KD航路 赤道多島海 西側半分概要
南遣艦隊が発見した赤道に在る多島海では、有益な物が無いか探索が続けられていた。日本はここを赤道多島海と名付けた。
19年冬の時点では、ゴムの木が発見された。ゴムの木はシベリア大陸南端部でもブラジル系のゴムの木同等の植物が発見されていたが、品種が多いに越したことは無かった。
赤道多島海ブーゲンビル島に在ったのはアラビアガムであった。ブラジル系ゴムの木は、交雑を防ぐためにかなり離れたショートランド島で農園が開かれた。
これは、複数箇所で栽培した方が病害虫で壊滅的被害の発生を防ぐという意味でも重要だった。将来的には、もっと栽培箇所(島)を増やしたいが、管理が人手不足で出来ないので将来の話だ。
シベリア大陸で発見された場所は混沌領域に近すぎたのである。こちらが主力になるだろう。
ショートランド島に適地があり、ブラジル系のゴムの木同等の植物を栽培する大規模なゴム園が4ヶ所作られた。うち1ヶ所は旧エルラン帝国民に運営が委ねられた。これだけあれば日本の内需には足りるはずであるが、輸出を考えると足りないかも知れない。
ゴム園の間の距離からして鉄道か個別の港かを考えたが、上陸箇所に桟橋を作って仮の港とした。予想されるゴム原液の量からして最大でも2000トン級貨物船で充分という考えだった。現地で生活する人達への物資供給という事も考えれば699型の貨物船で回数を掛ける方が都合がいいかもしれない。またショートランド島には港湾適地が少なく、5000トン級貨物船が運用できる港湾適地は2カ所だけで他は難しかった。
後にマライタ島南部中央に大型の商業港を建設し多島海西部の島々からの産品を集積。マライタ島までは内航船か小型外洋貨物船で運搬。帰りに各種物資を持ち帰るという方式になった。
これは、大和級のような大型船舶の寄港できる深さを確保できるのがマライタ島南部中央とガダルカナル島北西部にブーゲンビル島南東部くらいであったためである。後は全体的に遠浅であった。赤道多島海西半分の水深は深いところで150メートル程度であり。古代には高原地帯では無かったかと推察されている。
赤道多島海西半分の島にはドリアンと思わしき果実もあった。思わしきというのは、臭くて採取をためらったためである。
臭いと言えば、ラフレシアのような花も発見されたが、やはり近づかなかったようだ。
パパイヤ・マンゴーやグワバなども発見されていた。
ナツメヤシとココヤシも発見されていた。
シベリア大陸南端部とこの赤道多島海は、香辛料の宝庫だった。カレー原料は確保された。
日本人が知っている物の他にも、ランエールならではの香辛料があった。カラン村で確認すると、かなり高価な物らしい。
ギニア島から西の西部赤道多島海は、全体的にとにかく密林が多く地下資源の探索は難しかった。
中には島全体が混沌領域であり、上陸自体見送られた島もあった。バガ島とモノ島である。
現地ではマラリア原虫が確認されており、マラリアとの戦いが予想された。
島と島の間でもブーゲンビル島南部海域のサカエル島、コロン島、バンガラ島、ツラギ島の間は浅瀬と大規模な干潟が出現するような海域であり、航行は危険とされた。海図上は航行禁止区域に設定された。
ブーゲンビル島東部のサボ島とレンドバ島の間も暗礁が多く航行禁止とされている。
測量船の活動がまだ西半分全てを回り切れていないため、東半分は航空偵察だけである。荒野や砂漠のある島もあり地下資源に期待が寄せられている。
ブーゲンビル島には大規模な湿地帯があり、稲作も可能とされたが現状では拡大した国土の農地で間に合っているので将来的に必要となれば程度にとどめられた。地下資源であるが草原地帯で宝石が発見された。ダイヤモンドやルビー等がゴロゴロしている。工業用ダイヤモンドとして採掘が進められている。一部は民間に放出する。何処かで聞きつけた女性達が騒いだからだ。
コロン島バンガラ島ツラギ島は水深的に小型船しか近寄れず開発しても手間が掛かるだけとして、大まかな地図の製作のみとされた。
サカエル島はアルファベットのLに似ている所に栄えるを引っ掛けて、カタカナでサカエルとした。
内部にはオランウータンとおぼしき類人猿が確認されるも緊急性は無いとして放置である。将来的に余裕が出来たら学術調査が入るだろう。生物学者達は現在エルフやドワーフや獣人達に夢中だ。
サボ島にはなんとカカオがあった。これでチョコレートとココアの製造が可能になる。
クルーズ島、サンタイザベル島、レンネル島には待望のコーヒーがあった。神倉庫から少しずつ放出しているとはいえ、後数年で在庫が無くなる事が予想されていた。そこでの発見である。地球とは品種が違うようだが、間違いなく珈琲であった。
生ゴムは緊急性が高く国家事業とされたが、カカオやコーヒーは民間に任された。嗜好品であり国家が主導するのはためらわれた。森永と上島珈琲が頑張るようだ。
南方の果物として日本に有名な物にバナナとパイナップルがあるが、南アタリナ島で神の恩恵として発見されていた。現在、台湾と沖縄周辺で大規模に栽培中である。




