楽しみに!




