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婚約解消寸前まで冷えきっていた王太子殿下の様子がおかしいです!  作者: 大月 津美姫
3章

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47 必死で可愛らしいベアトリス

 噂の誤解を解くため、必死に説明したベアトリスは大きく息を吐く。そして、幼なじみに視線を向けた。


「フランク様、落ち着いていないで一緒に噂を訂正して下さいませ!」

「いやぁ、滅多に見ない必死なベアトリスが可愛らしくて。それに、必死な君を見ているアルバートも嬉しそうだし、このままでも大丈夫かと思ったんだが……駄目かい?」

「へ……」


 どこか楽しげな笑みを見せて、首をコテンとさせたフランク。ベアトリスがそんな幼なじみの隣を見ると、指摘されたアルバートが照れた顔をしていた。


「……すまない。ベアトリスが必死に誤解を解こうとしてくれていることが嬉しくて、つい……」

「なっ、ななっ……!?」


 今日、何度目か分からない恥ずかしさを感じたベアトリスは顔を赤くして、口を閉ざす。

 ベアトリスにとって、年頃の異性から“可愛らしい”と言われるのは久しぶりのことだった。それこそ、幼い頃にアルバートと初めて会ったお茶会以来かもしれない。そう考えるとますます顔が熱くなった。


「アルバート様とベアトリス様はお似合いですね」


 トレヴァーがベアトリスとアルバートの様子を見て、にこにこしながら言えば、クシールド伯爵令嬢とネヴィソン子爵令嬢がコクコクと頷いて肯定する。


「分かりますわ!!」

「見ているこちらがキュンとさせられます!!」


 今すぐどこかに隠れてしまいたい。


 そんな気持ちでベアトリスが俯いて顔を隠していると、「ところで、ベアトリス様」とクシールド伯爵令嬢がベアトリスに話し掛ける。それに答えるようにベアトリスが少し顔を上げると、彼女がズイッと身を乗り出した。


「わたくしたち、せっかくお友だちになったのです。わたくしのことは“クシールド伯爵令嬢”ではなく、どうか“ケイティ”と呼んでください」

「そうですわ! わたくしのことも是非、“ジェマ”と呼んでくださいませ!」

「え!?」


 急に名前の呼び方を変えて欲しいと言われて、ベアトリスは違う意味で恥ずかしくなる。今までの呼び方に慣れすぎていたせいで、今さら彼女たちを名前で呼ぶのを恥ずかしく感じたのだ。だけど、期待を寄せる二人の視線が眩しくてベアトリスは押し負けた。


「で、では、ケイティ様とジェマ様で……」


 恥ずかしそうベアトリスが答えると、二人が満足げな笑みを見せた。


「ベアトリス様! ありがとうございます!」


 名前を呼んだだけで二人にお礼を言われた。そんなことは初めてで、ベアトリスは照れ臭くなった。


「お二人とも大袈裟ですわ」

「それで? フランク様とベアトリス様のハグは実際のところどうなのです!?」


 ケイティが瞳を輝かせてベアトリスとアルバートたちを交互に見た。そこに「私も知りたいです!」とトレヴァーが乗っかる。


「どうもこうもないよ。私は久しぶりに幼なじみに会って、彼女の元気な姿を確認した。それで、嬉しくて親愛のハグをしただけださ。とは言え、安心したら感極まってしまってね。どうやら、それが誤解を生んだようだ」


 弁明するフランクにアルバートがジトッとした視線を送る。


「お陰でこの通り、親友の機嫌が悪くて困っている」


 お手上げだ。と言わんばかりの困り顔でフランクは肩を竦めた。


「つまり、アルバート様はベアトリス様がフランク様と噂になっていることに嫉妬されているのですか?」


 ケイティの鋭い一言でアルバートの表情がピクリと動いた。そして「だったら悪いか?」とアルバートがそっぽを向く。


 その様子にケイティとジェマは再び「きゃーっ!!」と黄色い声を上げた。


「王太子殿下からこれ程お慕いされているベアトリス様が羨ましいですわ!!」

「えっ!?」


 “慕われている”と聞いて、ベアトリスは顔が熱くなる。まさかと思う反面、他人からそう見えているのなら、ベアトリスはアルバートに好かれているのかもしれないという気持ちになってくる。


 ほ、本当に殿下がわたくしを慕ってくださっているの? わたくしの自惚れではなくて??


 ちらりとベアトリスが確かめるようにアルバートを見ると、同じタイミングで視線を送ったアルバートとパチッと目が合う。お陰でベアトリスは恥ずかしさからすぐに視線を逸らしてしまった。


 そんなアルバートとベアトリスの初な甘い雰囲気にフランクはホッと息をつく。


「やっとアルの誤解が解けたみたいだ。ケイティ嬢、ジェマ嬢、助かったよ」


 フランクが人当たりのいい微笑みを向けると、二人がポッと頬を色付かせた。


「そ、そんなっ」

「わたくしたちは何もしていませんわ」


 ふふふっと、照れ笑いをするケイティたちを横目に、「だが」とフランクはアルバートに視線を向けて言葉を続ける。


「今度ベアトリスに何かあって、私がアルバートにベアトリスを任せられないと判断したその時は……分かっているよね? アルバート」


 フランクは目を細めて、試すような視線をアルバートに送る。


「なっ!? フランク!?」


 慌てるアルバート。だが、次の瞬間にはいつも通りのフランクに戻る。


「ははっ、何て顔をしているんだい。もしもの話さ。アルバートはもうリリアンの魅了も解けたわけだし、そんな心配はいらないだろうからね」


 まさかの会話に「ひゃ~!!」と小さく悲鳴を上げたケイティとジェマ。


 だけど、フランクと付き合いが長いベアトリスとアルバートには彼の視線が一瞬本気に見えていた。

 だからか、冗談に聞こえなかった気がして、フランクの言葉は二人の心の片隅に引っ掛かった。

46、47話にて。

クシールド伯爵令嬢とネヴィソン子爵令嬢改め、ケイティとジェマはこの度リリアンの取り巻きから、ベアトリスのお友だちに昇格しました~!


連載を始めた頃はこの二人に名前を付ける予定はしていませんでした。

今までより出番が増えるかは分かりませんが、彼女たちの活躍も見守っていただけると嬉しいです!

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