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総統の困惑

 総統執務室でデストラーは溜息をついていた。シックな基調でまとめられた落ち着いた雰囲気のする部屋だ。

 信じられなかった。自信を持って作り上げた艦隊だった。最新技術と資金を惜しみなく注ぎ、勝てる艦隊のはずだった。

 それがこの損害だ。

 デストラー総統は報告書を見て、呆然とした。負けたという知らせは有った。大損害だとも。それが正式に確認された今(何がどうしてどうなった?何故だ?)こんなレベルの低い思考しか浮かんでこなかった。

 もう一度手元の資料を見る。



 オーレリア島東海戦損害報告書

喪失

戦艦   ノルテンブルク 

     サウジレーム

     ベルリッヒ5世

     ケイニヒ・スターン  


空母   アンゼナイツ  

     アドラス       


巡洋艦  マイノグリフ

     ホールソシエ

     カーマゲイン     

     エーデライクス


駆逐艦  VG10 VG30 VG31 VG32 VG35   

     KA1  KA2  KA3  KA6  KA7 

     GA57 GA58 GA60 GA63

     FJ9  FJ10


損傷

空母   ヨーロレイル     中破

     ヨルムンガンド    中破

     ヨリシーダ      小破  

     アルスケム      中破

     アリアドネ      小破

     アドラスティーム   小破

     アルナヘイム     中破


損傷無し

空母   アケリウス      

     アイギスラント

駆逐艦  VG9  VG11  VG12



敵に降伏した艦艇

戦艦   ハーリッツ 

     フォイクト  

     バウハウス

     ミーアラント

巡洋艦  ファウフリッツ

     ルードルスケム

駆逐艦  GA56  GA64  GA65  GA66 

     KA4   KA5   KA8 

     VG33  VG34  VG36  VG37   

     FJ11  FJ12


敵に与えた損害  推定値

戦艦    4隻撃沈  1隻撃破

空母    2隻撃沈  4隻撃破

巡洋艦   7隻撃沈  6隻撃破

駆逐艦  18隻撃沈 10隻撃破

 

 頭が痛い。頭痛が痛いとでも言って笑うか。クソ!ろくな考えが浮かばん。報告書では、敵が数の優勢を生かした上に新兵器で圧倒したと書いてある。水線下に高確率で命中しているので誘導魚雷と考えられる。とも。降伏した艦の中には溺者救助や損傷艦支援のために残っていた無傷の艦も有るが、それはいいだろう。許せる。

 もっと痛いのはこちらだ。


 オーレリア基地防衛戦

 おかしい。オーレリア島西海戦のはずだが。もう一度見るか。うん、海軍本部と陸軍本部と空軍本部によって物語が書かれているようだ。

 日本軍は、ガミチス本国から距離を取るべく、オーレリア島沿岸に沿って南から北上したと。

 本国からでは、往復できない距離か。確かに戦闘機で片道1000キロ以上を戦闘して往復できる機体は無い。爆撃機は有るが、護衛が無ければ戦闘機の餌食だろう。だが、片道でオーレリア島基地に着陸することを選べなかったのか?

 次のページには言い訳か。

 日本艦隊襲来3日前より、主要基地で有るオーレリア島基地に対する空襲が激しく飛行場や付帯施設に損害を受け、本土からの航空機受け入れは難しくなっていた。

 ルミナス飛行場も同じように空襲を受け、損害は出ている。ルミナス飛行場は拡充に努めていたが、地形的な要因も有りそんなに大きく出来なかった。規模的には、オーレリア飛行場の半分程度が限界で有り、主要基地には出来なかった。

 日本の機体はそんなところまで往復できるのか?以前はルミナス飛行場は安全だと報告が有ったが。

 次のページ。

 撃墜した日本の機体には空中給油装置が付けられていた。現地改造らしい稚拙な物も有るが、制式防備となっているらしい。小型機には今回が初めての確認で有り、油断が有った。

 この馬鹿者どもめ。敵の長距離偵察機がどう考えても無理な距離を飛んできただろうが。まさか、あれだけと思っていたのか。


 こちらの新兵器はどうだったのだろう。

 艦対艦ミサイルが実用化されたな。私も視察に行った。素晴らしい兵器だ。アレなら戦艦主砲も魚雷もいらないのではないか。

 最初の60発は7割が命中した。敵戦艦の中には行動不能になった戦艦もいた。巡洋艦と駆逐艦複数を沈めた。しかし、その後、敵のジャミングが激しくなり、艦対艦ミサイルの発射が困難になった。敵駆逐艦の接近を許し長射程誘導魚雷と見られる兵器でこちらに大被害が出た。だと!

 落ち着くのだ。

 艦対艦ミサイルで破壊できるのが吃水線上であり、水線下に被害をもたらす魚雷とでは、現状大型艦にとって魚雷の方が脅威である。巡洋艦以下の小型艦にとってはどちらも同じ脅威。

 ジャミング対策の高度化をしないと、艦対艦ミサイルの有効性は低いと言わざるを得ない。しかし、現在の電子技術では、対抗策を採られてしまうと無力になる。

 ム!!落ち着け。私。落ち着くのだ。

 新技術で使わないと判らないこともあろうが、予想できたならな。とも思うが、技術の壁か。過渡期には良く有ることだ。しかし、もっと努力させないと。


 さて、見たくない物でも見なければいけない。気が重い。誰か総統の座を変わってくれないか。いや、ダメだ。ヴィルヘルム5世のような愚か者が出るかも知れない。

 フー。落ち着け。

 さあ、見るぞ。


ガミチス基幹艦隊  損害

喪失

戦艦    ザイトリティス     

      ハウスラー       

      アームストロング    

      シューマッハー       


空母    ヨロコノーム       

      ヨストマルク       


巡洋艦   カスケルム       

      ヨートルマッシュ     

      カルスケム       

      グラハトブルク          

      ヒロイスティクス    


駆逐艦   VG1   VG6   VG13  VG21 

      VG22  VG23  

      GA30  GA35  GA32  GA34 

      GA42  GA43  GA44  GA53

      FJ2   FJ3   FJ4   FJ7



損傷

戦艦    サキラティス      大破

      アッカーマン      大破

      ケイニヒ・ミュラー   大破

      ウルリッヒ       大破擱座

      アガトリティス     中破

      ガトランティス     中破

      レヴィ         小破


空母    フイフィバルト      大破

      ヨースケルビム     大破

      ヘルムヴィーグ     中破

      レギンレイヴ      中破 

      シグルーン       中破

      フロスケルム      中破

      フライバーン      小破

      フリップバーン     小破

      シグルトリーヴァ    小破

      フランシュゲール    小破

       ブリュンヒルド     小破

      オリトロンド      小破    


巡洋艦   サラディン       大破

      ハイリラタント     大破 

      ドロイエブルク     大破

      カイエスブルク     中破

      ボルネジ        小破


駆逐艦  

大破  VG7  VG19 GA55 FJ5 FJ6  

中破    GA52 VG14

小破    GA40 VG4  GA51 


損傷無しまたは軽微

空母    ゲルヒルド 

      フライスケルス  

      フジリステ

      フロリアンス 


駆逐艦   VG2   VG3   VG5   VG8

      VG15  VG16  VG17  VG18 

      VG20  VG24

      GA38  GA39  GA41  GA45

      FJ1   FJ8


 酷いものだ。ウルリッヒなど擱座だというが沈没と同じだ。使える戦艦がゼロか。笑いたくなるな。奴等、航空攻撃では空母、砲戦では戦艦と巡洋艦を集中的に狙ったと聞く。

 巡洋艦は艦対艦ミサイルを積んでいたから危険と見なされ狙われたか。 

 

 では敵に与えた損害は

 フムフム・・・・


次回更新  5月15日 05:00 予定

次回、日本側損害発表。

遂に対艦ミサイルが出ました。誘導魚雷vs艦対艦ミサイル。

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