第19話
皆さまお久しぶりです!?
最近、忙しかったお仕事が落ち着いたので、心に余裕が出来て来ました。
そして、活動報告で書いていた。中指の爪が割れてしまった事件、今では血が止まりましたが、爪を見る度ににゲンナリするんですよね。割れ目が布とかに引っかかりそうで恐いんですよね・・・・ホント(笑)
それでは作品をどうぞ!?
~~~ ドーゼム side ~~~
「ぐぬぬぬぬ・・・・・・クソッ!? クソッ!? チクショウッッッ!!?」
ドーゼムはそう言いながら壁に向かって拳を叩きつけると、自分自身に付けられた傷に触れてしまい苦悶の表情を浮かべる。そのようすを見た仲間は呆れてため息を吐く。
「ドーゼム、いい加減大人しくした方が良いぞ。そうやってると傷が開くわよ。また傷が開いたら今度は応急処置してやらないぞ。さてと早くここから離れないといけないわね」
その人はそう言うと服からチョークを取り出し、床に魔法陣を書き始める。
「・・・・・・しかし、なぜアナタはあの二人を殺さないで逃げたのです? アナタなら二人を殺せたはずなのに・・・・・・」
「残念だが無理だった」
「はぁ?」
まさかあの二人は キラヤ ほどの実力を持ってると言うのか?
「アナタは多分あの場面で私が隠れているならあの二人に魔法を撃ち込んで倒す方が、良かったんじゃないか。と考えてるでしょ?」
「え、ええ・・・・・・」
「残念だが俺の詠唱の声に反応して、攻撃を避けられるか防がれていた可能性の方が高い」
「そうですか? なら煙幕が充満している部屋の中で仕留められたのではないですか?」
そう、キラヤなら相手の魔力を感じ取り体型や魔法の得意属性、ましてや相手の位置を正確に把握する能力がある。それ故に夜でも戦闘が出来る。
「ドーゼム・・・・・・残念だけど出来なかったわ」
「えっ!? ・・・・・・冗談ですよね?」
「ピンク色の鎧を着た男なら魔力を感じられたのだが・・・・・・もう一人の白髪の女の子の方が、なぜか分からないけど魔力を全く感じられなかったのよ」
「魔力を全く感じられなかった? ・・・・・・一体どういう事ですか? まさかアナタは私に対してゾンビと闘って負けた。とか話すんじゃないでしょうかね?」
怒りを感じさせる声でキラヤを見下ろしながら話すが、当の本人は全く気にしてないようすで床にチョークを走らせながら話し始める。
「意識があって動いているならゾンビではなく生きている人間なんだろ。それにあの子はアナタの攻撃を受けた時に痛がってたでしょ。ゾンビが痛がると思うの?」
「確かにそうですね・・・・・・しかしですね」
「まだ何か言いたいのか?」
「えぇ、私は今まで生きて来た中で彼女の持ってた武器は初めて見ましたよ。パシンッ!? とか パァンッ!? とか言うような音と共に私の身体に傷をつけられていて、まるで見えない攻撃を受けた感じがしました」
本当にあの武器はなんだったんだ? 新型の魔具にしては見たことも聞いた事ない。
「私だってあんな武器はしらないわよ。しかし、あの武器で見て分かった事はある」
「分かった事? 一体それはなんですか?」
「一つはあの武器の中から矢を飛ばして攻撃しているみたいね。しかも目で追えないぐらい速さでな」
「キラヤさん、いくら何でも矢を目で認知出来ないぐらいの速さで放つなんて不可能ですよ。私は魔法とか考えられません」
「じゃあ、パァンッ!? と言うような音と一緒に、武器の中から出てくるちっちゃい金属は一体なにかしら?」
「・・・・・・分かりません」
私は答えが分からないと言う恥ずかしさから、うつ向いてしまった。
「それに何回か放った後に武器に取り付いていた箱は一体なんだ? 箱を入れ替えていたって事は・・・・・・あれに矢が詰まっていた。と考えていいのかもしれないわね」
この人はそんなところまで見ていたのですか・・・・・・なんて言う洞察力なんでしょうか。
「さてと、魔法陣が書けたぞ。魔法陣に魔力を注ぎ込むのに時間がかかるから、もう三つだけお前に教えといてやろう」
「はぁ・・・・・・もう三つですか?」
三つも教える? キラヤは私に対して一体なにを教えると言うのでしょうか?
腹の底から沸き上がる怒りを理性で抑えながら、キラヤの話を聞き続ける。
「一つ目は私はあの白い髪の子をゴーゼスで見かけた時から気にかけていたのよ」
「なんだって! どういう事か説明して頂きましょうかっ!?」
眉をつり上げて歩いてくるドーゼムに対して、慌てながら手のひらを出して声をかける。
「待て待てドーゼム! 今お前が魔法陣に入って来たら術式が全て崩れて一からやり直しになるっ! だから近づいて来こないでっ!!?」
「あっ!?」
その言葉と共に自分がマズい事をしようとしている事に気がつくと、その場に止まり咳払いをしてからキラヤを見る。
「失敬・・・・・・私とした事が取り乱してしまいました」
「話しの続きだが、バルデック総合ギルド会長が馬車でゴーゼスに向かっているところを冒険者達を使って暗殺する計画を立ててたのを覚えているよな?」
「ええ、確かあれはぁ・・・・・・失敗したんでしたね?」
「ええそうよ、町着いたと言う話を聞いた時はビックリしたわ。
勇者の末裔が無傷で町に入っているし、なによりも裏切るように脅迫したヤツが裏切ってないんだからな。悪い夢でも見ている気分になったわ」
キラヤほどの優れた頭を持つ魔人がそんな失敗をするはずがない。
「しかもその時にお前と戦ったあの女が第二騎士団と共にいた」
「な、なんと! なぜその時に始末しなかったのですかっ!?」
その時に始末をしていれば、こんな目に会わなくて済んだのに・・・・・・クソッ!?
「その理由はね、始め見た時は何の関係もない子だと思ったからよ。後になってからなにかがおかしいと思い始めたんだ」
「・・・・・・後から?」
「ああそうだ。暗殺に雇、いや利用した冒険者共を口封じに始末しようと近づいた時に会話の中で、 あの女にやられたような事を言っていたからな。冒険者達を始末して隠蔽した後に、 あの子はチョット調べた方が良いかもしれない。 と思ったのよ」
「はぁ・・・・・・そうだったんですか」
アナタは余りハッキリしない事は混乱を避ける為に報告しない人でしたね。
「俺が冒険者達をみな殺した件とゴーゼスからどうやって抜け出したか? この二つをあの女に見破られたみたいだ」
「・・・・・・フッ! 単にアナタの隠蔽が甘かっただけじゃないんですかね? フッフッフッフッフッ!」
笑っているドーゼムに対してキラヤは首を横へ振った後に話を始める。
「・・・・・・この報告を聞いたらアナタも驚くと思うわよ?」
「ほほ~う、それは一体なんですか? キラヤ殿の優秀な策や隠蔽の失敗以外に驚く事がないと思いますがねぇ~?」
「俺が口封じに殺したはずのグルベルドが生きている」
「なぁっ!?」
あの虫ケラが生きているだと・・・・・・なにかの間違いじゃないか?
「アナタはもしかして殺し損ねたんですか?」
「私は死んだのを確認しているわ」
「死んだのを確認しているのであれば・・・・・・本人ではなく影武者を殺した。と言う事はあり得ませんかね?」
「いや、それはないな。アイツは馬鹿だから影武者がいたら俺に言っているだろう」
「一利ありますね」
あの虫ケラは完全にキラヤの事を馬鹿みたく信頼してましたし。
「だから誰かがグルベルドを生き返したとしか考えられないのよ」
「そう・・・・・・ですか?」
蘇生魔法を扱える人間は数えられるぐらいにしか存在しない・・・・・・なら誰かがエリクサーを使ったのか?
「まぁ答えはどうあれ俺の情報が世間に出回っていて動きづらい状況だ」
「・・・・・・こんな状況を作った張本人のグルベルドを殺しに行かないんですか?」
「それは止めといた方が良いわよ。今グルベルドが死んだら、俺達が真っ先に疑われるぞ」
「・・・・・・そうですね」
「それにグルベルドは捨て駒なんだから、そんなに気にかけなくて良いんじゃないかしら?」
「・・・・確かにそうですね」
やはり・・・・・・この人には口では勝てない。
「そして最後の三つ目だ。アナタは気が付いていないから言うけど、あの子やろうと思えばアナタを殺せたわ」
「はぁ? 私を殺せた? アナタは、なにを根拠に言っているんですかっ!!」
「アイツはお前から俺達の事を聞き出す為に、わざとあんな風な戦い方をしてたんだ」
私が人間なんぞに劣っているのか? と言いたそうな目で睨んでいるドーゼムに対して気にもせずに話しを続ける。
「ウソだと思うのなら、またあの子とまた戦ってみる? お前が負けるのは目に見えているぞ」
今すぐキアラを殺したい衝動に駆られるが、そこは気持ちを抑えて聞いてみる事にする。
「・・・・・・私が負ける根拠について説明して頂きましょう」
「アナタはあの子の武器に耐えられる鎧を作って身に纏ったでしょ?」
「ええ、そうです」
「恐らくだがお前と戦ってた時に使っていた武器よりもさらに上を行く武器を有している
はずだ」
「なにを根拠・・・・・・」
なにかに気がついた様な顔を見せるドーゼムに対してキラヤは頬をつり上げながら話し始める。
「気がついたみたいだな」
「以前お前の報告にあった、 草原でソルドとゾンビ達が何者かに倒されていた。 と言う報告・・・・・・もしその張本人があの小娘だったのならと考えると、もしかしたら強力な武器を持っているかもしれない」
「そうでしょう?」
しかし、あの子娘がソルドを倒したのかどうか分からない状況なのは事実・・・・・・これは調べて確認するしかない。
「・・・・・・クソッ!? 顔を思い出すだけで忌々しい小娘めっ! 必ずこの手で殺してやるっっっ!!?」
我を忘れて拳を握り締めて壁を殴りつけると傷に触れたのか痛そうな顔をする。
「落ち着け、まだ生きているんだからチャンスはある。さぁ、転移魔法陣の準備が出来たから入ってちょうだい」
「・・・・・・はい」
魔法陣の中に入りキラヤの顔を見ると頬をつり上げて笑っていた。
「どうした?」
「どうしてアナタは嬉しそうな顔をしているのですか?」
「あら、顔に出てたの?」
「えぇ・・・・・・ハッキリと」
「そうだなぁ、理由を言うと面白い相手を見つけたからだ。私が興味を持つほどにね」
「・・・・・・そうですか」
キラヤに興味を持たれるとは・・・・・・敵なのに気の毒に感じてしまいますね。
「それに俺はこう思ってもいる。いつかあの子と会う日が来るはず。ともな」
「いずれ命令で殺しに行くと思いますよ」
アナタは私達の中である意味恐れられている存在であり、そして彼の方が一番頼られていらっしゃるのですから。
「あの子と会うのが待ち遠しいわぁ〜。早くその日が来てくれれば有り難いのだがな」
「ッ!?」
ゾッとしてしまったっ!? この人は・・・・・・この人は私に実力を隠しているのか? いや、まさかそんな・・・・・・いや、やっぱりありそうだっ!?
「【転移】」
その言葉と共に二人はダンジョンから姿を消したのであった。
いかがでしたか?
これで第3章が終わりになり、次回から第4章に入ります!
しかし、第3章は他の章と比べるとダラダラした感じに話が進んでしまったので、20話にもなってしまったのかもしれませんね。第4章ではこうならないように気をつけないといけないですね。
それでは次回お会いしましょう。さようなら!?




