海戦
数字の使い方が一定せず申し訳ありません。
人数は ひとり 一人 ふたり 二人 さんにん以上が三人、四人、五人
いちめい 一名 にめい 二名 さんめい 三名 よんめい 四名 ごめい 五名
やっているつもりですが、確認ミスも多発しています。
哨戒機からは艦隊進路前方の大型の海棲生物乙は艦隊に向けて進路を変更し速度を上げたようだたという。
九戦隊司令は黒鶴と冬月・初月は速度を上げ海棲生物を振り切るよう指示した。
残りの艦は新田丸の護衛だ。
哨戒機によると甲は速度を落としたという。
「艦長、浦風より隊内電話。十一駆司令です」
「此方、野分艦長です」
『野分か、飯塚艦長には申し訳ないが、乙の正体が分からん。速力を落とし聴音機で何か聞こえないか試してくれ』
「了解しました。自衛の為の戦闘は許可が出ますか」
『九戦隊司令より許可は貰った。自艦の安全を優先せよ』
「了解」
『では頼む。新田丸に近づけないよう努力してくれ』
「はっ」
「取り舵120」
「取り舵120、ヨーソロー」
「両舷前進原速」
「両舷前進原速、ヨーソロ」
「聴音どうだ」
「まだ聞こえません。もう少し近づいてこないと聞こえないかもしれません」
「艦長!11時の方向」
「なんだ、方向だけでは無く正か・・・」
なんだあれは。魚なのか?あのジャンプした魚らしきものは。
「艦長、あれはなんですか」
「分からん。此方に危害を加えるようなら反撃する」
「艦長此方聴音、何か海面を叩く音が聞こえます。イルカがジャンプしたような音ですが、大きさが違います」
「聴音、此方は視認した。怪物だ」
「怪物ですか」
「そうだ、出来るだけ音を拾って特徴をつかんでくれ。ただとっさに爆雷戦になるかもしれん。耳に気をつけるように」
「了解しました」
「誰かカメラもってこい」
「は」
「艦外にいる者は、安全帯の使用だ。急げ」
「艦外にいる者は、安全帯の使用。繰り返す。艦外にいる者は安全帯の使用。急げ」
「安全帯ですか、艦長」
「そうだ航海、あの水しぶきを見ただろう。イルカやシャチとは違う。あんな水しぶきを上げられては持って行かれるぞ」
「そうですね。兵の安全が無ければ艦が機能しません」
「それで良い」
「機関長。艦長だ。いつでも全力発揮出来るようにしておいてくれ」
「機関室了解」
「水雷長、爆雷戦用意。調定深度30」
「は、調定深度30。了解」
「砲術、機銃で狙えるか?」
「近いと俯角が取れませんがやってみます」
あいつは魚に見えたが、あんなでかい魚がいるわけが無い。怪物と言って良いだろう。いや待て、そう言えば混沌獣なのか。混沌獣なら此方を狙ってくるだろう。
「艦長、聴音です。ようやく聞こえるようになりました。ただ静かです。怪物の音は拾えません」
「そうか。混沌獣の可能性がある。しっかり聞いてくれ」
「了解」
「艦長、聴音です。鳴いています」
「鳴いているだと?」
「はい、グーグーと」
「魚が鳴くのか」
「グーグーですか。艦長、よろしいでしょうか」
「なんだ、信号員長」
「釣りをするのですが、フグやイシモチは釣り上げられるとグーグーと鳴きます」
「鳴く魚いるんか」
「通信、全艦宛で「混沌獣と見られる大型海棲生物と遭遇。魚型と見られる。特徴はジャンプとグーグーと鳴く。続報を待て」以上だ」
「全艦宛発信します」
「見張り、奴はどこだ」
「視認出来ません」
「見失ったのか」
「はい、水面近くなら波が起きると思いますが、見えません」
「では深く潜ったと」
「可能性はあると思います」
「艦長、聴音。複数の鳴き声を探知」
「複数だと」
「はい、少なくとも3カ所から聞こえます」
「どう思う」
「呼んでいるのではないかと思います」
「仲間を集めるか」
「はい」
参った。仲間を呼ぶのか。だが混沌獣と決まったわけでは無い。此方を攻撃してくれば混沌獣だろう。どうするか。
「艦長、聴音。鳴き声が激しくなってきました。急速接近中」
「衝突警報だ」
自分で衝突警報のボタンを押していた。
「全員つかまれ」
ドンという音と共に艦が酷く揺れた。
さらに2回。
「各部被害報告」
「前部弾火薬庫浸水」
「機関室異常なし、全力発揮可能」
「聴音室異常なし」
「後部弾火薬庫異常なし」
次々に報告が来る。前部弾火薬庫浸水だと?
「前部弾火薬庫、浸水はどうだ」
「浸水は軽微。既に応急にはいっています」
「よろしい」
「通信、全艦宛発信「大型水棲生物の体当たりを受ける。軽微な浸水発生。これより自衛戦闘に入る」」
「全艦宛発信します」
「水雷長、爆雷戦だ」
「了解」
「砲術、見えたら撃て」
「主砲はどうしますか」
「この距離であの速度だ。追尾出来るか」
「出来ません。機銃でやります」
「頼む」
「艦長、聴音。鳴き声急速接近中」
「爆雷投下用意」
「聴音、爆雷投下する」
「了解」
「4時に波、近い」
見えた。あれか。
「爆雷投下」
「投下」
ドーンと両舷から4発爆雷が撃ち出された。艦尾の投下軌条からは2発投下しただろう。
すぐに爆発して水しぶきが上がる。この速度で深度30だ。下手をすれば本艦も被害を受ける。
さあ、どうだ。
ドンと今度の衝撃は1回だ。ただ、ガンガンといやな音と震動がした。
「5時の方向、赤くなっています。いや巨大な魚とおぼしき物体浮上」
「6時の方向、巨大物体浮上。周囲は赤くなっています」
見てみるか。後1匹いるが、この様子なら撃退出来そうだ。
「取り舵、150度」
「取り舵、150度、ヨーソロー」
ゆっくり巨大生物に回り込んで行く。聴音はしばらく役に立たないだろう。後1匹はどこだ?
「3時に波」
「機銃撃ち方始め」
「撃ち方始めます」
見えないせいかまだ撃たないな。
波が何か変わった?
「ジャンプします」
「てー」
ガガガと25ミリ機銃が射撃を始めた。嘘だろう。はじかれてるじゃ無いか。表面で炸裂した物もあるが、傷つけるには至らなかったようだ。
ザンと潜ってしまった。
「聴音どうか」
「ジャンプ後の擾乱があり、聞こえません」
「わかった」
今回は被害は無いが、最初の体当たりで浸水があった。次の体当たりでも何処か凹んでいるのだろう帰国後はドック入り必須だな。
「聴音です。2時方向から鳴きながら急速接近中」
「取り舵一杯。爆雷用意」
「取り舵一杯、ヨーソロー」
「爆雷投下用意良し」
「3時に波」
まだ艦の向きが変わらん。これでは爆雷の効果範囲に入ってくれん。
「波、3時に方向を維持」
クソ。頭が良いな。後ろが危険と言うことを1回で覚えたのか。
「上空味方機、急降下」
「なに?」
艦橋の中からでは見えない。
「味方機、爆弾投下」
「航空爆雷か。聴音、爆雷だ」
2つの水柱が上がった。 どうだ。
「ジャンプします」
機銃が撃っているが、効果は無かった。
「味方機、増援です」
「舵戻せ」
「もどーせー」
「砲術、主砲徹甲装填、右舷に向けておけ」
「艦長、ジャンプした所を撃つのですか」
「そうだ」
「やってみます」
味方機が爆雷を投下するが、有効打は出ないようだ。
「3時、ジャンプします」
主砲が撃った。幸にも1発かすめた。さすがに25ミリとは違う。かすめただけで抉れている。
「味方機はどうか」
「増援ありません」
「黒鶴に通信。増援はありや」
「通信します」
「艦長、聴音です」
「なんだ変わったのか」
「先ほどの爆雷で耳がおかしくなってしまい、変わりました」
「どうした」
「はい、敵性生物は2時方向に鳴きながら遠ざかっていきます」
「速度はどうだ」
「本艦よりも5ノット程度早いと思われます」
「増速しても、聞こえるか」
「巡航速力では自信ありません」
「わかった」
「上空にある味方機へ、野分艦長だ。敵性生物は本艦から2時方向に20ノット前後で移動中。撃沈されたし」
『此方上空にある黒鶴艦爆隊、牧田大尉です。発見しました。これより追尾します。透明度が高く深く潜らなければ見えます』
「本艦は先ほど交戦した海面に戻る。後を頼む」
『了解しました』
「航海、先ほどの海面に戻る。針路を出せ」
「は」
その後、先ほどの海面に戻った野分は2匹の巨大な魚を見るのだった。
全長で40メートル前後はあるだろう。全体のシルエットはボラに似ていた。やや平たい頭。全体的に丸く太い胴体。大きめのウロコ。
特徴的なのはサメかと見間違うような鋭い歯が並んだ口。
是非持って帰りたいが、曳航出来ない。もし同じ奴がいたらと思うと、危険すぎてカッターを下ろすのがためらわれた。
甲斐からは島まで曳航を望まれたが、作業者や曳航中の安全が確保出来ないとして断った。
断った代わりに、甲斐が戻ってくるまで現場の確保を命令された。断れなかった。
「此方、牧田大尉。黒鶴飛行長」
『此方飛行長だ。どうした』
「逃走を図る敵性生物の撃破を野分より頼まれました。増援願います」
『2機では無理だったか』
「航空爆雷の威力が足りず、至近弾で無いと効果が無いようです」
『6番で駄目なのか』
「的が波号潜水艦と変わりません。速度は20ノット以上出ます。潜水艦では無く駆逐艦をやるつもりで無いと当たりません」
『潜水艦相手と思って投弾したら外れたのだな?』
「恥ずかしながら」
『対潜装備で2機と、25番装備で2機出す。それまで追尾するように』
「了解しました」
牧田大尉が見失わないように周辺を旋回し続けていると、4機編隊がやってきた。機体番号を見て驚いた。
『艦爆隊長自ら志願してきてやったぞ。ありがたく思え』
「安藤少佐、お疲れ様です」
『おう、牧田、どこにいる?』
「付いてきて下さい。あそこに波が見えますよね。あの少し先にでかい魚がいます」
『どこだ。おおいたな。意外に早いか』
「潜水艦だと思わないで下さい。外します」
『飛行長から聞いたぞ』
「っはは・・」
『よし、俺と近藤で行く。津川と山本は後詰めだ』
「「了解」」
ん?待て、飛行長は対潜装備で2機、25番で2機と言った。なんで全機25番と対潜装備の航空爆雷まで両翼に装備してきたんだ。
『細かいことを言うな、牧田。6番で駄目なら25番でやるのだ』
「そうですか」
牧田は疲れた。
『行くぞ』
「了解」
明らかにオーバーキルだった。無残な姿になった魚の胴体が浮いてきた。すぐに沈んでいった。
軍艦と言うか、船って、転落防止柵やチェーンが有るので安全帯する人は無いですよね。この物語世界では、人手不足につき安全第一と。




