表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

170/252

私の嫌いなタイプです




 入り込んできた獣人の男……名前はバリツと言うのでしょうか?

 それまで怒り心頭だった彼も、お父様の乱入で勢いを失い、タジタジになっていました。



「お義父さん……」


「私は君の父ではない。その呼び方を許しているのは、そこのリフィ君だけだ」


 ピシャリと、そう告げられた言葉に、バリツは悔しそうに顔を歪ませました。そして何故かこちらに敵意を向けてきましたが、今のは絶対に私は悪くないと思うのですよ。



「リフィ君。まずは謝罪しよう。折角休んでいたところ、騒がしくしてしまってすまないね」


「…………いえ、私は別に気にしていませんが、それでお義父様? 先程の発言は、どういうことでしょうか?」



 先程の発言。決闘を認めるという言葉は、つまりバリツの意見に賛成しているということです。


 でも、バリツへの態度は冷たい。

 彼を味方しているわけではないように思えますが、だったらなぜ、わざわざ彼のわがままを聞いてあげるのでしょう?




「…………実は、」


 お義父様は私のところへ歩み寄り、声を潜めて事情説明をしてくれます。


「この男は昔から融通が利かなくてね。一度信じ込んだことは、絶対に曲げようとはしない」



 うっわ、私の大嫌いなタイプです。



「今回も、私が勝手に娘の婚約者をこの男に決めてしまったから、次の当主は自分になるのだと、そう思い込んでしまったらしくてね。急に婚約破棄されて、こうして押しかけて来たというわけだ」


「……え? それだと私が当主になるみたいじゃないですか。嫌ですよ。私とアカネは魔王軍幹部。あそこを離れることはできません」


「それはわかっている。娘からもそう説明されたし、当主を継ぐのは長男と決めている。……だが、どうにもこの男はそこら辺を理解していないようでな」


「ただの馬鹿じゃないですか」


 何ですかそれ、怒りと通り越して呆れるやつですよ。


「……うむ。私も困っているのだが、彼は一応歴史ある家の長男でね。プライドはとても高いんだ」


「それとってもわかります。なんか色々と言い掛かりをつけられて迷惑でした」


 最初なんて言葉も通じませんでしたからね。

 流石の私も困ってしまいましたよ。


「本当にすまない。だから、この場は大人しく決闘してくれないだろうか?」


「何でそうなったのでしょう? 私、あまり戦いたくない平和主義者なのですが……」


 と言い訳していますが、ただ面倒なだけです。

 何で異国の地に来てまで、決闘しなきゃいけないのですか。



 なんです? 私は新天地で決闘を受けやすい体質なのですか?



「ここで無理に断り帰らせても、あれは諦めないだろう。今日のようにまたやって来て、面倒事を起こすだろう。娘の婚約者は決闘にも応じない根性無しだと、周囲に吹聴する可能性だってある」


「傍迷惑な人ですねぇ……」


 私としては他人の評価を気にしないので、何と言われようが構わないのですが……今日のようなことが繰り返されるのは御免被りたいです。



「…………なるほど。正々堂々とした決闘の場で勝敗を決め、どちらが婚約者に相応しいかを定めるのですね?」


「そういうことだ。決闘で負ければ、流石にあの男も諦めるだろう」


「それはどうでしょう? それでも自分が正しいのだと諦めなかった馬鹿を、私は何人か知っているのですが」


「そうなった場合はこちらも容赦はしない。今回以上の迷惑は掛けないと約束する」



 決闘をして何が変わるかはわからないけれど、今はそれをするしかこの場を穏便に済ませる手段が無い……って感じですね。


 ずっと断り続けるのも面倒ですし、居座られるのも邪魔です。

 だったら、いっそのこと完膚なきまでに叩きのめした方が、早くて楽でしょう。



「もし、私が負けた場合はどうするのですか?」


「君が負けるのはあり得ないと思っている」


 ……おぉ? なんか凄い期待されてますね。



「リフィ君の実力は昨夜、娘の方から自慢気に話されたからな」


 お、おぉぅ……本人の居ないところで羞恥プレイですか。

 これは恥ずかしい。何か変なことを言っていないか、後で問い詰める必要がありますね。



「ちょうどいい機会だ。魔王軍幹部の中でも、最強と名高い君の実力は気になっていたし、私にもそれを見せてくれないだろうか?」


 色々とツッコミどころはありますが、それは後回しです。



「…………わかりました。では、そのように」


「感謝する」




 お義父様は私から距離を取り、バリツに宣言します。


「リフィ君とバリツの決闘は二日後に執り行う。各自、正々堂々とした決闘を重んじるように」






 こうして私は、新天地で決闘を行うことになりました。



 負けるとは思っていません。

 今更、自分の実力を過小評価しないです。


 心配するところがあるといえば、やはり彼を殺してしまわないかですね。


 うっかり脳天を貫いて即死させないよう、手加減をする必要があります。



 …………にしても、




「はぁ……面倒ですねぇ……」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ