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10-3 エデンってあると思う?


 今回は短めです。


「四人はさ。“()()()”ってあると思う?」


「エデン?」


「エデンって、あのエデン?」


「そうそう。あのエデン」


 篝の問いに遠藤は笑顔でそれを肯定する。

 エデンについて確認を取るだけでエデンが何なのかを聞き返さない辺り、皆その言葉が何なのかを分かっていることを示していた。


「さっきの魔法の授業繋がりで、あそこに居るメンツでエデンがあるのか無いのか話してたんだよ。で、四人が帰ろうとしてるのが見えて、せっかくだから意見が聞きたいなってなったんだ」


「なるほど」


「そういう流れか」


 なぜそれを聞きに来たのか、という流れは分かった四人。しかし、そこで遠藤は申し訳なさそうな顔をする。


「もしかしてこれから任務だったか?」


「いや、任務は無いし急ぎの用も無いよ。俺は付き合ってもいいけど、みんなは?」


「私も特に無いからいいかな」


「俺もいいぜ。少し面白そうだ」


「私もよ」


「だそうだ」


「よかった! おーい、大丈夫だってさ!」


 遠藤は離れた場所に居るエデンについて話していたクラスメイト五人を呼ぶ。そして、そのクラスメイト達が来たところで話は再開された。


「で、エデンはあるかについてだっけ」


「エデン………、いろんな噂があるよね」


「エデンはこの世の楽園だとか、そこに行けばなんでも願いが叶うだとか、最強の力が手に入るだとか、世界中の人間が魔法師になれるだとか………」


「エデンに辿り着くと世界が終わる、なんてものもあるな。場所なのか、事象なのか。それさえもハッキリしてないけどな」


 篝と十六夜がエデンにまつわる噂について話すが、十六夜はどこか皮肉気味に語っている。その態度から十六夜はエデンについて信じてないように見えた。


「立花は無いと思うか?」


「あってもおかしくはないが、あるとは思ってないな」


「私もそんな感じかしら。でも、私は無い方が嬉しいわ。『エデンはある! 私には感じるんだ!』って言う人がいるけれど、その大体が犯罪者だから」


「あー、変な儀式とか実験やろうとして捕まるやつな」


「いるよねーそういう人達」


 篝の言葉にクラスメイト達がそうそうと頷いて同意する。そして、十六夜と篝の意見が出たことで残りの二人の意見を聞こうと視線が集中していた。

 二人もその視線が意見を求めるものだと即座に理解した。


「俺は………あるんじゃないかって思ってる」


「私もエデンはあると思う」


「へえ? そりゃまたどうしてだ?」


 自分達とは違い、エデンはあると言う二人に十六夜はいつものように不敵な笑みを浮かべてその理由を問いかける。

 春はその問いに対し、微妙そうな表情をしていた。


「お前と同じだよ十六夜。あってもおかしくないんだから、あるんじゃないかってだけだ」


「私も同じ。何か確信があるわけじゃないよ。ただ、ある気がするだけ」


「………なるほどな」


 理由は自分と同じであり、そこに感情や勘的なものが加わることで二人はあると言っている。

 色々と事情を知っている身としてはこの二人が同じ意見を示すだけで特別な意味を感じてしまうが、今は考える必要が無いと十六夜は受け入れるだけに留める。

 篝も二人の返答に複雑そうな顔をしているが、十六夜からジッと見られたことで即座にその表情を変えて平静を装った。


 そして、魔法防衛隊の四人の意見を聞いたクラスメイト達はガックリとしていた。


「この四人も意見が真っ二つかー!」


「結論出せねえよー」


「そもそも出せないだろ。こんな都市伝説みたいな話」


「そりゃそうだけどさー」


 春のツッコみに同意しつつも、釈然としない様子を見せるクラスメイト達。

 結局、エデンがあるのか無いのか結論は出ないまま解散となった。







 学校を出て、特にすることも無いので星導市支部に向かうことにした春達四人。その道中で十六夜は春と耀に先程のことを問いかけていた。


「なあ、さっきのエデンについてなんだが………。二人共あるって言ってたが、それも夢とか関連か?」


 十六夜の問いに二人は顔を見合わせる。すると、即座に十六夜の方へと向いて首を横へと振ってそれを否定した。


「いや、今回は特にそういう感じはしないけど。なんとなくってくらいだし」


「私もそんな特別な感じはしないかなー」


「そうか。ならいいんだが」


「こういう不思議な話で貴方達二人の意見が合うと、どうしても特別な感じがしてならないのよ」


「まあ、そういうことだ」


 篝も気になっていたらしく、先程から思っていたことを我慢できずにぶちまける。それは十六夜も思っていたことであり、篝の言葉に相槌を打って自身も同意見であると示す。

 そして、春と耀はそんな二人の言葉に困ったように笑顔を見せる。


「さすがに全部が全部そういう関連じゃないって」


「そうそう!」


「「さすがに無理がある」」


「「………あ、あははは」」


 二人の否定に十六夜と篝は呆れた目で二人を見る。そんな二人の目に、春と耀は誤魔化すように乾いた笑い声を上げるのだった。





 閲覧ありがとうございました!

 ようやく本作のタイトルにもある『エデン』について書けた! やったぜ!


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