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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
嫌悪の魔神

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252/289

人の命乞いは聞けなくて、自分は命乞いしちゃうんだ

「二人ともよくやったわ。後は私に任せて」


 後方で待機していた樒が、リュックに手を入れながら前へ進み出た。

 あのリュックに入っているのは!


「任せてだと!? 馬鹿め。おまえの仲間は、もうヘトヘトだぞ。こっちはまだ大勢いる」

「大勢って、何人よ?」

「ひいふうみい……俺を含めて十八体だ」


 律儀に数えてくれるのね。


「おまえは確かに強い。それは認めてやろう。だが、おまえ一人で悪霊を十八体も相手できるのか? できまい。ぐはは……」


 それに対して、樒はにやりと笑みを浮かべる。


「できるわよ」

「なに?」


 リュックから樒が取り出したのは、悪霊吸引瓶。


 さっき『五体減らせ』と言ったのは、これを使うからか。


「なんだ? それは?」


 樒の取り出した瓶を見て、悪霊髑髏達は警戒する。


 何かは分からないが、あれがただの瓶ではないという事は分かったみたいだ。


「この瓶はね。死神さんからもらったアイテムよ」


 樒は瓶の蓋を開けると、それを悪霊髑髏達に向けた。


「ぐおおお!」「吸い込まれる!」


 悪霊髑髏がゴミのようだ。


 掃除機に吸い込まれる紙くずの様に、悪霊髑髏は吸い込まれていく。

 確か、この瓶は悪霊を二十体まで封印できると言ってたな。


 すでに二体封印しているので、吸引可能な十八体に減るまで樒は待っていたのか。


「さてと」


 樒は寒太の方を向く。


「ひっ!」


 寒太の顔に恐怖が浮かんだ。


「残るはあんただけね」


 退魔銃と同じく、人間に憑依している悪霊は吸引できないらしい。


 だから、寒太に憑依している悪霊だけは残ってしまったようだ。


「な……なんだその瓶は? それに吸い込まれた俺の仲間は、どうなるのだ?」

「さあ?」

「さあって……」

「瓶に吸い込まれた霊は、後で死神さんが回収に来るのよ。その後はどうなるかまでは知らない」

「死神に引き渡すだと! そんな事されたら、地獄行き確定だ。頼む! 見逃してくれ」

「ええ……どうしようかな?」

「お願いだ! 見逃してくれ」

「あんたさあ、さっき私に『お願いだと? ふん! 今更、命乞いなど聞けぬな』って言ってたわよね」

「ええっと……そんな事言ったかな?」

「人の命乞いは聞けなくて、自分は命乞いしちゃうんだ」

「……」


 悪霊はすでに死んでいるのだから、命乞いとはちょっと違うような気がするが……


「そういう身勝手な事が、世の中まかり通ると思うの?」

「お……思わない……」

「分かればよろしい」


 そう言って樒は右手を前に突き出した。

 

「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前!」


 樒が九字切ると、寒太に憑依していた悪霊は身体の外へ弾き出されるように飛び出す。


「くそ! 捕まってたまるか!」


 悪霊が飛び出すと同時に、寒太の身体は糸の切れた操り人形のように倒れた。


「逃がさないわよ!」


 逃亡する悪霊を、樒は追いかける。


 吸引瓶には有効範囲があると聞いていたが、どうやら有効範囲外へ出てしまったようだ。


 しかし、ここで手負いの悪霊を逃がすわけにはいかない。


 僕とミクちゃんも、樒の後から追いかけた。


 先回りしたミクちゃんの式神が、悪霊の行く手を塞ぐ。


 逃げる方向を変えた悪霊の行く手に、僕は退魔銃を撃った。


 一発が命中して悪霊の動きが止まる。


「吸引!」


 一瞬動きが止まった間に、吸引瓶の有効範囲に入った。


 悪霊は瓶の中に吸い込まれていく。 


「さてと、後は寒太の身体を回収するだけね」


 そう言って後を振り向いた樒の表情が固まる。


 どうしたのだろう?


 と思って振り向いた僕の目に映ったのは、さっまで地面に倒れていた寒太の身体が起き上がり逃げ出すところだった。

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