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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
事故物件3

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267/289

不動産屋さん

「初めまして」

 

 どこか疲れているような顔をしたおじさんの差し出した名刺には、『宅地建物取引士 冬青 稔』と書いてあった。


 どう読むのか聞いてみると、冬青(そよご)(みのる)と読むらしい。


 宅地建物取引士という事は、不動産屋さんか。


 不動産業者って、霊的案件に関わる事が多いから、霊能者にとってはお得意様だけど……


「私の扱っている物件で、幽霊が出て困っておりまして」


 それなら、魔入さんなんかを通さないで、直接霊能者協会に問い合わせてくれても良かったのに……


「私はそうするつもりだったのですが、家族にその事を話したら、高校生の息子が『それなら、僕に任せて』と言ってこちらの方に……」


 そう言って魔入さんの方に目を向けた。


「霊的相談を持ちかけまして……」

「私はファンサービスのつもりよ。番組の視聴者さんから、霊的相談を受けたら、答えないわけにいかないじゃない。それに私の霊的相談は、霊能者教会と違って無料だし」

「その分、そのネタを心霊番組に使うのでしょ」

「いいじゃない。相談者さんは霊の悩みが解決して、私は番組を作れてウィンウィンなのだから」

「でもさあ、魔入さん」


 樒が冷たい視線を向ける。


「霊の悩みが解決できなかったから、私達を呼んだのじゃないの?」

「まあ……そうなのだけど……ん?」


 不意に魔入さんが怪訝な表情を浮かべて、窓の方を見た。


「冬青さん。あれ、息子さんじゃないかしら?」

「え?」


 冬青さんは振り返る。


 その視線の先にある窓の向こうで、一人の男子高校生が店内をじっと見ていた。


「まったく、あの馬鹿は。ちょっと叱って来ます」


 冬青さんは席を立ち、店から出て行った。

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