ディッツ帝国 反攻 航空撃滅戦
ガミチス帝国が反攻作戦開始の兆候を得ていたとは思えなかった。ガミチス帝国の偵察機は8割の確率で撃墜または戦線後方まで達すること無く引き返していったから。
残りの2割でどれだけ偵察が出来たかは分からない。
ただ、戦線では通常の戦闘の他、威力偵察を繰り返していたから、規模はともかく気がついていたかも知れない。
先陣はディッツ帝国空軍第三航空師団所属第一、第二戦闘集団の戦闘機140機に護衛された、ディッツ帝国第五航空師団第三、第四爆撃集団の爆撃機60機だった。
更に時差で同規模の集団が3個、ガミチス帝国前線飛行場の一つめがけて殺到していた。
とにかく飛行場を使えなくする。最初の一手だった。
日本軍もこの作戦に参加し、枝作戦である前線飛行場攻撃を受け持った。
ディッツ空軍はガミチス前線飛行場群の4番飛行場を集中攻撃。日本航空部隊は途中まで針路を同じとして進路変更。戦闘機と単発戦術機がいる5番飛行場を攻撃する手筈だった。
連携が取れるような合同訓練を行っていないので、同一目標を時差があるとは言え攻撃するのは不測の事態を招く可能性が有り、日本は単独で攻撃出来る目標が充てられたのだった。
百式司令部偵察機五型と百式司令部偵察機四型、四型改を使った偵察では、4番飛行場は一番規模が大きく戦線にも近いため早急な対策が必要と見られた。5も同様であるが規模が小さく日本軍単独で攻撃可能と思われた。
ディッツ空軍機は開戦時よりもかなり変わっていた。主力戦闘機シュニッツァー4はシュニッツァー4v3となり、最高速度は30キロほど上がっている。
シュニッツァー4各型は主力戦闘機の座を降り、補助戦闘機となっていた。
現在の主力戦闘機は、なんとオスカー2v4だった。オスカー2v4は飛燕に自国製ファイアフォックス、FFⅥ型液冷倒立V型12気筒エンジンを積んだもので、エンジンは96オクタン燃料で1400馬力を発生しているエンジンだった。それにより最高速度620キロと1400キロの航続距離を得ていた。武装は自国製AG142を6丁搭載していた。機首2丁、主翼4丁である。
ガミチス主力戦闘機Os109F4と互角に戦える戦闘機だった。
さすがに自国製戦闘機を主力にしたいので鋭意新型を開発中である。
鍾馗をベースにしたオスカー3はエンジンをガラハド社製G1803空冷星形18気筒、離床出力1800馬力に換装。若干小さい直径で空気抵抗も改善され、こちらは最高速度640キロとほどほどの性能になっていた。重量増と空気抵抗の減少が相殺された形だ。上昇力は原型機より落ちたがディッツ空軍機中最高だった。武装はAG142を6丁、オスカー2と同じ形で搭載。欠点は航続距離が100キロ以下な事だが迎撃専門とすれば問題なかった。
ダイブ&ズームに徹すればガミチス空軍機には勝てる機体が無かった。
おそらくガミチスでは一番厄介な迎撃機として認識されていることだろう。
ディッツ空軍第一陣はオスカー2に守られた、クライスB3爆撃機60機だった。クライスB3爆撃機は日本の一式陸攻に衝撃を受けたガミチス空軍が高速中型爆撃機を要求した結果生まれた。
クライスB3はエンジンにG1803を双発とし、高翼配置の意欲的な機体だった。最高速度500キロ、爆弾搭載量2トン、航続距離2700キロ、AG142連装動力銃塔1基、AG142単装3基、乗員6名と言う一式陸攻にも劣らない高性能機が出来上がった。
さてガミチスの奴らはどうやって迎撃するのだろう。
「全機、空中指揮のケスラー中佐。迎撃に来るのはいつものOs109とTe192とOs210と思われるが、慣れているからと言って油断するな。必ず後方に注意せよ。先日、新型と思われる双発機が確認されている。爆撃機か戦闘機かはまだ当たっていないから分からない。直衛隊は戦闘機のケツを追いかけるのでは無く爆撃機を守れ。忘れるな。現時点から突入を開始する。健闘を祈る」
『『『了解!!!』』』
しかし狭いな。彩雲の偵察員席でケスラー中佐は思う。彩雲はディッツ空軍に三座高速偵察機が無いため、日本海軍に頼み込んで借りた機体だ。戦線で8機しか無い。
レーダーが付いているのはいいが、狭い。速度優先でこうなったと言うが、狭い。決して自分が太いせいでは無いと思いたい。
飛行場攻撃隊は15分おきに今の第1陣200機、第2陣200機、第3陣150機。日本軍が第3陣と同時刻に180機で5番飛行場へ。
この時間は、ガミチス戦闘機の推定滞空可能時間から考え出された。第1陣と第2陣を迎撃すれ燃料弾薬が尽きると。周辺飛行場からも迎撃機は来るだろうが同じ事だと考えられた。
第1陣はファイタースイープにしようと言う意見も合ったが、飛行場に被害を与える事に意味が有るとして最新鋭機のクライスB3爆撃機が投入された。第2陣も同様だった。ただクライスB3爆撃機が第1陣と第2陣の分しかまだ無く、第3陣は日本から購入した四式爆撃機60機と護衛のオスカー2だった。




