お子様の追加入りまーす
「呼ばれた気がしたのだ!」
「あ、呼んでないです」
「えっ!?」
──ドンッ!!!
という衝撃が神社内に響いたかと思えば、聞き慣れた子供っぽい声が聞こえました。
クレーターのように抉れた地面の中心部には、我らが魔王が偉そうに腕を組んで胸を張っていました。
なんかすっごい久しぶりに見た気がするのですが、気のせいでしょうか。
……面倒臭いので、そういうことにしておきましょう。
私は小さく溜め息を吐きながら、ジト目で主人を見つめます。
「何しに来たのですか、ミリアさん」
「呼ばれた気がしたから、飛んで来たのだ!」
──だから呼んでいないってば。
この人はエスパーか何かですか?
いや、当たってすらいないので、ただの勘違い残念魔王ですね。
「あーあ、公共施設をこんなにしちゃって……全く」
とりあえず、魔法でちゃちゃっと地面を修復します。
係員が来る前に全ての証拠をどうにかしてしまえば、こちらはシラを切れますからね。
神聖な境内で何してるんだか、全く……。
「お願いですから、登場から派手なことするのは控えてください。あんたは魔王なのですから、そこら辺の意識をしっかりですね?」
「余は魔王である! ぴゅーって飛んで来て着地しただけなのに、簡単に抉れてしまった脆い地面が悪いのだ!」
おおっ、今のは魔王っぽい台詞──って、違う違うそうじゃない。
確かに魔王としてはそれが正解なのでしょうけれど、私達は一応来賓として来ているのですから、他国に迷惑を掛けるのは良しとしません。
そんな子に育てた覚えはありませんと、アカネさんやヴィエラさんなら言いそうです。
「反省しないようであれば、」
「すまんかった! 余が悪かったから、この通りだ!」
片手をスッ……と挙げると、ノーモーションからの土下座を繰り出した魔王様。
まだ『お尻ペンペン』のトラウマはあるのですね。
痛みと恥ずかしさのコンボがここまで効果があるのは、流石に私も予想していませんでした。
私が苦戦した『魔女達の成れの果て』を一撃で焼却した魔王が、最も恐れるお仕置き──その名も、お尻ペンペン。
もしや最強では?
……流石に無いか。
「一応聞きますが、あっちの方では何も壊していませんよね?」
ミリアさんのことです。
本能に従って飛び出す子供なので、壁を貫通して飛んで来た……ということもありえます。
ですが、その考えは杞憂だったようですね。
「ちゃんと窓から出たぞ! 褒めろ!」
「はいはい良い子良い子」
「適当!?」
……にしても、折角三人で回れると思ったのに、ミリアさんも加わってしまいました。
ここで追い返すわけにも行きませんし、どうしましょう……と後ろを振り返れば、アカネさんとウンディーネも同じことを思っていたらしく、呆れたように苦笑していました。
「こうなるとは思っていたが、やはり集まってしまったな」
『ミリアちゃんなら、来ると思ったよ……ふふっ、結局、全員で回ることになったね』
「お二人には申し訳ありませんが、ミリアさんも一緒でよろしいですか?」
「あー、気にするな。ここで仲間外れにする方が後で面倒じゃ。……最近はミリアに構ってやれんかったし、全員で観光するというのも悪くないじゃろう」
『うちも、みんなと一緒がいいな。三人で回れなくなったのは残念だけど、こっちの方が楽しいもん』
……では、決まりですね。
「ミリアさん。絶対に暴れないと約束してくれますか?」
「うむっ! 余は約束を守る大人だからな!」
「子供の間違いでしょう」
「大人だ!」
「…………さいですか」
ミリアさんは意気揚々と、私とアカネさんの間に割り込んで来ました。
ウンディーネは私の後ろに移動し、首に手を回して抱きついてきます。
彼女が精霊で、浮遊しているからこそできることですね。
にしても、久しぶりに触れ合えるからと行動が大胆ですね。
可愛いので引き剥がすようなことはしませんけれど。
『〜〜っ♪』
「…………なんじゃあれ、羨ましい」
「…………よ、余は別に羨ましくないぞ!」
「何を張り合っているのですか?」
やっぱり来てくれた魔王様。
お知らせです!
新作を二つ、二つ!公開しました。
『魔王復讐記 〜転生者に全てを奪われた少女は、復讐の剣を胸に抱く〜』
『少女は二度目の舞台で復讐を誓う』
復讐祭りってことで、復讐をテーマにした作品を同時公開です。
復讐少女の方はリメイク版となります!
よければ、そちらの方もご覧ください!では!




