南大陸攻防戦 日本参戦
日本はどう参戦するかどうか議論が分かれていた。
ディッツ帝国からの参戦要請は受理した。どうするかが議論されている。
全面的に参戦するのか、支援に止まるかの違いなのだが。
全面的に参戦するならば今の兵力では不足である。大幅な志願者増は望めない。ならば大照以来2回目の徴兵制が敷かれることになる。
世論調査では概ね理解は得られているが、肝心の徴兵年齢に限っては余りはかばかしくなかった。当然と言えば当然なのだが、実際に徴兵してどういう反響があるかは未知数だった。
既に一部で戦争景気が始まっていて、引退したじいさん連中を引っ張り出しているところも有る。
ここである事件が起きた。
カニ事件である。
ギルガメス王国連邦沖大規模海洋性混沌領域で戦争に備えてシロッキとボラールを乱獲していた捕漁船と捕漁母船に沈没被害が出て、信濃が解決に向かうがド・ウマンに沈められそうになったのである。
既に相当数の魔石とウロコ他は確保しており、捕漁ペースは落とされた。またあんなのが出られてはたまらない。
信濃は復帰まで2年近く掛かる見通しだ。
大型艦ドックが1個埋まることになった。使用可能ドックが減ると大型艦の損傷復旧に時間が掛かることになる。
宣戦布告後にディッツ帝国からの連絡でガミチスが「日本も植民地か奴隷か選べ」と言っていると。
これを公表した途端、軍人募集所には列が出来た。
世論も圧倒的にガミチス帝国を降伏させろと言う声が大きい。
政権は全面戦争を決断した。
大照以来の徴兵制復活であった。
陸軍が弱い(装備では無く、人員が少ない)ので、大幅な増員を決定をする。
2年後に40万人、4年後に正面50万人・後方予備30万人となるよう計画が立てられた。
教員の員数からこれ以上の急拡大は前線部隊も教育部隊も質の低下を招きかねなかった。
人数的にも、国内産業維持にはこれ以上の徴兵は難しいと思われる。
設備は間に合わないので突貫工事で駐屯地を整備する事になる。幸い、土地はいくらでも有ると言って良かった。
航空機も増産指示を出す。ディッツ帝国からの情報だと現行機で充分対抗可能であると思えた。初期故障や意図しない不良に悩まされる新型機を態々使うことも無いと思われた。
零戦と九七艦攻・九九艦爆は増産を始めていたが、他の機体も増産に入った。航空機各社は軽輸送車の生産を終了。機体生産に取りかかる。軽輸送車は需要が見込まれる商品であったため、日本中に製造会社が乱立する。コレも求人不足に拍車を掛ける。
戦車も建設車両の生産を中止。戦車一本になる。90ミリ砲を積んだ新型戦車は足回りの完成が遠く、一式中戦車が主力だ。
海軍は大型艦艇の整備が現在建造中の艦艇で一段落するので、軽巡洋艦以下の中小艦艇の建造が主になる。空母は特例として増産が決定。時間が掛かり価格も高い改翔鶴級では無く転移前の構想と同じで雲龍級の建造が始まる。
越百級重巡は12隻全艦が就役している。この世界に合わせた重巡を作るかどうか検討中であったが、必要なら今のままの仕様で建造するとなった。
軽巡洋艦は阿賀野級軽巡と新規設計の防空巡洋艦となる。
駆逐艦は松級が主体となる。夕雲級は少ないだろう。
秋月級直衛艦は空母の数だけ作られることになった。
駆潜艇などの増産も決定された。
対海洋性混沌獣などと言っていられなくなった。混沌領域を避けて戦争をするだけだ。
潜水艦も危険だが外地に出て貰うこととなった。新規建造は長距離偵察能力の高い2000トン前後のイ号潜が8割方を占める。
タンカーや輸送艦も統一規格で量産が決定された。
艦載機も大幅な増産が決定された。
日本もディッツ帝国の産品が入らなくなると困るのだった。主に綿が。
国内で栽培面積を増やしているがディッツ帝国産の綿製品が97%を占める現状では困ることこの上ない。
他にも亜鉛やマンガン・モリブデンなど輸入量が50%を超え困る物があった。
石油は樺太と南アタリナ島で輸出できるほど出る。鉄は宮城県と岩手県に有力な鉱山があった。千島列島にも見つかっている。石炭は転移前でも輸出可能な量が九州と北海道にある。金・銀・銅は何故だろうか旧鉱山が復活していた。
ボーキサイトは台湾と沖縄に大規模な鉱床が発見された。ただ採掘が始まったばかりであり、神倉庫の在庫を使わざるをえない。
多分、国内や赤道多島海の探鉱をしっかりやれば他にもある程度は見つかるのだろうが、必要量があるかどうかは確証が無い。それに転移後、探鉱はしているがしきれるものでは無い。大抵の資源は有るが量が少ないのが転移前の日本だ。神様がどれだけ増やしてくれたのかも判らない。
国内資源の現状もあり、ディッツ帝国は大切な取引先だった。
政府と軍の見立てでは
ガミチスは満を持しての行動開始であろうから、初期戦力は豊富なはず。なぜディッツ帝国であれだけの進軍速度と戦力しか無いのか不明。
可能性として、他にも戦線を持っていることが挙げられた。他の意見として「もしかしたら小さい国なのかも知れない。アレが全戦力という可能性も」と言う意見は、ディッツ帝国からガミチスの人口は1億5000万人と教えられているので無視された。こいつはなにを聞いていたのだろう。300万人は動員可能なはずだ。後方要員として、女性の採用も考えれば、無理をすれば500万人に届くかも知れない。
現状の戦線は舐めているのか、他の戦線を持っているのか、兵站能力が低いのかは判らなかった。
そんな状況の中、ガミチスに一撃を入れることが出来るのは、万が一に備えて赤道多島海に派遣していた第一機動艦隊だった。
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日本海軍艦艇 開戦時点 大型艦のみ
戦艦
大和級 大和 武蔵 甲斐
改大和級 信濃
磐城級 磐城 淡路
長門級 長門 陸奥
金剛・霧島・伊勢・日向は練習艦扱い。
重巡洋艦
越百級 越百 八海 剱 久能 道後 石鎚
十二隻 吾妻 飯野 恵那 雲取 穂高 丹沢
利根級 利根 筑摩
愛宕・摩耶は練習艦扱い。他は廃艦。
軽巡洋艦
最上級 最上 熊野 三隈 鈴谷
改最上級 十勝 釧路 矢部 嘉瀬
阿賀野級 阿賀野 能代 矢矧 酒匂 夕張 石狩 大淀
二十五隻 仁淀 四万十 九頭竜 黒部 川内 球磨
吉野 那珂 芦田 日野 由良 加古
青葉 衣笠 古鷹 鬼怒 大井 北上
米代
鹿島級 鹿島 香取 香椎
神通と阿武隈は練習巡洋艦
五千五百トン級は
練習艦となった神通と阿武隈を除き全て廃艦となった。
空母
海龍級 海龍
翔鶴級 翔鶴 瑞鶴 凍鶴 黒鶴
改翔鶴級 仙鶴 慧鶴 夕鶴 真鶴 西鶴 野鶴
海鳳級 海鳳 天鳳 仙鳳
火龍級 火龍 雷龍
瑞鳳級 瑞鳳 翔鳳
6隻在ったが4隻はディッツ帝国へ売却
赤城・加賀は練習空母
直衛艦
秋月級 秋月 夏月 冬月 春月 三日月 凉月
影月 初月 新月 若月 霜月 照月
宵月 満月 花月 清月 大月 葉月
山月 浦月 睦月 如月 卯月 水無月
文月 長月 菊月 望月 夕月 皐月
磐城級は三番艦三河、四番艦岩代が工事中
磐城・淡路は訓練未了で慣熟訓練中
海鳳級空母は飛行甲板の7割に装甲をしたため重くなり、
搭載機数の減少を招いている。
海龍と違い転移時かなり工事が進んでいたため
ドックを開ける意味で工事が進められていた。
大きさの割に搭載機数が少なく、平時では使いにくく邪魔者扱い。
名前が聞き取りにくく、同一戦隊に組まれることは少ない。
海鳳
3万3000トン
33ノット
搭載機数55機 補用機6機
長10センチ連装高角砲 6基12門
一式33ミリ機銃連装6基
一式33ミリ機銃4連装4基
雲龍級空母は全て移住者護衛艦隊に売却




