準備と疑念 ― 盤上の駒たち
世界が燃え上がる前に――
ある者は、それを救うために鍛えられ。
ある者は、戦う価値があるのか疑問を抱く。
*
戦の影が迫る中、
ハルトは中央の塔から城下を見つめていた。
だが、その目は兵の動きではなく――
仲間たちの訓練に注がれていた。
「輪廻の挑戦」が告げられて以来、
初めて全員が共に動いていた。
カオリは戦術訓練の指揮を執り、
モモチは影を使った潜入術を教え、
マグノリアは移動狙撃の精度を上げる。
フロストとエイルリスは元素魔法の連携攻撃を構築し、
クララとアイリスは諜報任務のシミュレーションで息を合わせる。
アルセアは後方から若い仲間たちを見守り、
エリーズとエルフィラは対封印魔法の試験中。
その中で、
ダヴィドは静かに竪琴を奏で、
心の平穏を保つ旋律を響かせていた。
カオリ(声を張って):
「力だけじゃダメよ!
私たちが“なぜ”戦うのか――その覚悟が必要なの!」
その声に導かれるように、
ハルトは塔から降りて皆の前に現れる。
彼の姿を見た瞬間、
全員の集中力が一段と増した。
*
一方その頃――
青いクリスタルに照らされた地下洞窟で、
アヤネは“輪廻”の中でも最も得体の知れぬ協力者のひとりと対面していた。
梅田タカシ。
魔法工学の天才にして、輪廻の“企業家”。
質素な服装の裏で、彼の周囲には黒魔術とスチームパンクが融合した戦闘用ゴーレムたちが並んでいた。
アヤネ:
「そんなに多くの注文が、もう入ってるの?」
タカシ(魔導板を確認しながら):
「三つの王国の貴族たちが“自分たち用”のゴーレムを依頼してきた。
自律せず、命令通りに動く兵器。
兵士より安くて、命令違反もしない」
アヤネ(顔をしかめて):
「これが…私たちの望んだ革命だった?」
タカシ(淡々と):
「君が言ったんだ、“混沌が必要だ”って。
僕はその理念を“商品化”しただけさ。
革命を売ったんだよ」
沈黙。
タカシ(じっと見つめて):
「頂点に立った今――
君は、迷ってるのか?」
アヤネは、子どもの姿をしたゴーレムを見つめる。
瞳のない目。
腕には隠された砲門。
アヤネ(低く):
「この世界を“救う”ために…
私が、かつて世界を壊した者たちと“同じ”になるなら――」
タカシ(感情なく):
「じゃあ、ただ“神を入れ替えただけ”だ」
アヤネは目を閉じる。
アヤネ:
「ハルトは…一度もゴーレムを使わなかった。
彼が信じたのは、“人”だった」
タカシ:
「だからこそ、彼は失敗する。
“人間”は、必ず裏切るから」
*
運命の駒は、ひとつずつ動き出していた。
だがその中心で――
誰もが、自分の信じる“戦う理由”を問われていた。
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