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好意と都合の待遇差

いつも誤字報告ありがとうございます。

 達川はまず、日本がランエールに来た経緯から解説を始めた。


 日本が存在する惑星地球が破壊された事。

 神々の好意でランエールにやって来た事。

 その際、様々な援助を受けた事。

 現地住民との接触や先行する転移国家との接触も紛争になることなく、無事に交流が出来ている事。

 神々の好意に応えるべく、この世界に敵対しない事。

 交流出来る存在を探している事。

 交流出来る存在を探しているが、様々な都合からランエールの探査は進んでいない事。


 簡単な説明をしたのだが、食いつきが半端ではなかった。

 一通りの慰めや励ましが終わってからが本番だった。


「その神々の好意というのは」

「こうやって生きていくことの出来る星に転移させてくれたことです」


「神々の援助とは」

「資源が沢山と、怪我や病気がかなり良くなりました」


「資源が沢山とは」

「本来少量しかない資源も、自給可能なだけ存在するようです」

「ようです?」

「まだ調査が終わっていません」


 ここらは前座だろう。


「現地住民とは」

「文字通りの意味で先住の方々です」

「先行する転移国家とは」

「我が国より2年程度前に転移してきた国です」

「どのような国なのか、是非教えていただきたい」

「その件に関しましては、別件で対処させていただければ」

「後日と言うことですか」

「そうなります」

「では、帰国前にお願いしたいものです」

「善処します」


「この世界に敵対しないとは?」

「軍事力や経済力を持って、この世界を圧倒しないことです」

「何故ですか。優れた技術や国力があるならば、目指しませんか」

「元の世界では、お互いの縄張り争いで大戦争直前であった事もありまして「軍事力や経済力でこのランエールに覇を唱えるとこは、神の好意を無碍むげにすることではないか」という考えからです」

「大戦争ですか。経験が有るとか言わないでしょうね」


「達川君、代わろう」

「ありがとうございます」


 大野少将が、代わってくれた。有り難い。山田少将も居る。


「大戦争ですが、経験しました。そして軍備もそれなりに揃えています」

「どの位の大戦争ですか。戦死者100万人越えとかのですか」

「我が国が直接対峙した戦争ですと、両国で20万人」

「20万人ですか。大国同士なら少ないですな」

「局地戦から一気に首都陥落でしたから」

「日本は負けたのですか」

「いえ、幸にも勝った方です」

「それは良い事でしたな」

「ありがとうございます。そしてもう一回有りました。今度は同盟国が戦争になりましたので、要請と条約に従っての参戦です」

「大変ですな」

「大変でした。戦争地域は狭かったのですが、新兵器と新戦術で犠牲者は膨大な人数でした」

「膨大‥ですか」

「戦死者約1000万人。行方不明700万人。戦傷者2000万人」

「1000まん・・」

「我が国の血も8万人程流れました。傷を負った者は10万人程。行方不明者も2万人近く出ました」

「それは、なんと言っていいか」

「過去のことです。事実が有ったことは受け止めています」

「いつ頃有ったのでしょうか」

「40年程前です」

「では、まだ存命の経験者がおられると」

「さすがに軍人ではおりません。が、悲惨さを伝えるには十分です」

「ありがとうございました」


「では、改めてですが。交流出来る存在を探しているとは?」

「再び達川君に説明させます」

「達川です。元の世界では、仲が良い悪いはともかく多くの国や民族が存在していました。それが、いきなり居なくなってしまったのです」

「大変でしたな。我々もそうですが」

「お互い頑張りたいですね。それで、孤高を気取る気は無いのです」

「ですが、科学技術では劣っているでしょう」

「ご存じですか」

「この後で我々の現状もお話しします」

「お願いします」


「さて、ここでファイウォール公国の皆様と交流を持つことが出来ました。しかし、日本がランエールで行った場所はランエール全体の1割も有りません」

「1割はなかなかですな。この広い惑星では」

「ありがとうございます」

「もっと、手を広げる意思はお有りなのか」

「本国上層部には有りません」

「それで、この地を海峡部分だけ確保して他はいらないと」

「この探査隊が出発する時にも、言われております。この地は見るだけで良い。交流出来る人々がいれば、交流してきて欲しいと」

「海峡部は」

「さすがに重要だと思いますので確保しました」

「海峡の向こうに日本が有ると」

「日本が領有権を主張する地が有ります」

「そういう事なら理解出来ます」

「日本がこの世界を見て回れないのは、現実問題として広すぎるのです」

「確かに実感しますな」

「本当に」


「では、ファイウォール公国の現状についてお話ししましょう。外務官のスチューダー君からが良いでしょう」


 え?私ですか。君だよ。


「ただ今ご紹介にあずかりました、ファイウォール公国外務官スチューダーです。それでは概要をお話しします」


「ファイウォール公国がこの星ランエールに突如として転移したのは、この星の周期で5年前です」

「転移した理由をお聞かせ願いたいのですが」

「いいですか。司令長官」

「かまわない」

「では。ファイウォール公国が居た世界では、絶対神を信仰する地域と多神教の地域での諍いが続いていました」

「有りますね」

「はい。それで、遂に我が国だけが多神教最後の砦になってしまった訳です」

「つらいですね」

「ありがとうございます。そして最後通牒が絶対神からなされました」

「神からですか」

「そうです。「我だけを信じれば良し。他の神など信じる者はこの世界にいらぬ」と」

「まさか、追い出されたのですか」

「よく分かりましたね」


 ((((((ディッツ帝国みたいなものか)))))


「そして、ランエールにやって来ました。国土は従来と変わりませんが、西側が国境線で大陸と切り離されました」


挿絵(By みてみん)

 東インド大陸最南端にはガミチスが基地を築いた。だが、今は知らない。



「国土は大丈夫なのですか。気候の急変とか」

「ご心配いただきありがとうございます。幸にも、何故かなだらかにされて水源地も多数現れました。生活の上で支障は有りません」

「良かったですね」


「続けます。我々も当然ですが、周辺捜索を行いました。そして、我が国西側の多島海を抜けたところに国家が有りました。ガンディス帝国とラプレオス公国です」

「お持ちください。両国は知っております。我が国では、両国からの要求が激しく相手にするのを止めました」

「ほう。それは奇遇ですな。我が国も相手にしておりません」

「やはり要求が激しいのですか」

「激しいとは優しいですねな。あれは図々しいし無礼すぎます」

「技術をよこせですか」

「そうです。お話にもなりませんでした」

「では国交は」

「開いておりません。現地に事務所さえも有りません。人員も置いていません。あのような国では人質にされかねませんので」


 日本側は、ここでファイウォール公国がギルガメス王国連邦の遙か東にあるはずの国で目的地だったと気が付いた。一周したのだ。マゼランになった。直線でも一周6万キロくらい有りそうだ。


「では、貴国は未だ国交を持った国は無いと」

「ええ、そうですね。我が国を属国扱いしてくるような国はありますが」

「属国扱いですか。ガンディス帝国とラプレオス公国がですか」

「いえ。違います」

「お聞かせ願えないでしょうか。我が国も警戒しなければいけないかと考えます」

「そうですね。それについては、軍の方が良いでしょう。替わります」

「はい。お願いします」



 その話は遂に来たかという感じで聞いた。侵略性の高い、それでいて同じ程度の科学力を持つ国家。想定はしていた。ディッツ帝国と接触したときもそうだった。

 現実になると大問題だ。接触と同時に支配下には入れなどと言う要求をする国では、話にもならない。

 至急、日本に知らせなければ。


 4ヶ月後の再会を約束して、日本に帰投する。出港したときは、こんな事態になるなど考えもしなかった。


 海峡から少し内側北の泊地に日本の権利を主張するための部隊を残し、帰りの航路に就いた。

 残されたのは、海軍陸戦隊と軽巡洋艦1隻と1個駆逐隊。支援の補給艦2隻とタンカー1隻だった。防疫部隊と医師も残ることとなった。

 彼らは、海峡に日本の国旗と監視哨を設置し管理する事が主任務だった。現地の生態調査も当然である。

 責任者として、山田少将が残った。





神の好意というか頑張りすぎた結果の日本と、神の都合で転移したファイウォール公国との差。

物語ですので、ご都合主義で進んでいきます。

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