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仲間に裏切られたガチャ中毒の俺、異世界で無限召喚スキルを手に入れ、最強の軍勢で世界を征服する  作者: ジャクロの精霊


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紅の誓い

上層のバルコニーから、黄金の月の光が庭園をやさしく照らしていた。

アウレリア、モモチ、マルガリータ、そしてライラ――

四人の女性がそこに立ち、沈黙の中で夜を見つめていた。


誰も言葉を発さなかった。

だが、その空気には――

数世紀ぶりに感じた“本物の優しさ”が漂っていた。


沈黙を破ったのは、アウレリアだった。

「そう…最初はカオリだったのね。」

どこか寂しげな笑みを浮かべながら言う。

「彼女の瞳に宿る光…あれは忠誠だけじゃなかったわ。」


モモチは腕を組み、そっけない態度を装っていた。

「ふん…感情なんて、ただの邪魔よ。」

だが、頬がわずかに赤く染まっていた。

「…でも。

あいつには、心を引き寄せる何かがあるのは認めざるを得ないわね。」


ライラは顎に手を添え、静かにため息をついた。

「力だけじゃないの。

彼の目は…自分自身ですら気づかない“何か”を見てくるのよ。」


マルガリータは傾いた帽子の下で、くすりと笑った。

「絶望から生まれた男が、こんなにも人を惹きつけるなんてね。

なんて美しい皮肉かしら。」


そして――

カオリとハルトがサロンへ戻ってきた時、

四人はすでに待っていた。


カオリの頬はまだ紅く染まり、

ハルトは冷静を装っていたが、内心は見えやすかった。


アウレリアが一歩前に出る。

「我が主よ…今宵の月が、魔法をかけたようですね。」


ハルトは眉を上げた。

「…どういう意味だ?」


マルガリータが帽子を押さえながら笑った。

「星だけが空で輝いていたわけじゃない、ということよ。」


カオリは視線を落とし、恥ずかしそうに俯いた。


その時、モモチが無言のままゆっくりと歩み寄り、

ハルトの前に立った。


「…ふん。

カオリの忠誠がキスなら――

私の忠誠も、同じ方法で証明していいかしら?」


空気が凍りつく。

ハルトが驚いて瞬きをする間に――

モモチはそっと頬にキスを落とした。


アウレリアは、温かな声で笑った。

「これは…私たち、少し不利かもしれないわね。」


ライラが静かに歩み寄り、その銀髪が月に輝く。

「…愛情は、弱さではないわ、ハルト。

忘れないで。

私たちは欲望ではなく、“何かもっと大きなもの”のために、あなたについてきたの。」


ハルトは一人ひとりを見つめ、静かにうなずいた。

「わかっている。

だからこそ――

俺は、誰一人…傷つけさせない。」


五人の女性が、彼を囲むように集まった。

それぞれが異なる光を放っていた。


アウレリア――高貴なる竜の血を継ぐ者。

カオリ――贖いの戦士。

モモチ――影に生きる忠義の刃。

マルガリータ――混沌を狩る者。

ライラ――永遠の氷を操る魔女。


ハルトは彼女たちを、敬意をこめて見渡した。

「俺は、神でも王でもない。

ただ――過去の闇を繰り返さぬと誓った者だ。

だが…お前たちが共に歩むというなら、

俺たちで、“運命さえ塗り替える”ものを創ろう。」


アウレリアがそっと手を重ねた。

「ならば、そうしましょう。

太陽の光のもとに――そして、あなたと共に。」


カオリが続いた。

「あなたの瞳に映った“私”のために。」


モモチは、ほんの少しだけ笑って言った。

「まだわからないけど…その先を見てみたいから。」


ライラが静かに加わる。

「果たされていない“約束”のために。」


最後に、マルガリータが挑戦的な瞳で微笑んだ。

「そして、追いかけるに値する混沌のために。」


五つの手が、ハルトの手の上に重なった。

その瞬間――

彼の紋章が淡く、黄金に輝いた。


風が吹いた。

夜は、そっとその秘密を抱えたまま沈黙した。


そして、黄金の月の下に――

戦いや復讐を超える“絆”が、静かに生まれた。


――つづく。

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