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無意識の攻撃?です




 無事に神社巡りが終わり、私達は次の場所へ移動となりました。


 新たに追加した二人のうち、ウンディーネは空中をふわふわしているので問題はないのですが、ミリアさんを飛ばすことは流石に難しいですし、やれたとしても彼女からの苦情を聞くのは面倒臭いです。


 移動には人力車を使います。

 急に一人分増えるけれど大丈夫か? といった旨を説明すると、御者の方は快く承諾してくれました。



「子供が一人増えたところで変わりはしませんぜ!」



 と、嫌な顔一つせずに言ってくれたのはありがたかったのですが、ミリアさんの前で『子供』と言ったせいで、我らが魔王様は少しご機嫌斜めになってしまいました。


 まぁ、頭をポンポンしてあげたら、すぐに直りましたが……。




 ということで私とアカネが人力車に座り、ミリアさんは私の膝の上。ウンディーネは私に抱きつく格好となり、魔王軍御一行は次の目的地へと出発しました。




「それでアカネ。次はどこへ向かうのです?」


 今回のデート──もうデートではなくなってしまいましたが──は、全てアカネさんに任せっきりです。

 次はどこへ行くのかを何一つ聞いていない私は、そのように問いかけました。


「そろそろ腹も空いてきた頃かと思うのじゃ。良い店を予約しておいたので、そこに行こう」


「ご飯か!?」


 アカネさんの言葉に反応したのは、やはり魔王様でした。


 かなりお腹が空いているのでしょう。

 口からはじゅるりと、よだれが垂れていました。


 本人は気がついていないようですが、彼女を膝の上に乗せている私が汚れるのは嫌なので、ハンカチで口元を拭っておきます。


「ウンディーネ、ごめんなさいね。ただ見ているだけなんてつまらないでしょう?」


『ううん! みんなが楽しそうにしているのを見ているのも、すっごく楽しいよ……! それに、次からも一緒に居られるから、うちは嬉しいな。……えへへ』


「ミリアさんちょっと退いてください。私の膝の上にウンディーネを置きますので」


「なぁっ!? ちょ、それは酷いのだ! 余が先なのだから、ここは譲らぬぞ!」


『うちは、こうしているだけで……満足だよ。だから、あまりミリアちゃんをいじめないであげて?』


「わかりました。ウンディーネがそう言うのであれば、私も我慢しましょう」



 本当は抱きつかれるのではなく、こちらから抱きついてやりたいのですが、私ばかりがわがままを言うのも大人として問題があります。


 それに今はアカネさんの婚約者という立場にいるので、あまり過激なことはできませ──って、え? 手遅れ? ……何を言っているのかわかりませんねぇ。



「相変わらず、ウンディーネには甘々じゃな」


 アカネさんは怒ることなく、若干呆れつつも笑っていました。


 本当なら自分も混ざりたいという感情が、ビシビシと感じます。


 なのに我慢している。

 我慢できてしまうところがアカネさんの素敵なところであり、弱点でもあります。


「アカネも、甘えて良いのですよ?」


「何を言う。妾はそんなこと……」


「先程から羨ましそうに見つめているくせに、何を今更」


「〜〜〜〜っ!」


 正論をぶつけると、途端に耳が真っ赤に染まりました。

 ウンディーネが誰にも聞こえないように小さく『可愛い』と言っていましたが、耳の良い私はそれを聞かなかったことにします。



「アカネが照れているぞ!」


 ──はい、空気読めない魔王様が一人。

 指摘されたアカネさんは、首まで赤くしてしまいました。






「アカネ」






 婚約者の耳元まで顔を近づけ、囁くように名を呼びました。


「──今晩は二人きりです」


「ブフォッ!!!」


 アカネさんは吹き出し、咳き込みました。

 ……深い意味はなかったのですが、どうしたのでしょう?


 私は単純に、今晩も二人きりなので、その時になったら甘えてくださいと言っただけなのですが、言葉を上手く伝えるのは難しいですね。



『リフィ……今のはうちでも、ああなるよ……』



 どうやら先程の言葉は、ウンディーネにも聞こえていたようです。

 彼女が直接言われたわけではないのに、なぜかアカネさんと同じように首元まで赤く染め、両手で頬を押さえつけていました。


「…………?」


 唯一理解していないのは、ミリアさんだけです。



「なんですか。本当のことを言っただけなのに」


「それがダメなのじゃ!」

『それがダメなの!』


「お、おう……?」


 呆れたように呟くと、すかさず両側から言葉のダブルパンチを喰らいました。


 本当になんなのでしょう?

 マジでわからないので、誰か教えて欲しいです。



「…………?」


 ミリアさんは次の店に着く最後の時まで、首を傾げたままでした。

 …………もうあんたはそのままで居てくれと、私は内心そう願うのでした。




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