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フェンネルの覇道

フェンネル視点

レインの静かな説教は、確かにリオル王フェンネルの心に響く

本来ならば、自身で理解しなければならぬ事なのだ


そう、レインの言うとおり、フェンネルは、一国を束ねる王で無くばならない

誰よりも自信に満ち、覇道を往かねばならない。そして誰より民を思い、民の為に在らねばならない。それが、フェンネルの王を継いだときから課せられた義務なのだから。



リオルの国王は、最強で最高で孤高の存在であるべきだ。それがリオルの民が王に求めるものだから。


だが、歴代の王達が簡単に民から求められている王になれなかったように、フェンネルにも又、覇道の前に聳え立つ壁が存在した


・・・・・・・・・・・それが<教会>である。


もしかしたら、教会が悪か正義か・・・・二択だったならばもっと話は早かったのかも知れない


教会が決して公に出来ぬような、様々な実験を繰り返してきた闇歴史を知っている


教会を悪とするのは容易い



だが闇歴史を知る一方で、それが自国の為にしてきたのだということを知っている

非道な、と罵るは容易いが、少なからず助けられてきた歴史も又、知っているからこそ絶対悪に出来ない現状がある



覇道の前に、聳え立つ教会という高い壁

歴代の中でも賢君と名高いフェンネルであっても教会に強く言えないのは歴代の王達と同じなのだ



だが、このまま教会の示すように人類至上主義を謳ってエーティスと戦い続ければ確実に自国は滅びるだろう

いや、もう手遅れなのかもしれない

エーティスとの永きに渡る戦争で、確かに魔術は進歩している。

だが、比例するように国は疲弊しているのだ

おまけにリオルは自国より更に北方にあるシュナイデルと食料を巡って度々戦をしている


二国と争っている余力は、最早リオルにはない

誰よりも、おそらく現状理解している自分だからこそ、せめて、より被害の大きい戦を食い止めなければと思った

強引だが、エーティスの中で民から定評あるシュレイアの傑物を味方にすれば、黄龍殿とて無碍には出来ないだろうと、浅はかな考えを持ってしまった



時間が、リオルにはなかった














「・・・・・・・確か、貴国の連絡手段の一つに映像魔法がありましたね」


「よくご存知だ。リアルタイムで連絡することの出来る魔法です」


「黄龍様に繋いで下さい。事情を説明しましょう

我々<人>と違い永く生きている彼の方ならばきっと力になって下さるでしょう」


「我が国が敵国であってもですかな・・・・」


自嘲をこめた私の台詞にレイン殿は眉根を寄せて此方を見る

一瞬で、十代の娘なのに驚くほど、此方を圧倒する雰囲気を纏った彼女は怒ったように口を開く


「すでに諦めたような表情をなさらないで下さい

貴方は何があっても最後まで諦めてはいけないのです。藁にも縋る思いで敵国から私を連れてきて、仲介人をさせようと思ったはずでしょうに。確かに貴国は現在も我が国を侵略中です。

だからこそ早急に侵略を止めさせ、我が国も貴国も出来る限り被害を抑えなければならないのです。

そうでなくば停戦など夢のまた夢。そうでしょう?


それに我が国の頂点は、懐深い方です。

巻き込まれてしまった以上私も全力で停戦に向けて働きかけましょう。だから貴方は最期まで諦めぬことを約束して下さい」



まっすぐに、此方を見るレイン殿に、侵攻を知って早々に諦めかけた思いが再び溢れる


「沢山迷惑をおかけしていますねレイン殿


もう少し、お付き合い願えますかな」


「勿論です。巻き込まれた以上此処でハイさようなら。と言えるほど最低な人間に成り下がった覚えはありませんもの」


ふふ、と微笑むレイン殿の笑みに背中を押され外で控えていた侍女を呼び映像魔術をつなげる準備に入った






微妙・・・・・・すいません汗

次話は頑張ります

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