チラッ?
その後、アカネさんとは色々な神社巡りをしました。
この和の国には沢山の神社があり、学問だったり安全祈願だったりと、自分の願うところへと参拝するのが普通なようです。
流石に八百万の神とまではいきませんが、それなりに神が祀られているのは確かなようです。
よくあるファンタジーものでは一つの宗教が強くて、皆がそれを崇めているというのが定番でしたが、この国はそのどれにも当てはまらないようですね。
「リフィ、次で最後の神社じゃ!」
数カ所の神社巡りをしてちょっと疲れたなと思い始めたところで、どうやら神社巡りは終わりを迎えそうです。
「次の場所は、どのような神様が祀られているのですか?」
「次はな、恋愛成就の神じゃよ」
…………だろうと思いました。
神社巡りの大定番の一つにあたる『恋愛』ですが、今までの神社にはそれがありませんでした。
ちょっとした系列で効果はあるものの、主軸にしてはいませんでした。
「リフィ。妾はリフィと結婚する身じゃが、妾のせいでお主を縛りたくないと思っている」
「ええ、ありがたいです」
私は基本、自由に生きるをモットーにしています。
なので、婚約者だからなんだと言われるのは、正直やめていただきたいです。
……まぁアカネさんのことなので、それは言わずとも理解してくれると思っていましたが。
「そこで、じゃ……リフィさえ良ければなのじゃが……その……」
途端に歯切れが悪くなるアカネさん。
何かを考えているけれど、それが煮え切らないといった様子です。
「──ウンディーネも共にお参りしないか?」
「え?」
『え?』
予想もしていなかった言葉に、私とウンディーネはほぼ同時に言葉を発しました。
「急にどうしたのですか?」
ウンディーネと共に行動するのは色々と問題がある。
魔王城を出る前、そのように話は纏まったはずです。
寂しいという感情はありながらも、アカネさんのためなら仕方ないと私は我慢することにしました。そしてまた、ウンディーネもそれを承知で快く受け入れてくれました。
なのに、どうして今になって…………。
「妾はリフィを独り占めしたくない……と言うと嘘になる。本当はずっと一緒に居たいと思っている。じゃが、それでは妾だけズルいと思ってしまったのじゃ」
「ズルい、とは?」
「リフィとウンディーネは最初から糸で導かれるように出会い、徐々に関係を深くしていった。なのに妾は家の仕来りがなんだと、強引に二人の間に割り込んでしまった。そして今、ウンディーネを差し置いて妾だけが楽しい思いをしているのは、自分でも許せないのじゃ……だから最後くらいは、この『恋愛成就』くらいは、三人で共に参拝しようではないか」
微かに空気が揺れたところに、ウンディーネの魔力を感じました。
『……リフィ……うち、どうすれば……』
ウンディーネは判断をこちらに委ねましたが、私は首を横に振りました。
「これはウンディーネが決めることです。アカネの覚悟に背かないであげてください」
自分でもキツい言い方をしてしまったかなとは思いますが、これは私が決めていいことではありません。
これは言わば──妻同士の話し合い。
夫が口を挟むものではありません。
……私、女ですけど。
『……うん。うちも、一緒に行きたい。三人で楽しく、お参りしてみたい……!』
──三人で。
ええ。やはり恋愛成就は『三人』でやらなければ意味がありませんね。
「では、決まりです」
右手でアカネの手を取り、左手でウンディーネの手を取ります。
これで私が両方から挟まれる形となりました。
「アカネ、ありがとうございます」
『あ、えっと……ありがとう、アカネ!』
「いいのじゃよ。……やはり、リフィとウンディーネが並んでいた方が、こちらも馴染み深いな」
そう言ったアカネさんの表情は、少しだけ曇っていました。
「それは違いますよ」
「え……?」
「もう貴女は私のものです。これからは、この位置がアカネの場所ですよ」
『リフィ、意地悪』
「そう言わないでくださいウンディーネ。むしろ、言わなかったら怒るくせに」
私はウンディーネのことなら、なんでも知っています。
彼女が望む言葉も、行動も、全てが丸わかりです。……若干、スキルに頼っていると言っても過言ではありませんけれど。
『うんっ、やっぱりリフィ大好き!』
「ええ、私もですよ」
──あ、早速イチャついてしまいましたね。
やっぱりこの国に滞在している間は接触禁止じゃー!
とか言われるのは勘弁願いたいのですが……怖くなったので、ちょいとアカネさんのお顔を拝見。
「って、アカネ。どうしたのですか?」
アカネさんは怒るでも悲しむでもなく、ただ呆けたように突っ立っていました。
「…………本当に、妾も加わっていいのじゃろうか?」
「『え、今更?』」
今度は私達が驚く番でした。
「先に言ってきたのはそっちなんですから、今更離しませんよ?」
『アカネはいいライバルになると思うから、これからもよろしくね?』
「ウンディーネ、それちょっとだけ喧嘩売ってません?」
『ち、違うよ! うちはリフィもアカネも大好きで、お互い頑張って、お互いを取り合うって意味で、ライバル……あれ? 何を言っているのかわからなくなっちゃった……』
「心配しないでください。私も訳わからなくなっていました」
正直なことを口にすると、ウンディーネは『むぅ……』と頬を膨らましました。
「なんだそれ、可愛いな」
と、次は赤面しました。
いいですね。久しぶりで弄り甲斐があります。
『うぅ……リフィなんて嫌い!』
そっぽを向かれてしまいました。
「そんなことを言わないでください。ウンディーネってば」
『…………(ツーン)』
「私はウンディーネのこと、大好きですよ?」
『…………(えへへ)』
いやだから可愛いな。
「おい、早速イチャイチャを始めるでない」
「私は悪くありません」
『うちは悪くないもん』
「二人揃ってなんじゃ……全く、仕方ないな」
アカネさんが笑ってくれました。
『うんっ。やっぱり、三人だと楽しいね……!』
「ええ、三人だと今後も楽しめそうです」
「『…………チラッ?』」
「なんじゃ、二人してこっちを見て。言わぬぞ。そんな恥ずかしいこと」
アカネさんは仏頂面になっていました。
あれは恥ずかしさを必死に隠しているやつです。
「『…………』」
『うんっ。やっぱり、三人だと楽しいね……!』
「ええ、三人だと今後も楽しめそうです」
「『…………チラッ?』」
「あー、もうっ! わかったわかった。三人だと楽しいな! やはりデートというのはこうでなければなぁ! ──うむ、これでいいか!?」
そこまで望んではいなかったのですが、口に出すとヘソを曲げそうなので黙っておくことにしましょう。
「では、行きましょうか」
ようやく、私達は歩き出します。
神社巡りは最後ですが、デートはまだまだ続きます。
時間が許すまで、三人でめいいっぱい楽しむことにしましょう。
──でも、どうしてでしょう。
なぁんか忘れている気がするのですよねぇ。
なんか、久しぶりな気がしますね……申し訳ありません!!!
明日も続けて更新するので、お楽しみに!
…………お知らせもありますよ(ボソッ)




