表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仲間に裏切られたガチャ中毒の俺、異世界で無限召喚スキルを手に入れ、最強の軍勢で世界を征服する  作者: ジャクロの精霊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/311

黄金の再生

エルタリア王国は、もはや過去の姿ではなかった。

かつて廃墟と恐怖に覆われていた地には、今や槌の音、車輪の軋み、そして人々の声が満ちていた。

黄金の太陽の旗が城壁に掲げられていたが、それは征服の印ではなく──約束の象徴として。


ハルトは護衛もつけず、民の中を歩いていた。

黒いマントの縁に金の刺繍。腰には飾り気のない剣一本。

彼の傍には、カオリ、アウレリア、マルガリータが並び、民が恐れではなく敬意を持って頭を垂れるのを見守っていた。


一人の老婆が杖をつきながら、ゆっくりと彼に近づいた。


「あなたが…新しい王なのかい?」

かすれた声で尋ねた。


ハルトはわずかに微笑んだ。


「いいえ。私は王の嘘を清める者です。」


老婆は静かに頭を下げた。


「ならば、すべての嘘を拭っておくれ。

もう、偽りの約束はたくさんだよ。」


ハルトは跪き、老婆の目を見つめて言った。


「約束はしません。結果を見せます。

今日から──この王国の子供は、誰一人として飢えさせない。

そして民から盗む者は……金以上の代償を払うことになる。」


民衆の間にざわめきが広がった。

耳にしたのは演説ではない──決断だった。


***


数日後、ハルトは王宮の大広間にて、特別な集会を開いた。

貴族たちは震えながら席に着かされた。

その隣には、商人、職人、兵士たち。

身分を問わぬ席順だった。


「今日より──」

ハルトはすべての前で宣言した。

「力は継がれない。証明されるものだ。

各地区は代表者を選出し、

お前たちが民から奪った金は──

宮殿ではなく、“学校”を建てるために使う。」


一人の貴族が激昂し、立ち上がった。


「こんなのは専制政治だ!

我々から“正当な”財産を奪うのか!」


ハルトは動かず、静かにその男を見つめた。


「違う。

私は“お前が本来持つべきでなかったもの”を取り上げているだけだ。」


カオリが一歩前に出て、巻物を広げた。


「偽装された税記録と賄賂の証拠を調査済み。

すべての加害者は、公開の場で裁かれます。

民が──その運命を決めるのです。」


アウレリアは冷たい笑みを浮かべて言った。


「もし逃げようとする者がいれば……

空に祈っても無駄よ。」


貴族はその場に崩れ落ち、

他の者たちは沈黙した。


***


その後の数ヶ月で、王国は変貌した。


荒れた畑は再び耕され、

孤児たちは再建された神殿に迎え入れられ、

目的を失った兵たちは、民を守る者となった。


人々は“黄金の王国”について語り始めた。

恐怖の帝国ではなく──

“正義”が機能する地として。


ある日、一人の子供がハルトに花を差し出して言った。


「お母さんが言ってた。

あなたが“春”を運んできたって。」


ハルトは花を受け取り、穏やかに答えた。


「春を運んだのではない。

“冬”を取り除いただけだ。」


***


その夜、宮殿の塔で、

カオリは地図の上に筆を走らせるハルトを見つめていた。


「あなたは、本当にこの世界を変えたいの?

それとも…ただ“支配”したいだけ?」


ハルトは顔を上げた。

火の光に映るその瞳は、静かで、どこか疲れていた。


「支配は結果にすぎない。

“変革”こそが、私の目的だ。」


カオリは静かに微笑んだ。


「ならば…これから来る者たちは、あなたを理解できないわ。」


ハルトは答えた。


「理解される必要はない。

私が開いた道を──“歩む”だけでいい。」


外の空には、金色の雲がゆっくりと広がっていた。

まるで、世界そのものが“新たな何か”の誕生を認めているかのように。


だが──


遠き国境では、噂が渦巻いていた。


エルタリアの変貌を恐れ、

他国は震え、

ある者はハルトを“暴君”と呼び、

またある者は“預言者”と呼んだ。


そして、砂漠の大地──

灰色の瞳を持つ男、天道ナオヤは、北を見つめていた。

その瞳には、憎しみと…疑念が入り混じっていた。


「もしアイツが本当に世界を変えたのなら……

俺は…何なんだ……?」


黄金の太陽はなおも輝いていた。


そしてその光と共に──

第二幕が始まる。


──拡張。


――つづく。

この章をお読みいただきありがとうございます。ご意見・ご感想は大歓迎です。評価やお気に入りへの追加も歓迎いたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ