薬は注射より、飲むに限るよ。悪霊さん。
「式神かかと落とし!」
髑髏の一つに、式神のかかと落としが炸裂。
「ぐおおおお!」
苦しんでいる髑髏に、僕の放った退魔弾が命中。
髑髏は、黒い霧となって霧散する。
残り三体、やればいいんだな?
「おのれ! おのれ! 小娘どもめ!」
最初は余裕を見せていた群霊に、焦りの色が見えてきた。
すべての髑髏が口を開き、一斉にドス黒い瘴気を吐き出してくる。
大丈夫かな? 結界は持つかな? 魔入さんの結界みたいに、砕け散るような事はないよね?
結界を発生させている勾玉ペンダントは、僕の胸で一際強く輝きだした。
結界の出力を上げているようだが、壊れるような様子はない。
大丈夫そうだな。
しばらくして、瘴気の噴出は止まる。
髑髏達は疲れたのか、ゼハゼハと息をしていた。
「だめだ、一休みさせろ」「これ以上は。死ぬ」
いや、あんたらすでに死んでいるのでは?
ていうか、髑髏一つ一つが勝手に喋りだしたという事は、中核となっている悪霊の支配力が弱まりだしたのかな?
「な……なんちゅう頑丈な結界だ。死神の神器というのは、事実のようだな」
一つの髑髏が、悔しそうに言う。
死神の神器と言ったのは、はったりだと疑っていたようだ。
「待て」
別の髑髏が言った。
「式神使いの結界は、もう一押しのようだぞ」
なに!?
ミクちゃんの結界を見ると、確かにヒビのような模様が見える。
そうだった。ミクちゃんの結界を維持している数珠は、死神からの供与品ではなく自前の物。
そういえば、魔入さんが使っていたブラックオニキスの腕輪と似ているな。
なんて、のんびり見ている場合じゃない!
群霊が再び吐き出した瘴気が、ミクちゃんに集中している!
「負けないわ! 式神パンチ! えぐり込むように打つべし!」
式神の放つジャブが、先頭の髑髏に炸裂。
僕はミクちゃんに駆け寄りながら、ミクちゃんが攻撃中の髑髏に退魔弾を撃ち込んだ。
そうしている間にも、ミクちゃんの結界に入ったヒビが大きくなっていく。
「式神パンチ! 右拳に全体重を乗せ打つべし!」
式神の右ストレートが炸裂して、髑髏は霧散した。
同時に、ミクちゃんの結界もガラスのように砕け散る。
タッチの差で、僕が前に回り込んでミクちゃんに向かっていた瘴気を受け止めた。
「ミクちゃん。僕の後に隠れて!」
「うん」
そう言ってミクちゃんは僕の背後から抱きつく。
ちょ! 隠れてとは言ったけど……密着しすぎ!
なんて、気にしている場合じゃない。
しつこく瘴気を吐き続ける髑髏に、僕は退魔銃を撃ち込む。
あ! 退魔弾が髑髏の口の中に……
「ゴホ! ゴホ! ゴホ!」
瘴気を吐いていた髑髏は、途端に咳き込み出す。
薬は注射より、飲むに限るよ。悪霊さん。
「式神チョップ!」
咳き込んでいる髑髏に、式神が空手チョップを見舞うと髑髏は霧散した。
残るは、一体。




