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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
嫌悪の魔神

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250/289

薬は注射より、飲むに限るよ。悪霊さん。

「式神かかと落とし!」


 髑髏の一つに、式神のかかと落としが炸裂。


「ぐおおおお!」


 苦しんでいる髑髏に、僕の放った退魔弾が命中。


 髑髏は、黒い霧となって霧散する。


 残り三体、やればいいんだな?  


「おのれ! おのれ! 小娘どもめ!」


 最初は余裕を見せていた群霊に、焦りの色が見えてきた。


 すべての髑髏が口を開き、一斉にドス黒い瘴気を吐き出してくる。


 大丈夫かな? 結界は持つかな? 魔入さんの結界みたいに、砕け散るような事はないよね?


 結界を発生させている勾玉ペンダントは、僕の胸で一際強く輝きだした。


 結界の出力を上げているようだが、壊れるような様子はない。


 大丈夫そうだな。


 しばらくして、瘴気の噴出は止まる。


 髑髏達は疲れたのか、ゼハゼハと息をしていた。


「だめだ、一休みさせろ」「これ以上は。死ぬ」


 いや、あんたらすでに死んでいるのでは?


 ていうか、髑髏一つ一つが勝手に喋りだしたという事は、中核となっている悪霊の支配力が弱まりだしたのかな?


「な……なんちゅう頑丈な結界だ。死神の神器というのは、事実のようだな」


 一つの髑髏が、悔しそうに言う。


 死神の神器と言ったのは、はったりだと疑っていたようだ。


「待て」


 別の髑髏が言った。


「式神使いの結界は、もう一押しのようだぞ」


 なに!? 

 

 ミクちゃんの結界を見ると、確かにヒビのような模様が見える。


 そうだった。ミクちゃんの結界を維持している数珠は、死神からの供与品ではなく自前の物。


 そういえば、魔入さんが使っていたブラックオニキスの腕輪(ブレスレット)と似ているな。


 なんて、のんびり見ている場合じゃない!


 群霊が再び吐き出した瘴気が、ミクちゃんに集中している!


「負けないわ! 式神パンチ! えぐり込むように打つべし!」


 式神の放つジャブが、先頭の髑髏に炸裂。


 僕はミクちゃんに駆け寄りながら、ミクちゃんが攻撃中の髑髏に退魔弾を撃ち込んだ。


 そうしている間にも、ミクちゃんの結界に入ったヒビが大きくなっていく。


「式神パンチ! 右拳に全体重を乗せ打つべし!」


 式神の右ストレートが炸裂して、髑髏は霧散した。


 同時に、ミクちゃんの結界もガラスのように砕け散る。


 タッチの差で、僕が前に回り込んでミクちゃんに向かっていた瘴気を受け止めた。


「ミクちゃん。僕の後に隠れて!」

「うん」


 そう言ってミクちゃんは僕の背後から抱きつく。


 ちょ! 隠れてとは言ったけど……密着しすぎ!


 なんて、気にしている場合じゃない。


 しつこく瘴気を吐き続ける髑髏に、僕は退魔銃を撃ち込む。


 あ! 退魔弾が髑髏の口の中に……


「ゴホ! ゴホ! ゴホ!」


 瘴気を吐いていた髑髏は、途端に咳き込み出す。


 薬は注射より、飲むに限るよ。悪霊さん。


「式神チョップ!」


 咳き込んでいる髑髏に、式神が空手チョップを見舞うと髑髏は霧散した。

 

 残るは、一体。

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