オーレリア島沖海戦 決着
ハーリッツの主砲が撃ちまくっている。
戦艦同士の砲撃戦の間に敵駆逐艦が突撃してくる。前衛を務めるべき2個雷撃戦隊18隻は、数に劣る日本雷撃部隊に大打撃を受けた。18隻中12隻が沈んだか行動不能になっている。残りの6隻中4隻は損傷が酷い。戦果は敵駆逐艦4隻を沈めたか行動不能にしただけだ。
戦艦部隊の盾は、第六戦隊と第三駆逐隊に空母部隊から引っぺがした第十護衛隊と第十一護衛隊だ。第六戦隊は艦隊防空を担う艦で、駆逐艦相手ならともかく巡洋艦相手に対艦戦闘が出来る艦ではない。そこに敵雷撃戦隊が巡洋艦と共に突入してくる。どう考えても不利だ。
戦艦の数で勝っている内に決着を付ける必要がある。が、同クラスだろう。敵もしぶとい。
『ベルリッヒ5世。転覆』
先程炎上中という報告を受けた僚艦だ。せっかく敵戦艦2隻を停止させたというのに。
「敵と思われる編隊接近中」
「何だと?機数は」
「低空飛行で解像度悪く不明です」
「直衛機に通報。対処させよ」
「敵方向より、高速接近中の編隊在り。ジェットです」
「直衛機はそちらに取られるか」
探知された低空で近づく編隊は、なけなしの攻撃機部隊だった。数は46機。健全な艦隊に突っ込んでも打撃を与えられないだろう。戦闘機22機、爆撃機6機、雷撃機18機。これが出しうる攻撃隊全てだった。300機以上で二次にわたる攻撃を仕掛けだが、艦隊に大打撃を与えることは出来なかった。空母を主要目標にして数隻を損傷・撃沈できた程度だ。逆に攻撃隊は甚大な損害を受けた。未帰還機も多いが、損傷機も多かった。プロペラ機では艦隊直衛機と艦隊対空砲火をくぐることが出来なくなっていた。
「各機。菅原少佐だ。この機数では敵艦隊全体に有効打を与えることは難しい。よって目標を戦艦とする。射点の都合で小物が入った場合は無理せずに小物をやれ」
『菅原少佐。シルヴァン少佐。大物狙いですな。良いのか』
「シルヴァン少佐か。敵の小型艦は数が減ったそうだ。大物狙いで行け。やりたいのだろう?」
『勿論』
「砲戦の最中にお邪魔するのだ。機銃座は人員配置をしていないだろうし、針路は直進だ。狙い放題だ。外すなよ」
『それは厳しいですな』
「この編隊の中で、出来ないパイロットはいないと思うが」
『『『『厳しすぎます』』』』
「味方攻撃隊からです「砲戦の中断は無用。勝手に横入り御免」」
「ほう。腹が据わっているな」
「どうしますか」
「無用と言っているのだ。ただ、弾着修正に手間取ることもある。そう思わないか」
「そうですな。手間取ることもありますな。では、艦隊に伝えておきましょう」
「頼む」
攻撃隊は爆撃機6機が高度5000で侵入。雷撃隊は高度500で、あろうことか両艦隊の中間に突入。味方にケツを向けて雷撃態勢に入った。戦闘機隊はまだ離れない。
砲戦距離は2万だった。
敵迎撃機が数機、味方戦闘機を振り切って攻撃をしてきた。戦闘機は果敢に立ち向かうがジェット対プロペラだ。楯になるしか無かった。戦闘機8機が撃墜され爆撃機2機と雷撃機4機も撃墜された。
迎撃できたのはそこまでだった。爆撃機4機と雷撃機14機が突撃する。
爆撃隊は2機がディッツ帝国海軍機、2機がファイオール公国海軍機だった。ディッツ帝国海軍機のケイオス3は各機1トン爆弾2発を急降下で投下する。ファイオール公国海軍機のブリストンは、各機500キロ爆弾3発を巡洋艦に落とした。
この爆撃で、戦艦ハーリッツの後楼が吹き飛ばされ、戦艦サウジレームの艦首錨鎖庫がスクラップになった。巡洋艦はカーマゲインが3発くらい戦闘不能に近い。
雷撃隊は流星4機とシュニッツァーT6機にトラインFS6機が突入した。敵はあろうことか戦艦主砲を向けてきた。生き残っている対空砲火は準備する時間が少なかったのか低調だ。それでも流星2機、シュニッツァー2機、トラインFS3機が撃墜された。主砲弾の衝撃波は凄まじものだった。また海面に撃ち込まれた水柱は数十メートルに達し飛行を阻害した。
わざわざ照準をずらしてまで戦艦主砲での迎撃は成功した。しかしそこまでだった。
流星2機がハーリッツに3本命中させ、シュニッツァー4機はノルテンブルクに3本命中させた。トラインFS3機はミーアラントに3本命中させた。爆撃も雷撃も、演習でもめったに無い成績だった。
「敵戦艦に9本命中」
「3隻、速度落ちます」
「良し、砲撃再開せよ。水雷戦隊も突撃しているのだろう。援護だ援護」
1時間後。敵は降伏した。
無傷の敵艦が少なく逃げ切れないと判断したのだろう。双方、溺爵救助を開始する。
損害は考えるのも嫌なくらいだが、敵を圧倒できた。それで良しとしよう。人的損害も多いが、日本から提供の有った各種怪我用魔法陣や薬草由来の各種薬やポーションでかなり軽減された。
ディッツ帝国でも、魔法使いの養成やダンジョン攻略、混沌領域での強化・採取行動をしているが、魔法使い以外はまだ日本との差は大きかった。
航空戦では、日本機動部隊に攻撃が集中した。
航空戦での損害
沈没
空母 飛龍 蒼龍(鎮火不能で自沈)
駆逐艦 照月 西風 RB9 デュオストス
初月(曳航中沈没)
損傷後退
空母 瑞鳳 翔鳳 ゲルセミ
巡洋艦 石鎚 飯野 フロッティ アンドロマケー
駆逐艦 RB4 デュオニック
以下の艦は、砲戦に参加していない。
第九水雷戦隊の沙流と第四十四駆逐隊は損傷艦の護衛で同行。
第九直衛隊と第六直衛隊は龍鳳・雲龍・天龍・フリーン・ロブン・フロノス・
ニケ・アテナ・ソシエールの戦える空母を護衛。
砲戦での損害
沈没
戦艦 グレイブ(自沈) グンロズ
巡洋艦 野洲 グラム ヘレネー ポートカイタック
駆逐艦 大谷 鞍掛 岩谷 笹子 恒風
RB2 RB5 RB8 RB11
ティムール ティラニクス ティターノ
大破損傷
戦艦 エーギル
巡洋艦 道後 ミストルティン ヘレノス
駆逐艦 葛葉 薬師 新風
RB3 RB7
中破・小破
戦艦 エルディル ダンガーソン グライムズ
巡洋艦 レヴィル ヘクトール ギルフォリア
駆逐艦 清風 RB1 RB6 RB10
ティタニア デュオニクス
戦果
撃沈または後自沈
戦艦 ノルテンブルク
サウジレーム
ベルリッヒ5世
ケイニヒ・スターン 自沈
空母 アンゼナイツ
アドラス 自沈
巡洋艦 マイノグリフ
ホールソシエ
カーマゲイン 自沈
エーデライクス
駆逐艦 VG10 VG30 VG31 VG32 VG35
KA1 KA2 KA3 KA6 KA7
GA57 GA58 GA60 GA63
FJ9 FJ10
降伏した艦艇
大破
戦艦 ハーリッツ
フォイクト
巡洋艦 ファウフリッツ
駆逐艦 GA64 KA8
中破・小破
戦艦 バウハウス
ミーアラント
巡洋艦 ルードルスケム
駆逐艦 KA4 KA5 GA65 VG36 VG37
無傷
駆逐艦 VG33 VG34 GA56 GA66
FJ11 FJ12
取り逃がした艦艇
空母 ヨーロレイル
ヨルムンガンド
ヨリシーダ
アルスケム
アリアドネ
アドラスティーム
アルナヘイム
アケリウス
アイギスラント
駆逐艦 VG9 VG11 VG12
駆逐艦は退避する空母を護衛。
次回更新 5月10日 05:00 予定




