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プッツンです

 三人行動を取り入れてから、一週間が経ちました。


 今のところ、敵側の動きは何もありません。


 ヴィエラさん、ディアスさん、アカネさんの三人が協力し、出来る限りの範囲で情報を集めているらしいのですが、入ってくるのは人間側のみの情報で、エルフに関しては未だ不明なのだとか。


 魔族の密偵が入っているのは、どこも人間の国です。


 それでエルフの情報が入っていないということは、そこにエルフ族は居ないということ。

 協力関係はどうしたとツッコミを入れるべきなのでしょうけど、現状を考えるに人間とエルフが手を取り合うのは難しいのでしょう。


 エルフは相変わらず不明なままですが、人間側の動きは手に取るようにわかっています。



 ……ああ、そうそう。近頃、人間同士で戦争があるらしいですよ?


 戦争の理由は『食料不足』とのこと……自分たちの領地だけでは食っていけないので、他国に攻め入って領地を奪う作戦らしいです。

 今やどこも睨み合いを聞かせているらしく、思った以上にウンディーネの『警告』が刺さっていますね。ざまぁ。




 まぁ、この程度は予想していたことです。


 こちらは逆に、ウンディーネの加護があるおかげで食料は倍以上に採れているらしく、魔族領はかなり潤っています。

 「流石は水の精霊です」と褒めたらめっちゃ可愛い反応を貰ったので、最近はずっと頭を撫で撫でしています。皆には呆れられましたが、ウンディーネはそれだけの働きをしてくれているので、文句はありません。


 その分、ミリアさんが調子に乗って食べまくるのですが、それでも問題がないほど食べ物は溢れています。

 精霊の加護というものの偉大さがよくわかりますね。それに直接祝福を受けている私は、もう最高です。だって、最高に可愛いウンディーネと共に入れるのですから、毎日がバースデーです…………と、自分で言っていて意味がわからなくなってきました。


 ──こほんっ。


 ここまで潤っていると、人間側が占領してくるのではないか? と危惧していた私達ですが、意外にも魔族領に侵入してくる人間は少ない。むしろ昔よりも減っている。とディアスさんが言っていました。


 人間も追い詰められている状態らしく、今無闇に魔族にちょっかいを掛けて兵力を失いたくない。という考えなのでしょうか?


 いやぁ、大変ですねぇ。


 聞けば、市場の物価もかなり向上しているとか?

 古谷さん、お金持っていませんでしたが、ちゃんと食べていますかね。むしろ分け与えていそうですが、それは彼が望んだ選択なので、私がとやかく言う権利はありませんよね。


 出る際に少しのお金は渡しておいたので当分は大丈夫そうですが、早いところ安定した収入を得なければ厳しくなるでしょう。勇者古谷の実力の見所ですね。




「なぁなぁ、リーフィア」


 ミリアさんの声が聞こえ、私はそこで思考を中断させます。


「……はい? なんです?」


 振り向くと、ミリアさんが私のベッドに寝転がり、顔だけをこちらに向けていました。完全にダラけきっていますが、これが私達の魔王です。


「暇だぞ」


「絶好の昼寝日和じゃないですか」


「だから、それが暇なんだぞ」


「文句を言うんじゃありません」


「お前はお母さんか」


「護衛です」


 急に何を言い出すのかと思えば「暇」ですか……。

 私としてはむしろウェルカムなのですが、普通の人からしたらミリアさんの言う通り「暇」なのでしょうね。


「…………そういえば、リーフィアは余の護衛なのだったな」


「なんですか。藪から棒に」


「余はもう仕事が終わっているぞ?」


「そうでしょうね。最近は書類整理も少なくなっていますから、すぐに終わるでしょうね」


 ──だからなんですか。

 そのような視線を向けた私に、ミリアさんはニヤリと口元を歪ませ、


「仕事があるのはお前だけだな──ププッ」




 特大の爆弾を投下してきたのです。




 これには私も黙り、ミリアさんの小さな体を担ぎ込み部屋を出ます。

 後ろからウンディーネが慌てたように追いかけてきますが、止めるようなことはしてきません。


「お、おいなんだ! なんだ急に!」


 肩のところでミリアさんが何か喚いていますが、んなもん無視です。


 廊下をずんずんと突き進み、私は執務室の扉を開け、魔王をぶん投げました。


 「ぎゃあああああああああ!?!!?!??」と叫びながら床を転がり、最後は壁にぶつかって沈黙するミリアさん。

 そこにピンがあったのならば、いいストライクが出ていたところです。


「どうしたんだい、リーフィア。今日はもう休むんじゃなかったの?」


 中で優雅にお茶を楽しんでいたヴィエラさん達が目を丸くさせ、哀れに転がるミリアさんを目で追った後、私の方に視線を向けました。


 アカネさんが立ち上がり、新しいお茶を出そうとしてくれるのを、すぐに出て行くから問題ないと止めます。



「……リーフィア?」


 入り口に仁王立ちし続ける私に、ヴィエラさん達の表情は徐々に険しくなります。


 私は深呼吸の後、カッと目を見開き、アカネさんを指差しました。




「ヴィエラさんに、トレードを申し込みます!」




「……はい?」

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