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仲間に裏切られたガチャ中毒の俺、異世界で無限召喚スキルを手に入れ、最強の軍勢で世界を征服する  作者: ジャクロの精霊


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黄金の策謀

北の山々に朝日が差し込む。

霜に覆われた木々の間を、滝の轟音が響き渡り、その音は谷にこだまする金属音と交じり合っていた。


ハルトは上半身を晒したまま鍛錬をしていた。

その動きは無駄なく正確で、呼吸ひとつすら制御されている。

冷気の中で彼の身体から立ち上る蒸気は、まるで皮膚そのものがエネルギーを発しているようだった。


その傍らには、完全に女性へと転生を遂げたカオリが佇み、熱心に彼の動きを見守っていた。

銀髪が陽光に輝き、金色の瞳は一挙手一投足を追いかけている。そこには忠誠と……ほのかに抑えられた愛情が宿っていた。


アウレリアは人間の姿に変わり、少し離れた場所で腕を組み、挑発的な笑みを浮かべる。

—「師匠を見るのがよほど楽しいようね?」


カオリは視線をそらし、顔を赤らめた。

—「ただ、技術を見ているだけ。すごいから……それだけ。」


アウレリアはくすくすと笑う。

—「はいはい。技術、ね。」


ハルトは訓練を終え、額の汗を拭いながら二人に向き直る。

—「俺を見て誰が一番赤くなるかの競争が終わったなら、そろそろ計画に集中しようか。」


二人はすぐに黙り込んだ。

だがその頬に残る紅潮が、張り詰めた空気とは別の火種を物語っていた。


数日間の瞑想と鍛錬の末、ハルトは自らの身体に異変を感じ始めていた。

エネルギーを集中させると、肌に黄金の紋様が現れ、回転しながら繋がっていく。まるで魔法回路のように。


アウレリアはそれを《神の反応》と呼んだ。

それは《王のガチャ》に適応することで、潜在能力が目覚める現象だった。


—「まるで、あなたの身体が結んだ絆に応じて変化しているみたい」

カオリが言う。

—「魂を浄化するたび、あなたが中心になっていくの。」


ハルトは目を閉じた。

内なる何かが開かれようとしていた。

ただ召喚するのではない。魂そのものを“同期”できる感覚。


そのとき、空気が震え、地面に新たな二つの黄金の魔法陣が浮かび上がった。


最初の陣からは青白い光が放たれ、漆黒の衣に身を包んだ少女が現れた。

短い忍装束、銀の包帯が腕に巻かれ、黒髪は三つ編みに束ねられている。

その瞳は鋭い紫、刃のように冷たい光を宿していた。


—「モモチ。静寂に動く刃。」

—「誰を、護ればいい?」


ハルトは彼女を見据え、言った。

—「《黄金の太陽》を信じるすべての者たちだ。」


続く第二の陣は紫の閃光とともに輝き、光の花びらが渦を巻く。

現れたのは優雅に歩く女魔法使い。

黒と金を基調にしたコルセット、輝くストッキング、浮遊するルーンの縁取りがされたマント。

長い蒼髪に、遊び心を秘めたマゼンタの瞳が印象的だった。


—「リラ・ヴァルティエンヌよ」

微笑みながら名乗る。

—「幻術師。感覚、感情……そして心の操作が専門。」


アウレリアは眉をひそめ、不機嫌そうに言う。

—「また媚びる女が一人増えたか。」


リラは首を傾げて笑った。

—「ご安心を、ドラゴンさん。男には興味ないから……」


—「嘘にも興味ないわ」

アウレリアが鋭く返す。


ハルトは軽く手を上げた。

—「やめろ。今は集中すべきだ。」


—「モモチは俺の目。リラは声。アウレリアとカオリは盾。」

彼の声は静かでありながら、揺るがぬ意志を帯びていた。


カオリは彼を見つめる。金の瞳が静かに光っていた。

—「じゃあ……あなたは?」


—「俺は……火だ。火種を灯す者。」


彼らは一枚の地図を囲み、作戦の概要を確認する。

地図には、月城レイナの紋章が刻まれた東方の領地が青く染まっていた。

その影響力は沿岸部の都市に広がっており、住民たちは皆、まるで作られたように“幸せ”そうに見える。


—「精神操作は建築物に隠されたルーンで伝播してるわ」

リラが説明する。

—「これは感情のネットワーク。一気に壊せば、民衆が崩壊する。」


—「なら、糸を燃やすのではなく、断ち切るべきね」

カオリが応じる。


—「私が潜入し、要点をマーキングする。だが陽動が必要になる」

モモチが言った。


アウレリアは槍を地に突き立てる。

—「それなら任せて。」


ハルトは全員を見渡す。

その声には静けさの中に炎が宿っていた。


—「作戦名は《夕陽の太陽ソル・クレプスキュラ

開始は明日の夜明け。

敵は人ではない。王国が信じる《嘘》そのものだ。」


風が吹き抜け、《黄金の太陽》の紋章がその掌に輝いた。


その夜。焚火の前に座るハルトの隣に、カオリが静かに腰を下ろした。


—「……怖い?」

彼女が問う。


—「敵ではなく……築き上げたものを失うことが怖い。」

彼は微かに微笑む。


カオリはそっと、彼の肩にもたれかかる。

遠く、アウレリアが闇の中からそれを見ていた。

その瞳には誇りと……ほんの少しの嫉妬が宿っていた。


焚火の光が、彼らの顔を照らす。

夜明けと共に、彼らは最も危険な一手を放つ。

王国の魂を巡る戦いが、今始まる。

この章では、ハルトはロイヤルガチャで新たな能力を覚醒させ、香織とオーレリアとの絆を深めるとともに、沈黙の忍者モモチと魔法使いライラという二人の新たな仲間を召喚します。

一行は月城レイナの王国に対する最大規模の作戦を開始します。


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