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第六十八話 『鞘』と繋がり。

『暇潰したい神さま。』にアクセス頂きまして、ありがとうございます。


今回の部分。

次話との尺的な理由で、最後の方明らかに無理矢理ぶった切ったのがまるわかりです。ごめんなさいw

今は物語を進める事に集中してるので、加筆修正は少し先になると思います。

それでも良かったら、今日も暇潰しにお使いください。どうぞ――。


★★★




 『ジークの腕が動かない』その事にわちゃわちゃ達は直ぐに気が付いていた。


 嘘だと信じたい気持ちがあった。

 だが、主の口からはっきりと言われてしまった。


 自分達は今回、気まぐれでダンジョンマスターである少女に少しだけ協力した。

 彼女の心の一端に触れ、剣としての求めに応じ、適合者に力を貸すのは聖剣と魔剣としては当然の行為であった。心情的にも協力するのは嫌じゃなかった。



 だが、それによって、こんな愕然とする結果になるとまでは想像できなかった。


 自分達が軽はずみに協力し、同調の低い適合者に無理して力を分け与えた為に破損し、それを治す為に主が【古き文言】を使い、その両腕の存在全てを捧げた事で、ジークの腕が動かなるなんて、こんな結果に至るとは思いもしなかった……。



 【古き文言】とは、わちゃわちゃ達の様な武器を扱う時に武器との繋がりを高め、更にその能力を引き出すために編み出された方法である。"タロウ"が長い年月をかけて試行錯誤の末に創り上げた独自の方法である。知っている者は他にはいない。ジークがそれをなんとなくでも使えているのは不思議なものだが、タロウが自身の莫大な魔力を対価に行っていたその行為を、今のジークが使うには身体そのものを掛ける以外に方法がなかったのである。



 それを一瞬で悟ったわちゃわちゃ達は動けずにいた。

 愕然としていた。

 どうしていいかわからないのだ。



 だが、そんなわちゃわちゃ達に気づいたジークはいつものように微笑むと優しく告げる。



「マルク、エキス。撫でてあげられなくてごめん。これからは僕から抱きしめてあげる事も出来ないと思う。だから、寂しい時は二人からぎゅってしてきてね。……本当にダメな『鞘』だ僕は……二人と初めて会った時からなんとなく分かってたけど、僕じゃ二人を――」



 ――ギューギュー……ポキッ。



 主がいきなり変な事を言い出しかけたので、わちゃわちゃ達はジークへと甘えるように抱き付いた。

 だが、その瞬間にジークの細い体からは、枯れ木が折れる様な乾いた音が鳴り響いた。


 マルクとエキスは、その音に驚き、慌ててジークから離れる。

 ジークは痛みで一瞬顔を歪めるが、すぐにまた元の優しい表情へと戻ると、離れた二人に自分から距離を詰めていく。



「あたたたたっ、マルク、エキス。二人とも大きくなったから、まだ少し力加減が難しいみたいだね。抱きしめてくれてありがとね。嬉しいよ。良かったらもう一回ぎゅってしてくれる?」



 マルクとエキスは、ゆっくりとジークへと手を回した。

 今度はピトッとただ触れるくらいに力を抑えている。

 ジークの言うとおり、今の自分達は成長していて力加減が良く分かっていないのだ。

 少しでも力を込めてしまえばさっきの様にジークを傷つけてしまう様な気がして、二人は細心の注意を払っている。


 そして、それと同時に、マルクはジークの折れてしまった骨を治すべく、すぐに【回復魔法】を使う。

 すると、ジークはすぐに全快したようで、痛みで辛そうだった雰囲気が消えたのをエキスは感じ取った。

 ただ、全快したと言うのに、その後もマルクは何度も何度も【回復魔法】をかけ続けている。


 一回目でちゃんと治ったのを確信していたエキスは、相棒であるマルクへと不思議そうにつぶらなキャップ頭を向けた。魔法の扱いに長けたマルクがそれに気づかないとは思わなかったからだ。



 ――だが、エキスが顔を向けた先でみたのは、ダバァ――――っとまるで滝のように涙をながして、尚も必死に何かを治そうと試みるマルクの姿であった。



 そんな相棒の姿を見て、なにをしようとしているのか分からないエキスではない。

 けど、一番繋がりが深い二人は、誰よりも今のジークの状態が分かっている筈だ。

 ジークの動かない腕を治そうと【回復魔法】をいくらかけようとも、効果が無い事なんて、わちゃわちゃ達が一番良くわかっている筈なのだ。



 だが、それでも試さずにはいられなかった。

 そして、試した事で更に決定的に感じとってしまったのだ。

 マルクは、己の無力に涙を流さざるを得なかった。


 捧げた事により、ジークの腕はここにあってもうここにはない。

 ある様に見えるだけで、存在自体は空虚そのものとなっている。

 まるで次元が異なるように、見えるけど見えない、触れそうで触れない。

 触れている様に感じられている事自体が、まやかしに過ぎない。

 【回復魔法】で治す対象が、既にここにはないのだ。


 ジークの腕は、例え最上級の霊薬たる『エリクサ―』を用いたとしても、もう元に戻す事は出来ない。

 それがはっきりとわかった瞬間でもあった。



「マルク、ありがとう。もう大丈夫だからね。エキスも力加減が大変なのに、本当にありがとね」



 ジークは優しいマルクと、マルク以上に力があり、細心の注意と言う言葉が裸足で逃げ出す位の集中を持って今尚ジークにピトっとハグしているエキスに声を掛けた。わちゃわちゃ達は本当に良い子達なのです。二人のピトハグは既に完璧な力加減。マルクが抱き付いている方だけ涙で少しビチョビチョになってるのはご愛嬌である。

 


 ――ただ、ジークにはもう一点、二人に伝えないといけない事があった。



 これに対しては少し、ジークも思うところがあった。

 だが、自分の勘がそれを行う事を求めた。

 やらなければいけない事だとあの瞬間の自分が訴えたのだ。



「――あのね。マルク、エキス。二人にもう一つだけ知らせておかないといけない事があるんだ」



 呼ばれた二人は、ジークの身体に預けていたつぶらなキャップ頭を上へと向けるとジークの顔を見た。

 その表情は、先ほども見た少し悲しそうな苦笑である。

 ――嫌だ。なんだろう。聞きたくない気がする。

 けど、聞かないのはもっと嫌だと、わちゃわちゃ達の心には混乱が生まれる。

 そんな二人の様子に、ジークは少しの間を空けてから、ゆっくりと語りだした。



「――僕は、腕を捧げた。それによって大元の繋がりが途切れることは無いけど、僕はちょっと今回、恥ずかしい話ね、二人が取られたと思って冷静でいられなかったんだ。それで少し過激な方法をとってしまった。少しだけズルをした。二人が同調を開始した瞬間には、もう無意識で行ってた事ではあったけど……最初から無理をするつもりだったから、それはただの言い訳でしかない。それを前提として聞いてね。


 言葉にするのは難しいけど、二人になら分かると思う。僕は、腕を捧げる前に能力の一部を分けてしまおう思ったんだ。幸いにも、僕達はみんなマルクとエキスの魔力に触れてきた者ばかりだったから、繋ぐのは簡単だった。翁はまだ無理だったけどね……。――だから、僕は繋がりをみんなにも分けた。ただ、それによって僕はもう二人の直の『鞘』じゃなくなったんだ」



 とジークにそう言われたわちゃわちゃ達は、ジークの背後にいる『目覚めを待つ者(スリーピーヘッド)』の仲間達へとひょこっと顔を向けた。

 そして確かに、アークやカナル、ウォーベット、エマから凄く良い雰囲気を感じた。白銀の翁はなんかしょんぼりしてるけど、今は見なかったことにしよう。


 みんなからジークに似た空気を感じる。適合者とはまた別の感覚がある。

 分かり易く言うと――なんか仲良くなれそう。ウマが凄く合いそう。みたいな感覚である。

 それに、ジークよりも距離が近いかもしれない。

 ジークを感じる為には、みんなを経由してから感覚を追わないといけない感じがある。


 『なるほど』とマルクとエキスはジークの言いたかったことを理解した。



 ――だが、ハッキリと言って『それがどうしたの?なにか問題があるの?』と二人はキョトンとしている。二人のジークスキーも懐が深い。直近の『鞘』が追加され、ジークとの距離感がほーんの少しだけ離れたとしても、全く問題ない。二人にとっての主がジークである事に変わりはないのだから。



 一方、先ほどわちゃわちゃ達を悲しませてしまった事で、今回もそうなるのではと身構えていたジークは自分が少し思い込み過ぎていたことに笑った。



「あ、あれっ?そっかっ。それなら良かったんだ。――みんなも、今回は色々とごめん。どうやら今回は僕が一番あのダンジョンマスターの少女に振り回されたみたいだ。なんか少し恥ずかしくなってきたよ」


「ジーク、今回は、ブチ切れだったな」

「ジーク様は、マルクとエキスに甘々だと言う事が今回の事でハッキリしたぜ。良かったら俺みたいな美少女にもその半分甘々でもいいから発揮して欲しいぜ」

「主様、私が今回の事で一番大変だった気がしますので、甘々なお菓子が欲しいです。なにが良いとは言いませんが――『蜂蜜菓子』がいいです!」

「エマッ!欲望がダダ漏れなのであるっ!そもそも何気に今回一番の功労者は我輩なのでは?たくさん飛んで大変だったのである!」

「ププルルンッ!!『少しお疲れみたいだから、ジークもみんなも早く乗って寝た方がいいよぉ~♪』


 アークは珍しいものを見て揶揄う様に微笑み、カナルは寂しかったのかわちゃわちゃ達ごとハグしてきた

。エマは少し乱れた服装を正しながらも目を血ばらせて蜂蜜菓子を要求。そんなエマを上に乗せたまま、白銀の翁は褒めて欲しそうにギャウギャウ鳴いている。そしてウォーベット、君はいつも僕らの癒しだ。



「……おう、随分と仲良さそうじゃねーか。俺も少し話に混ぜてくれよ」


 


 ――だが、そうしてジーク達が和気あいあいと話していると、急に見知らぬ顎鬚のおじさんが、ボロボロの姿で歩いてやって来た。


 どことなく寂しそうな雰囲気を醸して、急にジーク達の前へと現れたこの人物。

 果たして彼は、いったい何者なのであろうか……(棒)。




 

 A.ただの野生の副隊長です。




★★★

またのお越しをお待ちしております。



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