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婚約解消寸前まで冷えきっていた王太子殿下の様子がおかしいです!  作者: 大月 津美姫
5章

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74 ケイティとトレヴァーの恋の予感

「アルバート様! フランク様! どうして私も呼んでくださらなかったんですかっ!!」


 ベアトリスたちが王城の図書館を訪れた翌日。トレヴァーは食堂で主にアルバートとフランクに抗議した。


「生徒会の会議でアルバート様とフランク様にお会いしましたよね? 私だけ仲間外れは酷いです!!」

「昨日の昼食、トレヴァーはこの席に居なかったんだ。仕方ないだろう」

「そうさ。断じて仲間外れにしたわけではないよ」

「そうだとしても! です!! フランク様は私が本好きなこと知っていますよね!?」


 ムッとフランクに詰め寄るトレヴァー。その様子にベアトリスとジェマは苦笑いを浮かべる。だが、ケイティはトレヴァーが本好きだと知って、瞳の色を変えた。


「トレヴァー様は本がお好きなのですか?」

「え? はい。そうです」

「普段はどのような本を読まれますか?」

「ええと……将来、領地経営に使えそうなものや、それに関係ありそうな書籍を取り寄せることが多いですね。でも、冒険譚なんかの小説も好んで読みますよ」

「まぁ! 冒険譚ですか? では、最近下町で流行っている冒険譚はご存知でしょうか? 先日、ベアトリス様と孤児院へ伺った際に、ベアトリス様が子どもたちに読み聞かせされていたのですが、子ども向けにしては中々面白かったですよ!」

「えっ? それ、どんな内容ですか!?」


 ケイティによって毒気を抜かれたトレヴァーは、いつの間にか本の話に夢中だった。トレヴァーも“禁書に興味を示していた”とフランクが言っていたので、彼も相当な本好きのようだ。


 だとしたら、みんなで王城の図書館へ行く予定があったのに、トレヴァー様だけ誘わなかったんですもの。彼が怒るのも無理ありませんわね。と、ベアトリスは苦笑いする。


「ケイティ様とトレヴァー様は本好き同士、気が合うようですわね」


 ベアトリスがこそっりジェマに耳打ちすると、ジェマも首を縦に振った。


「えぇ。ケイティ様、今までわたくしが目にした中でも随分楽しそうですわ。もしかするとこれは……恋の予感!!」

「え?」


 その言葉にベアトリスはケイティとトレヴァーを見る。二人とも瞳を輝かせて会話に夢中だ。そして、ジェマはそんな二人を羨ましそうに見つめている。


 まさか? いいえ。でも……


 言われてみれば、そういう雰囲気に見えなくはない。ティルダに続き、ケイティの恋の予感に何故かベアトリスまでドキドキした。


「では、次はジェマ様ですわね」


 ベアトリスがそう言うと、ジェマは一瞬目を見開いた。それから「そうなれば嬉しいのですが……」と苦笑いを浮かべる。


 ティルダからの提案は、そもそも王女の婚約者候補を子爵令嬢にどうか? という時点で、ジェマにとっては現実味のないものだった。

 王女の婚約者候補となると、最低でも王族から侯爵家までの令息たちが選ばれているに違いない。そうなると、子爵令嬢では家の釣り合いが取れていないと、周囲から反対されるのは目に見えている。


 そんな中でケイティに恋の予感が出てくればジェマだって焦ることだろう。何より、ジェマは婚約者探しが難航していることに悩んでいるのだ。


 ジェマ様とせっかく友人になったんですもの、わたくしに何か出来ることがあれば良いのだけれど……


 家の問題に他家の者が首を突っ込むことは良くない。

 ベアトリスに出来ることと言えば、ジェマを慰めて元気付けることと、ジェマに良い相手が見つかった時に全力で応援することぐらいだろう。


「ジェマ様、わたくしで良ければいつでも相談に乗りますからね!」

「そんな、ベアトリス様を煩わせる訳には……」

「わたくしの孤児院の支援活動を手助けしてくださったんですもの。そのお礼だと思ってください」


 ベアトリスの力強い眼差しに、ジェマは「分かりました」と頷いた。


「ジェマ嬢は悩ましげだけれど、ケイティ嬢は楽しそうだね。……あのトレヴァーくんに、春が来るかもしれないねぇ」


 フランクはトレヴァーを見ながら、穏やかな表情で染々と呟いた。


「春?」


 疑問を投げ掛けてきたアルバートに「恋が始まるかもしれないってことさ」とフランクは答える。


「彼も伯爵家の長男である以上、何れは婚姻するだろう」

「いよいよ恋人も婚約者もいないのは、この中だと私とジェマ嬢だけになりそうだ」


 そう言って嘆くフランクをアルバートは白い目で見る。


「フランクの場合は、ずっと縁談を断っているだろう? その気になれば直ぐにでも婚約者が出来ると思うが? あと、親友としてはそうなってくれると私も嬉しい」


 それから、ベアトリスの婚約者としても。と、アルバートは心の中で付け足す。

 アルバートは敢えて言葉にしていないが、フランクがベアトリスと幼なじみというだけの理由で、彼女の傍にいるわけでないことは、薄々分かっていた。だから、アルバートはフランクを頼りにしている反面、フランクに嫉妬する。


 この前は、『今度ベアトリスに何かあって、私がアルバートにベアトリスを任せられないと判断したその時は……分かっているよね?』と問われて、アルバートは一瞬フランクの本気を垣間見た。

 フランクは『もしもの話さ』と笑い飛ばしていたが、あれは半分本気で言っている筈だ。


 フランクが縁談を断る理由は、きっとベアトリスにある。


 アルバートはほぼ確信的にそう思っていた。


「……じゃあ余り物同士、お試しで恋人になってみるのもアリかもしれないね。と言うわけでジェマ嬢、“私とお試しで恋人になる”なんてどうだい?」


「っ!?」


 爽やかな笑顔と共に発せられたフランクの爆弾発言に、ジェマは「ごほっ!」と噎せた。


「い、いけませんっ!! フランク様! それだけは絶対ダメですっ!!」


 ティルダの気持ちを知っているジェマは、冗談なのか本気なのか分からないフランクの提案を即座に断る。あまりに必死の形相で断るジェマに、フランクとアルバートは驚きで固まった。


「え? ……う、うん。……何もそこまで拒否しなくても良いと思うんだけど? もしかして、私はジェマ嬢に嫌われているのかな??」

「いえ。そうではありませんが、たとえお試しでも子爵令嬢のわたくしと恋人になるのはダメです!!」

「わたくしもフランク様がジェマ様に気持ちがないのであれば反対します!」


 ジェマとベアトリスはティルダの気持ちを知っている。そのためお試しの提案を必死で却下した。だが、フランクはその事情を知らない。だから、別の捉え方をしたようだ。


「ベアトリスまで反対するのかい? じゃあ、私がジェマ嬢に本気なら良いのかな?」

「えっ!? ほ、本気でもいけません!!」


 こうして、ジェマは冗談か本気か分からないフランクの提案を何とか回避したのだった。

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