夢を呑む歌
月は高く昇っていた。
太陽帝国は暗い一日を終え、休息をとっていた。
ハルトは評議会と協議を重ねながら、カオリが静かに彼を見守っていた。
真夜中…
歌が聞こえた。
柔らかく、女らしく、甘い囁き…
あまりにも甘かった。
青年はぐっすりと眠りについた。
彼の護衛たちは、自信に満ちた様子で外に立っていた。
しかし、部屋は紫色に染まった。
影は水のように動いた。
歌声は大きくなった。
そして、彼のベッドの端に座る人影が現れた。
小町女王。
彼女はもはや女子高生には見えなかった。
彼女の瞳は紫色だった。
彼女の肌は磁器のように白かった。
彼女の声は…
まさに毒だった。
小町
「かわいそうな王子様…なんて役立たずなのかしら。」
少年は目を開けたが、動けなかった。
王子
「な、なに…なの…?」
小町は優しく微笑んだ。
小町
「あなたを思い出に変えてくれる人よ。」
彼女は指で彼の額に触れた。
彼の瞳孔が開いた。
彼は叫ぼうとした。
叫べなかった。
小町
「眠れ。」
王子は姿を消した。
彼は黒い花びらへと溶け、小町はそれをガラスの瓶に入れた。
衛兵たちは必死にハルトのもとへ駆け寄った。
衛兵
「陛下!お…手紙が届きました!」
ハルト、香織、フロストレイン、ミラージュ、そしてオーレリアが集まった。
アストラ・ノクスは慎重に手紙を受け取った。
それは封が一つだけ施された白い封筒だった。
そして、どこか懐かしい香り…
小町の香水。
ハルトは手紙を破り開けて読んだ。
ハルト君。
駒を動かせるのは君だけじゃない。
君が戦略を話し合っている間に…君のものを盗んだんだ。
ウォールド王国の皇太子が私と一緒にいる。
私のせいで彼を殺さないでね?
彼はとても繊細なの…
ああ、それと香織ちゃん…
香織は寒気を覚えた。
昨晩はよく眠れたわね…?
本当にあの夢は君のものなの?
ねえ。
小町。
香織は膝から崩れ落ちた。
ミラージュは言葉を失った。
オーレリアは子供たちを守りたいという衝動を感じた。フロストレインは剣の柄を握りしめた。
ハルトは手紙を閉じた。
彼の黄金のオーラは黒く燃えるように燃え上がった。
香織
「は、ハルト…夢に出てきた…私…私…」
ハルトはすぐに香織を抱きしめた。
ハルト
「君のせいじゃない。彼女は君を壊すためにやったんだ。」
香織は震えた。
小町は自分の最大の弱点を見つけた。
彼の心だ。
アストラ・ノクス
「小町が王子を誘拐したなら…内乱を起こそうとしている!」
ハルトは机に拳を叩きつけ、机を二つに砕いた。
ハルト
「起こさせればいい!」
皆が恐怖に震えながら彼を見つめた。
ハルトは見上げた。
彼の目はもはや金色ではなかった。
それは純粋な炎と、怒りの影が混ざり合っていた。
ハルト
「王子様を取り戻す。」
「小町を殺す。」
「それから…」
危険な笑みが彼の顔に浮かんだ。
ハルト
「…克郎の首を素手で刎ねる。」
香織は彼を強く抱きしめ、静かに涙を流した。




