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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
嫌悪の魔神

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248/289

群霊

 それは大小様々な人間の髑髏(どくろ)を、繋ぎ合わせたような姿をしていた。


 髑髏の一つ一つが、口を開け閉めしてガチガチと歯を鳴らしている。


 これって……


「なるほど、群霊(ぐんれい)ね」


 群霊?


「樒。群霊って、霊の集まりって事だよね?」

「そうよ」

「さっき、この霊と言葉を交わした時は、一つの霊みたいだったけど……」

「これはちょっと特殊な群霊よ。私も一度しか見たことないけど、集まってきた霊が、まるで一つの存在かのように振る舞っているのよね」

「一つの存在かのように……? 中核となる霊が、いるんじゃないのかな?」

「そうらしいわ。この手の群霊には、中核となる悪霊がいるらしいの。そいつに次々と不成仏霊が引き寄せられて、合体していった霊体がこいつよ」


 つまり、この髑髏一つ一つが独立した霊!?


「くくく。小娘どもよ。覚悟するがいい」


 だから、僕を小娘の一人に勘定するな!


 突如、一際大きな髑髏がガバッと口を開いた。


 開いた口から、ドス黒い煙の様なものを吹き付けてくる。


 これは濃密な瘴気!


 こんなものをまともに食らったら、人はたちまち衰弱死してしまう。


 だが……


 瘴気は僕達に届く寸前、見えない壁に阻まれた。 

 

 これは結界!?


 胸元を見ると、さっきロックさんからもらった勾玉ペンダントが輝いていた。


 これが、結界を張っているのか。


 僕のペンダントだけじゃない。


 左を見ると、ミクちゃんが左腕に巻き付けていた数珠も光り輝き、彼女の周囲にはバリアのような結界が形成されていた。


 樒の方に視線を変えると、いつの間にか彼女は右手に金剛杵(ヴァジュラ)を握っている。


 それも(まばゆ)く輝き、樒の周囲に結界を張っていた。


「結界か。小癪な小娘どもめ」


 だからあ、僕を小娘に含めるな!


「だが、そんな結界がいつまでも保つと思うなよ」 

「それはどうかしらね。私達の結界は、死神からもらった神器で張っている。簡単には、破られないわよ」

「なに? 死神だと……」

「あんたの方こそ、九字が利かない理由がわかったわ」


 そう言って樒は右手を前に伸ばした。


「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前!」


 樒に向かって瘴気を吐いていた髑髏が霧散した。


「表面の一体だけが九字を受け止めて消滅し、後にいる霊体を守っていたというところかしら」

「ふん! それが分かったとしてなんになる。おまえ一人で、俺の配下の悪霊どもをすべて消し切れるものか」

「あら? 私一人じゃないわよ」


 樒の言う通り。


 寒太の中にいる霊体には無理だが、寒太の外へ出てきた霊体なら退魔銃が通用する。


 僕は懐のショルダーホルスターから、退魔銃を抜いて悪霊に向けて構えた。


「銃だと? 馬鹿め! 霊体である俺に、銃など……」


 かまわず僕はトリガーを引く。


 退魔銃から放たれた、梵字を刻んだ退魔弾が髑髏の一つに命中。


「ぐわあああ!」


 悲鳴を上げる髑髏に、さらに退魔弾を撃ちこむ。


 五発目を撃ち込んだ時、髑髏は消滅した。


 髑髏一つに、退魔弾五発でいけるみたいだ。


「おのれ稚児め!」


 やっと、小娘はやめてくれたか。稚児も嫌なのですけど……


 とりあえず腹立つから、今『稚児』と言った髑髏に次の狙いを定める。 


 トリガーを引いた瞬間、髑髏は群霊から離れて飛び出した。


 退魔弾は、後にいた別の髑髏に当たったけど、離れた髑髏はどこに?


 いた!


 髑髏は、庭に放置されていた縁台の下に潜り込んでいた。


「おまえ達に瘴気は利かぬようだが、これならどうだ。結界では防げぬぞ!」 


 髑髏がそう言った直後、縁台が空中に持ち上がる。


 うそ!


 物理攻撃(ポルターガイスト)もできるの?

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