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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
呪殺師は可愛い男の子が好き

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入れ替わり

 このネズミ式神、何かから僕らの目をらす気だ。


 という事は、こいつがいるのとは反対側に……


 ふり向こうとしたその時……


 電話の着信音が鳴った。


 芙蓉さんの携帯のようだ。


「はい。こちら御神楽。え? 結界設置班のメンバーが……」


 電話に出ていた芙蓉さんの顔色が、さっと変わる。


 何があったのだろう?


 電話を切った芙蓉さんが、僕に近づいて耳打ちした。


「優樹君。この事は、他の人には話してはだめよ」


 何だろう?


「結界設置班の一人が、自宅アパートで、しばられているのが見つかったの」


 え?


「彼女の話では、昨日自宅で何者かに襲われて、そのまま監禁されていたそうなの。でも、彼女は昨日出勤しているのよ」


 それじゃあ、まさか?


「おそらく、彼女を襲ったのは呪殺師ヒョー。そのまま彼女と入れ替わっていたのよ」


 芙蓉さんが彼女と言っているという事は、女性なのだろうけど、今回ここへ来た結界設置班の女性は一人だけだったはず。


 つまり、昨日僕が会った女性がヒョーだったのか?


 てか、奴は女装していたのか?


 でも、結界設置班は昨日僕の見ている前で、全員車に乗り込んで帰っていったはずでは……


「帰りの車の中から、彼女だけがいつの間にかいなくなっていたの。信号待ちの間に勝手に降りたとみんな思っていたらしいのだけど、主任が車内を点検していたら、式神用の憑代が落ちていたのよ」


 なんだって!?


「おそらく、最初はヒョー本人が結界設置班に紛れてこの屋敷に入った後、式神と入れ替わっていたのだわ」


 じゃあ、昨日僕が会った時には、式神と入れ替わっていたというのか?


 しかし、なぜ他の人に話してはいけないのだ?


 あ!


 これって協会の失態。権堂氏に知られたら面倒な事に……でも、これって隠しちゃだめだよね。


 隠しちゃだめだけど……ここで、僕の口から馬鹿正直に権藤氏に話すというのも……


 それにしても、なぜ芙蓉さんは、僕だけに話すのだろう?


「優樹君。君は昨日、庭のどこかで、彼女の姿を見たと言っていたわね。どこだか覚えている? おそらく、その近くにヒョー本人が隠れているはずだわ」


 そういう事か。僕にだけ事情を話すはずだ。


「権堂富士ですよ。その頂上に、人がいるのを見ました」

「権堂富士? ああ! 築山ね」


 その時、サラリーマンの幽霊が、芙蓉さんの背後の壁を抜けて現れた。


「君! 見つけたぞ。奴は、築山の中の空洞にいる」


 そんなところに?


「最初は結界があって築山には入れなかったが、さっき突然結界が解除された。中に入ってみると築山の中は空洞になっていて、そこに生きている人間がいたのだよ。人型に切り抜いた紙も持っていた。式神使いに間違えない」

「ありがとうございます」


 僕は幽霊にお礼を言うと、権堂氏の方をふり向いた。


「権堂さん。築山の中に、空洞があるのですか?」


 ん? 権堂氏の顔色が変わる。


「な……何を言っている。そんなところに、空洞なんて……ないぞ」


 なんか知らんが、ずいぶん狼狽うろたえているな。


「でも、浮遊霊が築山の空洞内に、式神使いがいると……」

「馬鹿な! 今、あそこに入れるわけ……」


 やっぱりあるんだ。でも、隠したいようだけど……


「権堂さん。築山に空洞はあるのですか?」

「うう……その……あるには、あるが……入り口は水没させてあるので、入れるはずはないのだが……」


 水没? 


 その時だった。突然、式神の気配が現れたのは。


 気配の方向は……権堂富士!


 しかも、この気配はかなり強い。龍か虎、あるいはその両方を出したのか?


 早速、芙蓉さんはブースターを飲んで、式神を召還した。


 式神は壁を抜けて、権堂富士の方へ向かう。


 芙蓉さんは、僕たちの方を振り向いた。


「あなたたちも、準備して。奴は龍と虎を両方出してきたわ。このニ体が相手だと、私でも押さえるのがやっとよ」


 その時、すぐ近くから別の式神の気配が発生した。


 気配の方向へ振り向く。


 なんだ? あれは……


 そこにいたのは、灰褐色の不定形な物体。


 アメーバーみたいに、グニャグニャとうごめいている。


 まるで巨大なスライム。


 いや、スライムの様な式神だ。


 そのかたわらに立っているのは、昨夜侵入して捕まった男。様子から見て、スライムはあの男が操っているようだ。


 奴を縛っていたロープは、切られて床に落ちている。


 そのロープの近くにいるのはネズミ式神。


 そうか! ネズミ式神の奴、あの男のロープを切った後、僕らがそれに気が付かないように、自分に注意を引きつけていたのだな。

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