南大陸攻防戦 空母機動部隊
その頃、北部海上ではガミチス海軍空母部隊が活動を開始していた。
北部要地エルメへの部族連合からの侵攻と合わせ、エルメまたはヘパストイ島への攻撃を行うとなっていた。一応、本物の攻略部隊を出撃させていて上手くいくようならヘパストイ島攻略をしてしまう算段だった。東部戦線司令部では、維持困難として占領はしても一時的にするよう、欲を出した海軍に指示してある。
ガミチス海軍空母部隊は部族連合に合わせてエルメへの空襲を考えていた。部族連合へ航空攻撃を始めた時が攻撃開始だった。部族連合など囮程度にしか考えていない。
そのためには出来る限りエルメにこっそりと近づく必要がある。しかしそれは都合のいい考え方だった。
潜水艦による通商破壊戦をされているため哨戒機が飛び交っているのだ。その海域にこっそりと忍び込めるはずも無かった。
敵空母部隊接近中の報にディッツ帝国軍首脳部は慌てた。急ぎ対策を練るがクルツブルクと硝石鉱山防衛のための航空戦力は動かせない。まだ生産機数とパイロットの育成が追いついていない現状では、使えるのは虎の子の機動部隊だった。
ディッツ帝国海軍第一機動艦隊は迎撃に向かう。
と言っても主力である空母は瑞鳳級4隻。搭載機数120機だ。予備部品扱いの補用機を組み立てても12機増えるだけ。今回は甲板繋止でオスカー1を各艦6機積んでいる。それでも150機強にしかならない。
エルメ方面守備隊の航空戦力は戦闘機150機、単発爆撃機80機、双発爆撃機50機、四発爆撃機20機他だった。
この内、ガミチスとまともに戦闘になりそうなのは戦闘機シュニッツァー4が90機だけで、残りの機体は爆撃機の最高速度が350キロと400キロに届かない転移前の機体だった。戦闘機の残りも最高速度450キロという固定脚の機体で武装も8ミリ機銃2丁だった。
それでも哨戒飛行には使えるので対潜哨戒機としては役に立っている。
ガミチス艦隊の構成が判ったのは哨戒機数機の損害と引き換えだった。
ガミチス艦隊は、発見されたことが判ると電波管制を止めレーダーを作動させている。
この時の艦隊はガミチスが大型正規空母6隻、戦艦6隻、大型巡洋艦4隻、巡洋艦4隻、駆逐艦17隻という大艦隊で有った。
対するディッツ帝国海軍の艦隊は小型空母4隻、戦艦4隻、大型巡洋艦3隻、巡洋艦4隻、駆逐艦14隻で、まともにぶつかれば擂り潰されて終わりなのは明らかだった。
ガミチス艦隊後方には護衛艦隊を伴った大規模な輸送船団も見つかっていて、ヘパストイ島攻略を思わせた。
ここに至って遂にディッツ帝国政府は、日本に対して参戦要請を出す。世代交代中の海軍・空軍・陸軍ではとても勝てる見込みは無く、ヘパストイ島を取られれば有力な鉄鉱山だけでは無く本国への爆撃と東海岸への潜水艦攻撃も容易になると見られている。
もう自力での反攻は難しくなってきた。
最近、中継艦を数隻使って日本とディッツ帝国の通信を確保しているので、以前のように艦艇と大艇を乗り継いでと言う事は少なくなっている。
日本は参戦を決定。ただし全面参戦かディッツ帝国防衛の範囲までなのかは、まだ迷っている。全面参戦ならガミチスが降伏するまでだが損害も大きいだろう。防衛ならそこまでの損害は無いはずだった。
取り敢えず艦隊を派遣するとした。
日本は赤道多島海に進出させていた機動部隊を直ちに向かわせた。
翔鶴級三隻と海龍を中心とした機動部隊だった。
後の調査で判ったこの時のガミチス対ディッツである。
ガミチス海軍 ディッツ帝国海軍
アドラス級正規空母6隻 シュライヤー級空母4隻
アドラス シュライヤー
アルスケム カールケルム
アリアドネ ハンダイクス
アケリウス ベルケルヘム
アドラスティーム 排水量1万3000トン30ノット
アンゼナイツ 搭載機数30機
排水量2万4000トン32ノット 八九式連装高角砲改二 連装2基
搭載機数78機 一式33ミリ機銃 4連装2基
一式33ミリ機銃 連装4基
11センチ対空砲連装4基 AG144 単装8基
MG37 連装6基 旧日本海軍瑞鳳級空母
MG18 4連装6基 高射装置と高角砲、33ミリ機銃
ガミチスの誇る最新鋭空母 はそのまま
クナップシュタイン級戦艦 シュトラウス級戦艦
クナップシュタイン シュトラウス
ウィルヘルム三世 ベートーヴェン
ウォーランス二世 カラヤン
排水量3万6000トン 23ノット マゼール
40センチ砲連装4基8門 3万2000トン 28ノット
20センチ砲連装4基8門 34センチ砲連装4基8門
11センチ対空砲単装4基 12センチ両用砲連装6基
MG37 連装4基 AG38 連装6基
MG18 連装4基 AG144 連装8基
MG18 単装8基 AG144 単装8基
航空機2機 航空機2機
やや古いが主力戦艦 主力戦艦
対空砲火は弱い。今回の出撃前に 航空機とカタパルトは日本製
慌てて対空機関砲の数を増やした
ウルリッヒ級高速戦艦 オスマルク級大型巡洋艦
ウルリッヒ オスマルク
アームストロング ゲイツ
シューマッハー メルヒェ
排水量3万3000トン29ノット 排水量1万3000トン30ノット
37センチ砲連装4基8門 22センチ砲連装4基8門
11センチ対空砲連装4基8門 12センチ両用砲連装6基
MG37 連装4基 AG38 連装4基
MG18 4連装4基 AG144 連装8基
MG18 単装6基 AG144 単装8基
航空機2機 53センチ魚雷発射管3連装2基
比較的新しい高速戦艦 航空機2機
主力大型巡洋艦
サラディン級大型巡洋艦
サラディン アリアブルク級巡洋艦
カルスケム アリアブルク
ヨートルマッシュ カスターブルク
ハンカルム ヒカテリンブルク
排水量1万4000トン 32ノット カールスルーベ
20センチ砲連装4基8門 8500トン 32ノット
11センチ対空砲連装4基8門 15センチ砲連装4基8門
MG37 連装4基 八九式連装高角砲改二連装4基
MG18 4連装4基 AG38 連装4基
MG18 単装6基 AG144 連装4基
航空機一機 AG144 単装六基
比較的新しい大型巡洋艦 53センチ魚雷発射管4連装2基
航空機1機
カイエスブルク級巡洋艦
カイエスブルク
グラハルトブルク
ヒロイスティクス
ウォスターラント
排水量7500トン 33ノット
14センチ砲連装4基8門
11センチ対空砲単装4基
MG37 連装2基
MG18 連装4基
MG18 単装8基
53センチ魚雷発射管連装4基
G級駆逐艦 J型駆逐艦
G5 J-6
G6 J-7
G7 J-8
G8 1200トン 33ノット
G9 10センチ単装砲4基
G10 AG144 連装4基
排水量1500トン 34ノット AG144 単装6基
14センチ砲単装3門 53センチ魚雷発射管3連装2基
MG37 連装2基 近海用小型駆逐艦
MG18 連装2基
MG18 単装6基 K型駆逐艦
53センチ魚雷発射管3連装2基 K-2
やや古い駆逐艦 K-3
K-4
GA級駆逐艦 1500トン 33ノット
GA1 12センチ単装砲4基
GA2 AG38 連装2基
GA3 AG144 単装6基
GA4 53センチ魚雷発射管4連装2基
GA5
GA6 L級駆逐艦
GA7 L-6
GA8 L-7
GA9 L-8
GA10 L-9
GA11 L-10
GA12 L-12
排水量2000トン 34ノット L-13
11センチ対空砲単装4門 L-14
MG37 連装2基 L-15
MG18 連装2基 1800トン 33ノット
MG18 単装6基 八十九式連装高角砲改二 連装2基
53センチ魚雷発射管4連装2基 AG38 連装4基
新鋭駆逐艦 AG144 連装4基
AG144 単装6基
53センチ魚雷発射管4連装2基
新鋭駆逐艦
ディッツ帝国海軍は日本機動部隊来援まで時間稼ぎをしたいが相手がどう出るか判らない。
あと二日有れば間に合うのだが。
アドラス級空母はガミチス最新鋭空母で10隻中6隻をこの戦場に投入した。飛行甲板装甲無し。カタパルト無し。レーダーは最新型を装備している。11センチ対空砲他充実した対空兵装を備える。
クナップシュタイン級戦艦は6隻中3隻を投入。速力の不足で艦隊について行けそうにない。おそらく分離して輸送船団と合流するものと思われる。この時点では有力な戦艦部隊出現に備えて加えられた。
ウルリッヒ級は29ノット発揮可能な高速戦艦。その対空火力はアドラス級空母を守るために有効と思われる。
サラディン級大型巡洋艦は量産されていて性能も安定している使いやすい艦。
カイエスブルク級巡洋艦は小型で使いやすさを目指して作られた。量産中。
G級駆逐艦は1500トンに14センチ単装砲を艦橋前に背負い式で搭載したため酷いトップヘビーである。魚雷発射管3連装2基は最初4連装3基であったものの、余りのトップヘビーに3連装2基とされた。それでも14センチ砲のせいでトップヘビーが酷い。出撃にあたり機関砲を増設して更に悪化した。
GA級駆逐艦は対空砲を初めて搭載した駆逐艦で攻防にバランスが良い。
瑞鳳級4隻は高射装置、高角砲、33ミリ機銃は電探込みでそのまま引き渡された。
シュトラウス級戦艦は主力戦艦で日本との接触前の設計で航洋性は余り良く無い。
オスマルク級大型巡洋艦はシュトラウス級戦艦と同じで航洋性は良く無い。
アリアブルク級巡洋艦は転移後、阿賀野級軽巡を見たショックで設計された。外洋でも航洋性はかなり良い。高角砲は自前の12センチ両用砲の発射速度が遅いため日本からライセンスした。
J型駆逐艦は古参の小型駆逐艦。方は平射砲で対空射撃は出来ない。転移前の設計であり航洋性は悪い。
K級駆逐艦はJ級駆逐艦を大きくした艦。転移前の設計であり航洋性は悪い。
L級駆逐艦は陽炎級駆逐艦を見たショックで設計された。外洋でも航洋性はかなり良い。主砲は八十九式連装高角砲を採用した。




