表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
204/245

準備中

大きな行動の後で一時的に静かになっている時間です。

双方とも戦力の蓄積を図っています。

作者も文字数の貯め込みを。

 日本とディッツ帝国は今後の戦争遂行について協議を重ねた。

 ディッツ帝国はようやくととのってきた戦時態勢で、陸上兵力に余裕が出来た。航空戦力は余裕が無いが、日本からの支援込みで大陸から奴等をたたき出せる。と見込んでいる。

 日本は日本で、奴等は物資を輸送に頼るのだから、補給路を遮断してしまえば立ち枯れる。焦る必要は無いと。

 だがディッツ帝国には「日本の優勢な海上戦力で奴等を降伏させても、我が国が勝ったと言えるのか?」という声がある。そして国の将来を考えると無視できない声だった。「自国国土の中の問題を他国に頼りすぎるのは情けない」という声も有る。

 ようやく上手く回り出しているのだ。ここで不満を溜めさせることは避けるべきとも。陸戦で勝たなくては。そして降伏させる。

 それだと、ディッツ帝国民の血が多く流れないか。

 当然の声だ。

 悩んだ末に出した答えが


 損害は覚悟の上で、堂々と敵を打ち破る


 と言うものだった。

 日本としては、覚悟が決まったのだなと思う。我が海軍の負担が減って好ましいとも。






「敵はこのままじり貧になります。焦る必要も無いでしょう」

「しかし、あまり時間が掛かるのもどうかと」

「そうだな。時間が掛かれば、戦力の蓄積をされ手痛い反撃に遭うだろう」

「では、攻めますか」

「こちらもな。フェザーン油田奪還までに使った物資の蓄積や、消耗した部隊の整備に時間を取られる」

「どうするのですか」

「ちまちまやって敵に戦力を溜める時間を作らせないことだろう」

「航空優勢を使ってジワジワとですか」

「それが出来ればいいが、日本は部隊を後退させるようだぞ」

「そうなると、数も性能も同等ですね」

「日本は消耗戦に付き合う気は無さそうだった」

「どういう戦いを好んでいるのでしょう」

「[肉を切らせて命を絶つ]だそうだ」

「野蛮ですね」

「そうかな。言っていることはもっともだと思うぞ」

「何故ですか」

「一気に片が付けば、それ程いいことはないからな」

「それにしてはずいぶん防御重視ですが。船も航空機も戦車も。医療体制も整っています」

「損害が出るのは当然だが、最低限にする。のだろう」

「当然ですが、出来るかと言われると。技術力が必要になります」

「彼らも昔は防弾なんて無かった機体とペラペラの戦車だったというよ」

「我々も追い付けたようですね」

「エンジンの馬力が必要なので、大馬力エンジンがようやく出てきたからこその実現だ」

「彼らは、戦争をどう進める気なのでしょう」

「損害を恐れずに一気にと言うことだろう」

「それならわかりますが、決戦思考ですか」

「聞いたら「一の太刀が躱されても二の太刀で、それでもダメなら三の太刀、四の太刀を」と言っていたよ」

「それってボロボロになってもやると言うことですね」

「そうだろうな」

「野蛮ですね」







「第一統合航空軍は、名前を残して中身の部隊は交替する」

「今のままではいけませんか」


 加藤中将と小園少将と野中大佐が話し合っている。


「本国からの指示だ。十分戦訓を積めたし、新型機のダメ出しも上手く行っている。頃合いだろう」

「では、近いうちに交替の部隊が?」

「来る」

「残りたいものですが」

「自分も帰るよ」

「司令長官も交代ですか」

「実戦を積ませたいのはどこも同じだから、入れ替わりになるだろう。指揮官や参謀の一部は、繋ぎの間残る。君たちもだ」

「その間飛べませんか」

「机の前で空でも見てるんだな」

「はぁ~」

「来る部隊はわかりますか」

「特徴は無いな」

「特徴ですか」

「腕自慢の部隊では無いということだ」

「実験部隊や戦技部隊はどうしても腕自慢が集められますから」

「本土からやって来た参謀に聞くと、細かく頻繁に入れ替えて練度を落とすことなく実戦馴れさせると、都合のいいことを言っていた」

「絵に描いた餅ですな」

「全くです。それで、来る部隊に配備されるのは新型機ですか」

「そのようだ。本土では増産に励んでいるらしい。我々がダメ出しを行ったしな。それと、機体は持って帰る。どのような消耗をしたか確認する必要があるということだ。連山は自力だな」

「自力ですね。では飛んで帰りますか」

「何を言うか。野中大佐は居残りだ。繋ぎがあるからな」

「では自分用に残して「全機持って帰るぞ」‥」

「全部ですか」

「もちろん」


 小園少将が野中大佐の肩を叩いた。



 後日、日本からやって来たのは海軍航空隊2個、陸軍航空隊5個、空軍2個爆撃隊、だった。

 構成は海軍航空隊が戦闘機と艦攻の混成飛行隊2個。

 1個飛行隊が烈風36機と流星16機で編制されていた。

 陸軍は、戦闘機3個、偵察爆撃の混成2個。

 戦闘機は疾風48機装備が2個、飛燕三型48機装備が1個。流星襲撃機型24機と一〇〇式司令部偵察機8機に加え、試験中のキ-83春雷を8機装備の混成1個。

 空軍が連山装備の2個爆撃隊だった。連山は1個爆撃隊20機が通常。1個は排気タービン装備12機でさらに8機が偵察用特装で配備された。排気タービン装備機の内2機は空中指揮機に改造されている。実際に爆撃機として使えるのは、通常型20機と、排気タービン装備機が10機だ。

 編成は新しい戦場でどのような編成と運用が効率的なのか模索中だ。同時に、頻繁に入れ替わることによる戦力低下を抑えたいという狙いもあった。

 一式陸攻は爆撃方法が低空を高速で突っ込んでと言う運用に損害が増えており、一時前線から引き揚げることになった。

 搭載量で流星が2トン積めるので、流星に代替わりできればするのだろう。


 キ-83春雷は三菱で開発された機体で、試験では通常燃料で750km/hを発揮している。日本最高速の機体だ。戦闘機としての任務が主体で、補助的任務として偵察能力を持たされた。

 一〇〇式司令部偵察機も誉装備で730km/を出しており、キ-83の偵察能力はあまり期待されていない。あくまでも試験だった。

 ディッツ帝国に派遣されたのは量産試作機で、戦場でダメ出しを行うのが目的だった。

 この機体が完成するまでは、プロペラ機の限界速度は750km/hとされていた。それが、高濃度魔石添加燃料を使ったところ、780km/hを発揮。ひょっとしたらプロペラ機の限界速度は音速なのかも知れないという声が出てきた。 




補給や輸送の行程を軽視してボロ負けになった国がここに有りますが、せめて作中では上手く行って欲しい。


サブタイトルだと準備中は「しばらくお待ちください」に見えるかも知れません。

申し訳ありません・・・で始まりそうでしたが。

徐々に投稿予約部分が減ってきています。

本当に準備中にならないよう頑張らねば。


次話より勇者登場。

12月20日の段階で12月28日更新分までは予約してあります。

年内は毎日更新できるでしょう。

新年は、何日か更新をお休みします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ