表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
事故物件3

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

271/289

テレビに出ている人が優秀とは限らない

「翌日になって彼女は目を覚まして、警察に通報したのです」


 冬青さんはそこまで話したところで疲れたのか、コップの水に口を付けた。


「警察は来たのですか?」


 僕の質問に、冬青さんは持っていたコップをテーブルに戻してから答える。


「ええ。警察は来たのですが、部屋には侵入された形跡も、盗られた物もなく……もちろん冷蔵庫の中も確認しましたが、被害はありませんでした」


 だろうな。幽霊が現実にある食物を食べているように見える事はあるが、その食べ物が物理的に減少する事はない。


 もし、冷蔵庫の食料が本当に無くなっていたら、それは幽霊なんかではなくて、幽霊に扮した人間の仕業だ。


「しかしその後も、部屋には太った女の霊は現れ続け、彼女はアパートを退居されてしまったのです。しかも、それだけではなく、他の部屋に入居された方も、似たような体験をされまして……」


 他の部屋? 普通、こういうのは一つの部屋に定着しているものでは?


 てか、地縛霊ってそういうもんだし……


「他の部屋には、別の霊が出たのですか?」

「いえ、他の部屋に出たのも太った女の霊です。あ! スライム状の霊に襲われたという人もいました」


 スライム状の霊? はて? 何か心に引っかかるものが……


「おかげでアパートを退去する方が続出しまして、どうしたものかと……」

「それで、息子さんが魔入さんを呼んだのでしょ。どうだったの? 動物霊一ついなかったって、さっきは言っていたけど」


 僕の横から樒が魔入さんに質問する。


「さっき言った通りよ。私は、問題の部屋で三日間過ごしたけど、何も現れなかったわ」


 それを聞いて冬青さんは顔をしかめる。


「では、入居者の方々が嘘をついているとでも?」

「その可能性も、考えた方が良いかと……私がこんな事を言うのもなんですが、心霊現象の大半は見間違いや虚偽でして……」

「言っておきますが、私も見ています。私が嘘をついているとでも?」


 冬青さんとは初めて会う人だが、つまらない嘘をつく人には見えない。


 そもそも、こんな嘘をついて、この人にメリットがあるとは思えないな。


「いえ、私はそんな事は……」


 魔入さんは、助けを求めるような視線を僕に向けてきた。


 どうやら、魔入さんは問題を解決できないために、冬青さんとの関係がギクシャクしているらしい。


 だから、僕らに丸投げしたかったのだろうな。


「だいたいのお話は分かりました。これ以上の事は、物件を実際に見てみないと、何も分かりませんので案内してもらえますか」

「もちろん、それはお願いします。しかし、大丈夫でしょうか? 魔入さんほどの方が三日も泊まり込んで、何も見つからなかったのですが……」

「魔入さんは有名人ですが、霊能力は実はあまり強くないのですよ」

「え? そうなのですか?」


 テレビに出ているから、優秀な霊能者と思われがちだけど、実際には魔入さんの霊能力はかなり低いしそれは本人も認めていた。


「僕らが行けば、魔入さんには見えなかったものも見つかると思います」


 とは言ったものの、今すぐは無理。


 明日の放課後に、樒と一緒に伺う事になった。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ